テラーノベル
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それからも式は進み、終わりに近づいていた。
「新入生、退場」
その言葉を合図に、体育館に並んでいた新入生たちが一斉に立ち上がった。
椅子を引く音が、広い体育館の中で小さく重なっていく。
さっきまで自分たちを見つめていたたくさんの視線を背中に感じながら、俺らは出口へ向かって歩き始めた。
真新しい制服の袖が揺れる。
まだ少し硬い革靴が、床を踏むたびに乾いた音を響かせる 。
俯いていた顔をあげると、1年1組という標識が目に入り、俺は教室の扉に向かった。
入る時に左肩が扉に少し当たったが、気にせず教室の中に入った。
黒板に貼られてある座席表を見ると、俺は廊下側の一番後ろの席に向かった。
ここが俺の席だ。
普通は一番後ろの席でラッキーとか思うのかもしれないが、俺は授業を受けれるならどこでも良かった。
俺は自分の席についてリュックの中に入れていた勉強道具を広げる。
少し周りがざわついていて集中はできないが、やらない理由にはならない。
担任が来るまでの間勉強を進めている中、他の生徒はお互いの仲を深めている。
俺も友達は欲しいが、作ったらきっと傷つけてしまうから自分からは作らないようにしている。
そんなことを考えながら手を動かしていると、聞き慣れた声が俺の名前を呼んだ。
「おい、四季ー!」
俺は勉強をやめて、声のする方に顔を向けた。
「同じクラスだな✨」
「え⁉︎矢颪じゃん✨」
「あはは、春休みぶりだな笑」
「おう笑」
矢颪は中学校の時、同じクラスだった奴だ。
「四季君、僕達もいますよ!」
「え!遊摺部に屏風ヶ浦!皇后崎に漣に手術帖までいんじゃん!」
こいつらも全員中学校の時の同じクラスの奴らだ。
「気づくの遅せぇよ」
「しょうがねぇだろ。クラス分け自分の名前しか見てねぇんだから」
「僕達のも見てくださいよ!」
「あはは、わりぃな笑」
俺はふと廊下の方に視線をやった。
するとそこには、知らない人達がこの教室を囲むように群がっていた。
その人達は誰かを探しているのかお互いに話しているが、声が重なりすぎて聞こえない。
「なんか有名人でもいるん?このクラス」
「え、あ〜…そうなのかな?僕には分からないかな汗」
「ふ〜ん」
遊摺部達は内心四季君、君だよ!と思っていたが、口にはしなかった。
すると、また誰かが四季に声をかけた。
「ねぇねぇ、君って新入生代表してた子だよね?」
突然隣の席の人から話しかけられ、驚いて振り向く。
えっ…と。
「おい速人ー!抜けがけずりーぞ!」
「なになに?なんの話してんの?」
速人さんと呼ばれる人が俺に話しかけてきたのを合図に、何故かクラスの人がわらわら集まってきた。
「おいおい、こいつが困ってんだろ」
どうしていいか分からなくてオロオロしていると、漣がこの人達ににそう言ってくれる。
「へぇー、四季君って言うんだ〜!」
「超可愛い子いるなって思ってたんだよね!」
「同じクラスとかラッキー!」
次々にそんなことを言われる。
でも俺はこういう場面に慣れている。
父はよくパーティーに俺を連れて行って、俺を使って商売するから。
今のこの状況もいつも通り流せばいいだけ。
「ありがとう。でも俺はかっこいいって言って欲しいんだけどな笑」
「きゃーーーー!!」
そこら辺一帯から悲鳴が聞こえた。俺は頭に?を浮かべていると────
「お前、それわざとやってんの?」
「え、何が?」
「…」
皇后崎達はその笑顔だよ!と心の中でつっこんだ。
「ねぇ、彼女とかいたりするの?」
「ちょっと直球すぎるでしょ!」
…ほ、ほんとにどうしよう…。
こういう状況には慣れてはいるけどあまり得意ではなく、そもそも人が苦手な俺。
困っていたら、ちょうど教室の扉が開いて、担任の先生らしき人が入ってきた。
「おーい、席に着けー!」
先生が教卓前に立ちながらそう言えば、周りにいた人、教室を囲んでいた人達が自分の席に戻っていく。
まじで、先生ナイスタイミング!
「まあ、こうなって当たり前か」
「これくらいで済めばいいですが…。 ごめんなさい、私なんかに言われても困りますよね汗」
周りの人がいなくなって安心している俺に、屏風ヶ浦が謎の台詞を吐く。
…?
わけが分からずぽかんと口を開けていると、またしても驚いた反応をする周り。
「こいつ自覚ねーぞ」
「まぁ、こいつは中学の時から無自覚だったしな」
結局、意味がわからないまま、先生の話が始まったのだった。
皆さん、こんにちは!
★HOSI★です!
第二話「学校の人気者」をご視聴いただきありがとうございます!
今回はだいぶ平和な話でしたね♪
次回も読んでいただけると嬉しいです❗️
コメント
8件
グハァッ無事(尊死☆) ハッ(生き返りました) 無自覚エンジェルスマイル!? どんなファンサだよ!?
このまま平和な話が続けばいいのに…って思っちゃうけど平和じゃないのも見たい!複雑な気持ちだ…続き楽しみに待ってます!!
第2話読み終えたよ〜! 四季くん、無自覚カリスマすぎるでしょ笑 勉強してる姿とか、照れくさそうに「かっこいいって言って欲しい」とか言っちゃうの、もうズルいよ! クラスの人気者になってるけど、本人はあんまり気づいてない感じがまた良いんだよね。 あと、先生のナイスタイミングに思わず「わかる!」ってなった。 次はどうなるんだろう、すごく気になるよ!