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智花/イエローが孝太郎の横に走って来て、興奮した口調で訊く。
智花「あの、ザリガニ釣りをすれば、集中力が上がるとか、脳が活性化されるとか、そんな効果があるんですか」
孝太郎「はあ? そんなわきゃないだろ。ただの遊びだよ」
林田「あの、これはどういう事で……」
孝太郎が少し離れた所の子どもたちに大声で呼び掛ける。
孝太郎「おおい、どうだ、みんな。楽しいか?」
子どもA「うん!」
女の子「これ初めて!」
拓「面白い!」
子ども全員がキラキラするような笑顔を浮かべている。孝太郎が今度は並んでいる親たちに向かって言う。
孝太郎「おい、そこの親御さんたちよ。最近自分の子の、あんな風に笑った顔見た事あったか?」
智花がコスチュームのバイザーの下でハッとした顔をする。
孝太郎「親が子どもにしてやれる事なんかひとつしかねえ。子どもがいつでも、あんな風に心から笑っていられるようにしてやる事だ。そうすりゃ、才能だの適性だの、そんなもんは勝手に向こうから寄って来らあ」
その後漬物工場の内部を子どもたちが見学する。終わって林田と北野が孝太郎に礼を言い、一行は工場から去る。孝太郎は仕事場に戻る。
コスチュームのマスクを外した智花が小さな小窓の前で立ち止まり中を真剣な表情でのぞき込む。同じくマスクを外して脇に抱えた玲奈が後ろから通りかかる。
智花「心から笑っていられれば、才能や適性なんて向こうから寄って来る……か」
玲奈「え? どうかしました?」
智花が指先で小窓を指差す。頭をかがめて小窓の向こうをのぞき込んだ玲奈がパッと笑いを浮かべる。
玲奈「あはっ! 本当だったんですね」
小窓の向こうの作業部屋で大きな木の樽の中身に手を突っ込んで軽くかき回す孝太郎。
孝太郎「よし、いい出来だ」
そう独り言を言って額の汗をぬぐった孝太郎の顔に、小さな子どものような、キラキラとした笑顔。