#小籠包のノベコン
#向日葵のノベコン
これは、私があなたを手に入れた話だ_。
「主様。主様。」
そう呼べば、
『なぁに、?』
なんて、困ったようにはにかむ貴女の笑顔が大好きでした。
その甘い声も、上品なのにどこかあどけない笑い声も、こんな私を包み込んでくれる優しさも
何もかも私の身に余るようなものばかりでした。
『ふふ、今日の貴方は甘えたさんね。まるでわんこみたい。』
えぇ、その通りですとも主様。 私は主様の従順な犬なのです。
私は主様にしか目がありません。
主様が世界を敵に回すというのなら貴女に返り血が付かぬよう付き添いましょう。
主様が私の破滅を望むなら、貴女の手を汚さずとも私自ら、残りの人生を棒に振りましょう。
貴女は穢れるべきでないのです。
私は、私は高潔で尊く可憐な
貴女様の背中を !!!
ずっと。ずっーと追っていました。
貴女が太陽なら私は向日葵。
向日葵は太陽を追うことしか出来ず、太陽に生かされているようなものなのですから。
だから、
主様が私の生き甲斐で、希望で、道標で
私の_
全てでした。
『こっちへおいで、抱き締めてあげるわ。』
「、いいのですか……?」
『えぇ。あんな寂しそうな顔をしていたら…ねぇ?それに、貴方は私専属の召使だもの。』
所詮私たちは主と召使。
その隔たりを取っ払う事なんて出来ないでしょう。
でも、それでいいのです。それがいいのです。
貴女様の全てを見透かすような濁りのない瞳を。サラリと靡く美しく艶のある髪を。
そして、何より主様というお方の心を、
誰が手に入れれるものか !!!
そんな物思いに耽っていると先程の言葉を紡いだ貴女は、
黙りこくっていた私の事を不思議に思いじぃっと見つめていらっしゃった。
貴女の瞳には私がいっぱいに映されている。
理由はどうであれその瞳が私だけを映している事実。
それが堪らなく嬉しいのです。
「では、主様のお言葉に甘えまして…」
主様の言葉と視線を反芻しながら主様へと身を預けた。
あぁ、心が満たされていく。
このまま主様とどこかへ沈んでいけそう。
『ふふ、本当にかわいい子』
主様。主様。私にもっと愛の言葉を !!!
主様。もっと私を求めて。もっと私を必要として。もっと私に愛の言葉を吐き散らして。
だけれど、
高嶺の花な主様のままでいて。優しいままの貴女様でいて。純粋なままの貴女でいて。
そして何より_
そんな渇望を今日も飲み干して生きていくのです。
『ねぇ……ちょっと、いい?』
ふと、主様に声を掛けられた。
主様にしては珍しく、顔を火照らせ困ったようにこちらを上目遣いで見つめていた。
一体何かあったのだろうか?困惑を浮かべながら
「なんでしょうか?」
そう笑顔を貼り付けた。
すると、主様は俯きながらとてもか細い声で喋りだした
『えっとね、アナタの事好きになっちゃった、かもしれないの……』
空白。
驚きで息が止まってしまった。
回らない思考を必死に回転させる。
それは、つまり、とどのつまり……、主様は私を…恋愛的な目で見ていらっしゃる……?
主様の方をチラリと見遣ると少し潤んだ瞳、紅潮させた頬。……その顔は私が普段見ている高潔な主様などでなく恋した乙女、そのものであった。
胸がドクリドクリと嫌なほど鳴り響く。これが幻かを確かめるように息を、唾を呑む。
そんな、
そんなの……
貴女は高潔で穢れのない存在であるべきなのに !!
私ごときに恋をしていいようなお方でないのだ !!
なのに、なぜ、ナゼ、何故 !!!
私が誓いをたてた主様は消えてしまったのですか……?
あぁ、さよなら敬愛している主様。
初めまして、大っ嫌いなあなた。
貴女の魂なくとも姿形は貴女様のまま。
貴女様の体であったものにキズ一つ付けませんとも。
偽りの誓いをあなたへ、されどもこの魂は貴女様へ
さぁ、騙し騙し生きて、己の掌で私を踊らせましょう。
いつかまた貴女と巡り会えるその日まで
そうやって空いてしまった心の穴を埋め合わせていくのです。
これは、私が主様を失った話だ________
コメント
6件
すんごい✨めっちゃ好きです👊🏻💞雰囲気も神秘的で、何度も読みたくなる!素敵な作品をありがとう🥰ᩚ
あ〜😭 し ん ど い !😇 とても好きです、ありがとうございます🪦
めっちゃ神秘的……!!✨✨ なんか…!文の節々に感じる天才感!!✨✨ そういえばぴむちゃんって読書好きだったね!! なんか、「本当に本が好きなんだな〜」って思った!!✨