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《ミクラルヴォルケーノ》
火山の山頂に立つアオイ。
その姿はまるで神話の中から抜け出したように美しく、威厳に満ちていた。彼女の周りには炎が舞い、空気が熱くなるほどの熱気が立ち込めている。
この火山の底にはクリスタルドラゴンと肩を並べると言う伝説の魔物が封印されてると言われていた。
「さて、ここから届くかな?」
山頂からでも見えるナルノ町に立つ大型のブルゼ。 山と町の距離はどれほどなのか解らないが、ブルゼ自体が規格外の大きさなのだろう。
「黒騎士さんも上手くやってくれてるかな?なんかあかねーさん達と因縁がありそうだったけど……」
アオイは作戦を2人に話した後、すぐに転移して来ていた。
高山病にならないのは着ている装備のおかげだろう。
「にしても、ここ寒いけど熱いな……例えるなら真冬のキャンプの時に焚き火してる時みたい、ほら、後ろにある火山口の方は熱いけど吹いてくる風は冷たいんだよね」
1人でそんな事を言いながら気合いを入れて集中する。
「この魔法って何だかんだ久しぶりに使うな……あんまり恥ずかしいから使いたくないんだけど……そういや魔力の使い方わかったけどこの魔法にも魔力って関係あるのかな?」
身体が勝手に動き出す。
アオイはスカートを両手でひょいと持ち上げ、そのままパンツの境目をチラリと見せるか見せないかの狭間に上げ、白く滑らかな太ももが露わになり、そのむちむちとした輪郭はまさに最強、その肉付きはちょうどいい太さであり、見たもの全ての脳を破壊するほど__
「『魅了』」
そしてアオイは唯一使える最強の魔法を唱えた。
「なななななんじゃこのポーーーズウウウゥ!?いけないよ!みんなわかってんの!?中身男だよ!?」
身体の暑さは後ろのマグマのせいじゃないだろう。
恥ずかしさのあまりうずくまってると遠くから時限爆弾が爆発した様な激しい音が鳴り響いた!
「っ!!」
アオイは慌てて其方を見ると、ブルゼが町の結界を破壊して物凄い早さでアオイ目掛けて来ていたのだ!
「あぁ……えと、結界壊れたのって僕のせいじゃないよね!?てか早!?もう来る!もう来るよ!?飛んできてる!」
ブルゼの大きな羽根から生じる風圧と、その猛スピードによって木々や瓦礫が吹き飛ばされ、その通過後にはまるで爪跡のような跡が地面に残っていた。
「ハエってやっぱりでかくなっても早!?やばいよぉ!?」
アオイが山頂から接近してくるブルゼを見て騒いでいると後ろから肩をポンと叩かれた。
「……そんなに焦らなくていい」
「アオイさん、作戦は聞いたよ!」
「きたー!」
そう、アオイは黒騎士に頼んで勇者二人をここに呼び出したのだ。
「ヒ、ヒロユキ君!?何その武器!?ふわぁ!?ー!?」
「……?」
アオイはヒロユキの持っている美しい日本刀に目をキラキラさせている……身体は女になっても心はそのままなのだ、かっこいいものに目がない。
「黒騎士、いつかお前を倒してアオイさんを助け出す、今は休戦だ」
「ほざけ、貴様が俺を越えることは出来ない」
「なんだと!」
「2人ともストーップ!もう敵きてるから!!」
「今回はアオイさんに免じて許してやる」
「ふん、アオイなら仕方ない」
あ、聞き分けはいいのね2人とも。
「でも、これで【勇者】全員揃ったね」
「……こんな時が来るとはな」
「確かに、俺達が揃えば……負ける気がしない!」
そう言うとリュウトは何か違和感を感じて自分の手を見た。
「この感覚……まさか!」
「え?どうしたの?リュウト君?」
「アオイさん、勝ちましたよ!」
リュウトは手を曇天の空に掲げ大声で呪文を唱える。
「【武器召喚】!」
リュウトの手から放たれる光が、まるで天から降り注ぐ金色の輝き、その光の中から、二メートルにも及ぶ美しいランスが現れた。その模様は対極のとれたシンメトリーな美しさを放ち、黄金の輝きが周囲を照らし出す。
「うえぇ!?すごい!」
「これが俺の武器さ!」
ヒロユキとリュウトがアオイを見る。
「あ、あの僕無いんだけど大丈夫かな?」
「……」
「……」
「な、なに?2人ともどういう目?」
「……いや」
「何でもない」
「うん、なんか……ごめん、じゃぁ、黒騎士さんお願い」
「わかった」
そう言われると黒騎士はアオイを片手で抱いて空を飛びマグマの上で待機する。
「下マグマ……こわっ……ぜっっったい離さないでね?」
「安心しろ」
「信じるよ、さーって」
これで全員配置に着いた。
「頼んだよ、二人とも!これで化物もアイルビーバックだ!」
アオイはグッドラックポーズを下にいる2人にした。
____________
________
____
「なぁ、ヒロユキ」
「……?」
上空にいる可憐な美女のグッドポーズを確認した後、ヒロユキに問いかける。
「それ、【武器召喚】だよな?」
「……あぁ」
「出来たんだな……おめでとう」
「……?」
リュウトはヒロユキの武器を見て少し悲しそうにする……だがそれは一瞬ですぐに真剣な表情に変わった。
「俺たち、これからも勇者として色々あるだろうけど」
ブルゼはもうすぐそこまで来ている。
「改めてよろしくな!」
「……フッ、あぁ!」
「行くぞ!ヒロユキ!」
「……任せろ!」
ブルゼが来るまで。
3
2
__!
「【目撃突】!」
「【目撃斬】!」
リュウトから放たれたランスは高速回転していき竜巻を作りながらブルゼの左翼を貫き。
ヒロユキが日本刀を一振りすると右翼が真っ二つに斬れる。
「____!?!?!?!?!?!?!?」
アオイを狙って来ていたブルゼは突然自分の羽が無くなり勢いを殺せずアオイ達の目の前まで飛んだ後、そのままマグマへ落下していく。
__だが!
「再生が早い!?」
落下しながらもブルゼは羽の再生を始める!
「フン……詰めが甘いな」
黒騎士はアオイを抱きながらも自分の短剣の柄を重ね合わせ弓にし____
「【アローレイン】」
魔法で作成された矢の雨を降らせた。
空から数えきれないほどの光る矢が突如として現れ、空間を貫きながら急速に地面に向かって降下していき、飛ぼうとしているブルゼを押し返す様に次々に刺さっていく。
「トドメだ【爆矢】」
最後に黒騎士はそう唱える。
「!?」
命中した矢が次々と爆発を起こし始め、その爆風がブルゼを包み込み、激しい炎と煙が立ち上る!
「キシャァァァァァァァァ……」
ブルゼは絶叫を上げながらマグマの中へと消えていき、その姿が消滅していく様子が目に映る。
「や、やった!」
周囲には熱気が漂い、炎と煙が立ち上り、その光景はまるで勝利した事を知らせる狼煙の様だった。