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黄「ん、」
なんだか不思議な夢を見ていた。
ずっと暗い道を、1人で歩いていたけど
途中から緑色の暖かい光が俺を包み込んで、空を飛ぶ夢。
むくり、と体を起こす。
少しだるくて、脳みそを殴られているような頭痛、全身を襲う寒気。
だけど一部だけ違った。
全身が寒くても、唯一暖かい場所。
そこは、
黄「ふぇ、?すちくん、?」
そう。すちは、みことの右手をずっと握っていてくれていたのだ。
黄「(目のまわり赤くなってる、泣いたんかな、)」
みことは彼を起こすか悩んだ。
きっと彼は勝手に飛び出した自分を探してくれたんだろう。
正直飛び出してからの記憶がない。
ただがむしゃらに、遠くへ行きたくて。
自分の名前を呼ばれて振り向いたら抱きつかれて、優しい声で自分を呼び続ける声。
すごく暖かくて、優しくて、安心して。
俺はそのまま意識を無くしてしまったから。
ここにいるのも、彼が運んできてくれたんだろうか。
そう思っていると扉が開く音がした。
音がした方に目線を移すと、驚いたような顔をした水色の彼がいた。
水「みことくん、」
黄「こさめちゃん、けほ、っ、」
水「あ、えっと、大丈夫、なわけないか」
黄「割と大丈夫やで、」
水「そっか、よかった。おかゆつくったの。食べれそう?」
黄「うん、たべれるとおもう、けほ、っ、ありがとう、」
うそ。本当は匂いだけでもきつい。
でも、善意を否定したくないから。
水「ここ置いとくから、自分の好きなタイミングで食べてねー!」
黄「わかった、」
ふぅ、と息を吐く。
それと同時に吐き気がした。
まずい、出る。
そう思った瞬間に両手で口を塞いだ。
黄「ぐっ、ぅえ、っ、」
とまらない、だれか、だれかたすけて。
緑「ん、、みことちゃん、?」
黄「おぇっ、、げほっ、」
両手から嘔吐物が溢れ出て、シーツに染みる。
汚い。そして申し訳ない。
起きたばかりに彼にこんなものを見せてしまって。
黄「すちく、ごめ、きたな、うぇ、っ、」
緑「大丈夫、大丈夫だよ。全部出しちゃいな。」
黄「いやっ、すちくん、おぇ、っはあ、うぇっ、、」
緑「そう、上手。」
なんで。
どうしてこんな汚い行為を誉めてくれるんだろうか。
暖かい手で、背中をさすってくれる。
彼は、優しすぎる。
黄「おえ”っ、、はぁっ、」
緑「落ち着いた?」
黄「うん、、ごめん、なさい、」
緑「?なにが?」
黄「きたないの、みせて、」
緑「汚くなんてないよ。体調悪いんだから仕方ないでしょ?そもそもそうなったのも俺のせいだし、謝るのは俺の方なんだよ。こちらこそごめんね、
手とか洗おうか、立てそう?」
黄「ちょっとしんどい、かも、」
緑「ん、手貸すから。それならいける?」
黄「うん、」
やっぱり優しい。
他人から見たら汚いものを汚くないと、原因は自分だと、俺に責任を感じさせないようにしてくれて。
緑「ゆっくりでいいからね」
黄「うん、ありがとう」
ゆっくりと、歩く。
そうしないと、まだ吐いてしまうかもしれなかったから。
1cmしか身長が違わない彼。
でも今は、彼が大きく見えて。
彼に支えてもらいながら洗面台へ向かう。
通常ならすぐにつく洗面台が今日はいつもよりも長く感じた。
緑「みことちゃん、俺によりかかっていいから、手だけでも洗おう。」
黄「ん、わかっ、た、」
正直しんどい。
自分に残ってた体力を全て使った気がする。
緑「みことちゃん大丈夫?歩けそう?」
黄「ちょっと、しんどいかもしれん、」
緑「んー、、わかった、揺れるけどすぐ終わるから」
黄「え、?それってどういう、えっ、ちょ、まっ、」
お姫様抱っこ。
黄「え、すちくんっ!、ちょっ、はずかしいこれ、」
突然の行動にびっくりする。
背中に腕を回されて、いとも簡単に持ち上げられてしまった。
緑「みことちゃん、あたふたするのはいいけど落ちちゃうよ?」
黄「うぇえ、、じっとしてるぅ、、」
優しい顔をしてとんでもないことを言う彼。
ところで進んでいる方向が自分の寝室と逆方向なことは、つっこんだほうがいいのだろうか。
黄「すちくん、?こっち逆、、じゃない、?」
緑「え?いやあってるよ?」
黄「えでも、けほっ、ここすちくんのへや、じゃないの?」
緑「そうだよ?」
何を考えているんだろうか。
彼のベッドに自分を下ろす彼。
黄「すちくん、?」
緑「ん〜?どしたのみことちゃん。」
黄「ここ、なんですちくんの部屋、、?」
緑「なんでって、、汚れちゃった場所で寝るのいやでしょ?」
黄「あ、、たしかに。」
自分への配慮もしてくれる。
どこまで優しいんだろうか。
緑「みことちゃん、俺いろいろなもの持ってくるから、ちょっとまっててね。」
ちょっとまってて、そう言いながら全く動かない彼。
こちらを見て彼は固まっていた。不思議に思って彼の目線の先を見ると
彼の服の裾を掴んでいる自分の手があった。
慌てて手を離す。完全に無意識だった。
黄「え、あ、ごめん、」
緑「、、、みことちゃん。」
手が伸びる。
俺はキュッと目を瞑る。
何かされるのだろうか。
すると頭に何か暖かいものを感じた。
目を開けると優しく微笑む彼と目が合う。
緑「みことちゃん、大丈夫だよ。すぐ帰ってくるから。」
黄「あぇ、まっ、てる、」
緑「ん、まっててね。」
頭を撫でてくれた。
すごく優しい手つきで、優しい声で、優しい顔で。
彼はそのまま、部屋を出て行った。