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もう走り続けて何時間経っただろう。
時刻は25時、とっくに深夜を回っていた。
『ぜぇ、はあ……瑞希、まだ…?』
「まだまだ!頑張ってー」
「限界なら私がおんぶする」
『そ、それは大丈夫…』
もう足も震えて腰も痛くて限界だけれど私は走り続けた。
なんでだかよく分からないけど……希望がある気がして。
「…あっ、奏!着いたよ!」
『え………………!?』
目の前を見上げれば、夜空に照らされて綺麗に咲いている桜が目の前にはあった。
『こ、ここって…』
「ミステリーツアーで行った所とは別の場所だよ!…また新たな思い出を作って欲しくて」
『あ…』
瑞希は私の手を引っ張り、桜の前に立たせた。
「…カメラ設置できたよ」
「あ、ホラホラ皆早く~!撮るよ~! 」
「はあ!?ちょっと、待ってってば!!」
『え…えーっと……』
「3!2!1!」
カシャ
「どうどう!?良く撮れた!?」
「……うん、撮れてるよ」
「あ…結構いい感じじゃん!ホラ、奏もこっち来てよ」
絵名にそう言われ、私はカメラを覗く。
『わ…綺麗だね……』
「でしょでしょ!帰ったらアルバムに貼ろ~っと!」
夜空と桜をバックに私達4人が並んでピースしている写真。
良くありがちな写真でも、それが凄く特別な写真の様に思えた。
「……今日はここで野宿しますか!」
『え、野宿…!?』
「うん、…奏は私と前にしたし平気でしょ?」
『ま、まぁ…でもホテルはどうするの、?』
「え?あのホテルはもうチェックアウトしたよ?」
『え!?そうなの…!?荷物は、?』
「え?奏がホテル内を散歩してる時に済ませておいたけど」
絵名が重そうなバックやらリュックを見せる
『そ、そうだったの…?!気付かなかった…』
「あはは…ごめん、ホテルの方が良かったよね、、?」
『…ううん……野宿は前もしたし、こんなに綺麗な所で寝れるなら良いかな』
「そっか!なら良かった…」
「はぁ……野宿なんて嫌だけど仕方ないわよね~」
絵名が寝袋を引っ張り出しながら言う。
「まぁまぁ、そんな事言わずに~♪」
「……奏も、手伝って」
『あ、うん』
明日には終わってしまうこの時間。
でもそれは……凄く、凄く大切な時間だと言うことを思い知らされた。
『……おやすみ、皆』
「おやすみ~!」
「おやすみ、」
「…おやすみ」
目を閉じれば脳裏に浮かぶのは今日の事だった。
これからどうなるかなんて考えたくもない。
ただ今は、この現実に浸っていたい。