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90日目

 

 

えっと今…訳あって延長旅行中…?なんだ……

 

 

よく分からないけど、暫く家に帰れないかも…、、

 

 

 

…でも、楽しんでみようかな……

 

 

 


目を開ける。

 

 

身体を起こすと、眩しいぐらいの朝日が廃墟に差し込んでいた。

 

 

『そうだった…そういえば、野宿してた…… 』

 

 

「あ、奏おはよう~!よく眠れた?」

 

 

『あ、瑞希おはよう。…うん、久しぶりに良く寝れた気がするよ』

 

 

「そっか、なら良かった!……あ、まふゆと絵名なら外に居るから行ってみたら?」

 

 

『そうなの?じゃあそうするね』

 

廃墟を出ると、まふゆと絵名がベンチに座ってメロンパンを食べていた。

 

 

『2人共、おはよう』

 

 

「あ、奏!おはよ!」

 

 

「奏、おはよう」

 

 

私が水を飲んでいると、瑞希が廃墟から出てきた。

 

 

「あ、ボクはもうメロンパン食べたから奏も食べなよ~!美味しいよ?」

 

 

『そうなの?じゃあ、そうするね』

 

 

まふゆから渡されたメロンパンを1口齧る。



 

サクサクで甘くて…美味しかった。

 

 

 

『…おいしい、!』

 



「本当?なら良かった!…コンビニのやつだけどね……」

 

 

「まぁまぁ、美味しいなら味は関係ないじゃん!」

 



楽しくそんな会話をしながら、ふと空を見る。

 

 

雲一つないぐらいの快晴で、桜がより綺麗に咲いている気がした。

 

 

『…今日は、どうするの?』

 

 

「んー、そうだなぁ…ぶらぶらとどっか歩こっかぁ」

 

 

「そうね…あ、そういえばこの近くにマイナスイオンが沢山ある所があるんだけど…そこ行かない?」

 

 

「あ、いいね~マイナスイオン!」

 

 

「いいと思う」

 

 

『うん、私も行ってみたいな』

 

 

「よしっ、じゃあ食べ終わったら早速行くわよ~!」

 



そんなこんなで私達はマイナスイオンが沢山あるらしい山、?を登る事になった。

 

 

ーーー

 

 

30分後…

 

 

『はあっ、はあ…し、死ぬ……、』

 

 

「…まだ半分も行ってないよ」

 

 

『う…嘘でしょ……はあ、はぁ…』

 

 

「ほらほら奏、頑張って~!マイナスイオン、浴びたいでしょ~?」

 

 

『それは…ぜぇ、はあ……そう、だけ…ど……』

 

 

ガクガク震える脚を奮い立たせ、私は再び山登りを再開した。

 

 

 

ーーー

 

 

「やっと着いた~頂上だよ!!」

 

 

『はあ…はあ……うっ…』

 



なんとかマイナスイオンが沢山あるという山の頂上に着く事に成功した。

 

 

……が、こんなん明日絶対筋肉痛コースだし、もう今にも疲労で倒れそうになっている。

 

 

「奏、大丈夫?」

 

 

『ぅ、ん……、、』

 

 

「ふ~でもマイナスイオン気持ち~!」

 

 

『あ……た、確かに…』

 

 

下を見下ろせば景色を楽しめ、空気を吸えばマイナスイオンで涼しくて気持ちよかった。

 


確かに、登る価値はある…かもしれない、、。

 

 

「…じゃ、皆でこれ飲もっか~」

 

 

瑞希が凄く大きい水筒をリュックから取り出した。

 

 

『なにこれ…、?』

 

 

「この中にハーブティーが入ってるんだ!暖かくて美味しいと思うし、みんなで飲も~よ!」

 

 

「確かにいいわね」

 

 

「…そこのベンチに座ろっか。」

 

 

4人で仲良くベンチに座り、暖かいハーブティーを飲んだ。

 

 

『…あ、美味しい……暖まるな…』

 

 

「ん~美味しいね!はぁ……なんかホットするな…」

 

 

「景色を見ながら飲むハーブティーも良いわね」

 

 

「……そうだね、」

 

 

山頂の景色を見ているとふと現実の事を思い出してしまう。

 

 

…今は、思い出したくない事も含めて

 

 

『……』

 

 

「奏?大丈夫…?」

 

 

「もしかして、体調悪い…?それならごめん……」

 

 

『あ、う、ううん…大丈夫、』

 

 

「……ここから飛び降りたらどうなるか、考えてるの?」

 

  

『えっ!?な、何で分かって……あ…、、』

 

 

「…そっか、まぁ……そう思っちゃうよね~…」

 

 

『ご、ごめんね…折角……、』

 

 

「…大丈夫、仕方ない事だし。」

 

 

「…じゃあ、今落ちてみる? 」

 

 

『へっ?』

 

 

まふゆは私の手を取り、柵に背中を押し付けた。

 

 

『っ…?!な、何するのまふゆ……!』

 

 

「……だって、死にたいんでしょ?なら、止めはしないよ」

 

 

『っ…、』

 

 

まふゆの眼差しは本気だった。

 

 

いざ飛び降りても良い、となっても足が空くんで石のように固まってしまった。

 

 

絵名と瑞希は、それをただ黙って見ている。

 

 

「…まだ、生きたい? 」

 

 

『……っ、うん…今、は、死にたく…ない……』

 

 

私がそう言うと場の雰囲気がフッと暖かくなった気がした。 

 

 

「…なら、それで良い。…………あんなことして、ごめん」

 

 

『だ、大丈夫だよ…!怖かったけど、私が…悪いし……』

   

 

まふゆは私をベンチに座らせ、ハーブティーを差し出した。

 

 

「…少し、落ち着こう」

 

 

『……うん、、そうだね、ありがとうまふゆ』

 

 

1口、ハーブティーを飲んだ。

 

 

暖かくて美味しかった。

 

 

それに、リラックス出来た気もする。

 

 

 

でも…その暖かさに涙が溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……人間って、不思議な生き物だ。

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