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――医療区画編・続き
(手当て相互後/同室経過観察)
⸻
医療区画・個室。
処置は終わったが、
氷毒の経過観察名目で博士はまだ拘束中。
隊長は退出せず、壁際に立っていた。
ド「まだいるのか」
カ「監視だ」
ド「経過は安定している」
カ「急変例もある」
博士はベッドにもたれ、
面白そうに観察する。
ド「君は本当に帰らないな」
カ「任務の延長だ」
ド「なら質問を変えよう」
ゆっくり上体を起こす。
ド「私が急変しなければ」
ド「いつまでそこに立っている?」
数秒の沈黙。
カ「……規定時間までだ」
ド「具体的には?」
カ「夜間観察終了まで」
博士は笑う。
ド「つまり徹夜だな」
カ「問題ない」
ド「私のために?」
視線が向く。
カ「監視対象のためだ」
ド「本当に便利な言葉だな」
ベッドの端を軽く叩く。
ド「なら座れ」
カ「立哨で足りる」
ド「観察精度が下がる」
少し間。
隊長は息を吐き、
椅子を引いて座った。
ド「従順だな」
カ「合理判断だ」
静寂。
夜が深まる。
しばらくして。
ド「……眠気は?」
カ「ない」
ド「嘘だ」
隊長の腕を取り、脈を測る。
カ「触るな」
ド「確認だ」
指先で脈拍を数えながら、低く。
ド「疲労反応が出ている」
ド「戦闘+低温+緊張」
顔を寄せる。
ド「加えて私の監視」
距離が近い。
だが隊長は退かない。
カ「問題ない」
ド「だが効率は悪い」
博士は手首を引き、
ベッド脇へ寄せた。
ド「横になれ」
カ「必要ない」
ド「命令ではない」
囁く。
ド「観察だ」
数秒。
やがて。
カ「……短時間だけだ」
ベッドの端へ腰掛ける隊長。
博士は満足げに笑う。
ド「いい判断だ」
そのまま肩へ軽く触れる。
カ「何を――」
ド「筋緊張確認」
だが触れ方は、
検査にしてはゆっくりだった。
ド「やはり硬い」
ド「常に戦闘態勢だな」
耳元で低く。
ド「私の前でも?」
隊長の呼吸がわずかに揺れる。
カ「……対象が対象だ」
博士は笑い、手を離した。
ド「安心したまえ」
ド「今夜は壊さない」
低く続ける。
ド「観察だけだ」
夜は静かに更けていった。