今日、僕はものすごく困っている。
それは最近できた悩みの種で、口が裂けても他人には言えない悩みだ。クラクサナリデビや、旅人にすら言えない。
そう、
(楓原万葉が可愛すぎる!!!!)
いや僕如きが名前を呼んでいいかは分からないからとりあえず楓原と呼ぼう。
もう一度言おう。楓原が可愛すぎる!!!
くだらないと思うかもしれない。
あ、思ったやつは全員蹴りつける。
だってよく考えてくれ。
あのくるくるで毛束の多いくせっ毛。しかもそれを後ろで結んでるとか完璧かよ。なんだそれ可愛い。しかもメッシュとか結び方とか髪質とかもう丹羽じゃんか。
なんで何百年経って残っているところがそこなんだありがたすぎるだろう。
しかもあの口調!!ござる?はぁ?可愛いんだが刺すぞ。
たたら砂の時代には初めて聞いたから違和感なんて覚えなかったが…なんであそこが遺伝してるんだ神か。いや神だな。
性格もなんだあれは聖人の塊か。いつもにこにこ愛想を振りまいて…あれで変な奴に襲われたりでもしたらどうするつもりなんだ??いやそんなことをする輩が居たらまず切り刻むが、というか普通に突っ立っているだけでも後ろから日光が見えてくるんだ。おかしいだろ。可愛いとは多分楓原のためにあるような言葉だろう?いや逆に誰に使うんだ。例えば人は猫や犬が可愛いと言う。だけどそれは楓原が犬猫を愛でている姿が可愛いということだろう?違うのか?いや違わないよな。
「第一、なんだあの服装は、ズボンの下にタイツまで履いて着込んでいる癖に胸元だけ若干見えているのは流石に….」
「放浪者殿?」
「….楓原?」
うわっ天使がッ!?はっ?やばい楓原(天使)の頭の上に光っている輪っかが見える。それに背中から羽のようなものが…..、あれ、ないなおかしい。
あれ待てよ。…..もしかして
えっ、き、かれていた…?
やばいやばいこれを聞かれていたら僕の人生終わる。まぁ生きてないから人生じゃないかそんなことはどうでもいい。
あの独り言を聞かれて僕と疎遠にでもなったら僕もう無理死ぬ…あ、いや、楓原が僕なんかという罪人と関わらなくなるのは逆に良いこと…?いやでも、
「放浪者殿、もしや体調が悪い?」
「何?君みたいな青二才に僕が心配されなきゃいけないわけ?」
バレてないよなバレてないよな??良かった大丈夫そうだ。
今日も楓原が可愛いな。僕なんかに体調の心配をしてくれるだなんて…もう死んでもいいかもしれない。あ、いや人形である僕に体調を聞くっていう皮肉か?そうならあの楓原が腹黒いってことで僕が悶え死ぬ良いぞ、もっとやれ
というかそんなことはどうでもいいんだ。まず楓原と会話をしなければ、こんな煩悩だらけで話されたら楓原だって不快だろう。
そうここはいつものように接して混乱しているのはバレないようにして…
「して、先程拙者の服装について何か言っていたようだったが…何か不快なところがあっただろうか、」
あ終わった。はい終わりました。僕が今まで地道コツコツ積み重ねてきた500年間は今にして消え去りました。
というか楓原が本当になんにも知らなそうにというか不安そうに上目遣いしてくるのがなんとも…、
身長少し高めに造られていて良かった。心做しかいつもより眉も下がっているし、捨てられた子犬のようだ。いや子犬なんて下賎なものと楓原を比較しちゃいけない。そうこれは神聖なる神の自信作。そして僕は神に捨てられた失敗作。うわ自分で思い出してちょっと苦しくなってきたいやそんなことはどうでもいい。
あー楓原万葉の不安がってる顔、超可愛い
どうやって返答しようか、変に言っても逆にキモがられるだろう。いや楓原の性格的にそんなことは無いのだが、ゴミを見る目でこちらを見る楓原…、良いな。あぁ話が逸れたな。違うどう誤魔化そう。とりあえず楓原の心配でもしている振りをしよう。まぁ本当に心配していたし
「いや?別に。なんでも無いよ。ただそのタイツは辞めた方がいいんじゃないか?何処かに引っ掛かりでもしたらこっちが面倒だからね。」
「え」
何言ってるんだ僕。この不良品が
これ以上楓原の露出を増やしたら楓原がようわからん輩に襲われてそれでタイツを辞めたせいだと気付いてそれを言及した僕が嫌われる可能性があるのになんてこった。
ほら楓原だって、呆気に取られた顔をしているじゃないか。
楓原にこんな顔させるなんて僕は阿呆なのか?いや確かにこんな表情もそそられるものが…あぁいやこんな邪な感情は持たない方がいいか。けれどもこんな可愛い美少年をみて誰が何も思わないだろうか。居るとするなら尊敬する。いや軽蔑する
「えっと…言い訳にはなってしまうが、そのようなことはないでござるよ。今までにも。素材的にも引っかかることは無い故、安心して欲しい。信用出来ないのであれば、…..触ってみるでござるか?」
楓原が軽く足を上げて、袴から引っ張られる。そこから日焼けのしていないましろな肌が露出されて、朱色のタイツ…ニーソックスがよく映える、
そこが発光するかの如く神聖な場所に見えて、絶対領域とはこのことか、
きらきらと輝いている…
こんなの僕なんざが触ったら穢れが移って楓原の太ももが崩れ落ちるぞ。嫌だ僕なんかに触らせるな。というか近付けるな。空気感染して死ぬぞ。というかやめろその神聖で新鮮なその体を僕に見せつけるんじゃない。僕以外に見せたら襲われるぞ。いや、もう僕が襲う寸前だからな?????
「君、もしかしてそういう趣味があったのかい?さっさと仕舞いなよ。」
「えっ、い、いやそのようなわけでは…!見苦しいものを見せてしまったでござるな、あいすまぬ…」
ああああぁああああ、本当にそういうつもりないんだな。ごめん。ごめんなさいこれは多分一生をかけても償えない罪だ、今すぐに死んでも…、
こんなに綺麗な楓原に邪な感情(笑)を思っていたなんてもうほんと死ねカス
さっさと死ねよ失敗作、というかそれよりも可愛いヤバい、なんだあいすまぬって、なんだ見苦しいものって、
全然見苦しくないしなんなら四六時中それ見せてくれても良いんだが?
あいすまぬってもうなんか全てが好きなんだが。はぁこれだから稲妻人め最高かよ
「いや…別に。というか最近は日暮れも早いし、さっさと暖かい場所に帰ると良い。」
「ん?ああ、確かにもう夕暮れでござるな。…放浪者殿と離れるのは気乗りせぬが…お主の言う通りもう宿に戻るとしよう。うむ、放浪者殿。それでは」
「ああ、じゃあね。気をつけるんだよ」
…僕みたいな楓原に劣情を抱えているような奴らに。
「あはは、随分過保護でござるなぁ」
1人の天使は、失敗作にも礼儀正しくクソ可愛な笑顔を浮かべ、反対方向に歩いていった。
あー後ろ姿も凄まじく可愛い…。
笑い方…かわいすぎる…、どちゃくそに可愛いというか愛らしいというか………守るべき稲妻の宝。まさに国宝。天然記念物になってもおかしくないな。ほんとうに。
今日も楓原に嫌われなくて良かった。よし、僕も帰るか。
◇◆◇◆◇◆◇
そういえば最近楓原万葉を見ていないなと思った。
いや、なんというか毎日妄想で楓原のことを考えているから現実か妄想かの区別がつかなくなってきそうなのだ。最早病気だな。楓原万葉が可愛すぎる病
一昨日僕に話しかけてきた楓原は果たして現実世界だっただろうか。確かクッッッソ可愛かったから楓原だな。って考えたら全部現実になってしまうな。
あ、たしか近々会いに行くとか言っていた気がする。楓原。
そろそろこっち来るのか…何しようか…何すると言ってもいつもと同じように茶を飲んで終わりかな。正直あの行為は、可愛い楓原が見れる以外僕にメリット無いんだよな…いやそれが最大のメリットだが?は?
「好きだなぁ…」
あの顔面、体、服装、性格、仕草、声、見た目。全て。嫌いなとこなんて無い。楓原に対する感情に嫌いなんて項目はまず無いが。
「え、」
「は?」
背後から楓原万葉の声がした気がした。いや、絶対間違えることなんて無い、あの可愛い可愛い楓原の声だ。
(デジャヴ…ッ!!!!)
聞かれてないよな、聞かれてないよなあの後半の楓原の好きなところの発言。
あっ、でも前聞かれてたしな聞かれてるよな終わったよな終わってる。
あぁあ、ああぁぁぁあどうしたら良い?どうしたら良い??本当に何を言ったら覚えてないんだ。頭真っ白になって…助けて楓原…助けて可愛い楓原…
「ほっ、放、浪者、殿には…意中の相手が…おる、のか…?」
「は?」
いや居ないけど。恋とかどうでもいいし。人間感情すら理解出来ないのに恋情なんて分かるわけ無いだろ可愛いなおい。
すぐに、居ない。と言いたかったのに、何故か言葉がつっかえた。
「居な…いや、居るかも。」
楓原万葉っていう愛らしい存在がね!恋情はわからないけれど、楓原を可愛いと思うことならある。恋情は相手を可愛い。愛おしいとおもう感情。というのを聞いたことがあった。それならわかるかも。恋情。
「えっ、ッあ、そ、うで、ござ、るか…」
「ちょ、ちょっと!どうしたんだい!」
語尾にかけて段々と声が小さくなっていき、最終的に涙目になっていた。
声を掛けると同時に楓原の方に行き、震えている楓原を抱きしめる。待って本当に無理僕なんかが楓原に触れたくなかったのに…!!!!!!!
なんてそんな懺悔を抱きながら楓原を強く抱いていると、また嗚咽が酷くなり、今度は楓原の瞳から涙が溢れてきた。
は?なぜ?なんで、泣いて…??泣いてる理由が全くわからん。僕…僕のせいだよね?会話の流れ的に…
………あ、ぁぁ、やばい泣いてる。だめだ、謝らないと…
………………だめだ、泣いている楓原に対して、大丈夫かと心配よりも、泣いてる可愛い。の感情の方が先にこみ上げてきた。流石にこれは不謹慎、死ね僕。
「うぁ…ッ、す、すまぬ…ぅ、っ」
「い、いや…大丈夫だけど…」
人気の無い所で良かった、このかわ…泣いている楓原を他人の目に晒さずに済む。
暫くして、座り込んだ楓原を引き続き抱きながら頭を撫でていると嗚咽が収まり、代わりにずび、と鼻を啜る音がした。
「か、くにん…なのだが、お主の言う好き、は、相手に愛おしいと思ったり、……劣情を抱えたりするような、感情のことで、あろうか…」
やばい楓原が可愛すぎてなんにも入ってこない。
愛おしい…?
劣情…?
…深呼吸したい。だって、いや、…
(…………………………めちゃくちゃ思ってる。うん、ごめん万葉。クッソ思ってるよ。)
ごめん綺麗で純白な楓原に抱いてて。
ごめんなさい。本当に。申し訳ない気持ちでいっぱいだよこのまま死にたい。楓原万葉の体温を覚えながら即死したいよ…
「うん…そう、だね。今日も、好きだな(特にその性格とかもう本当にありがとうございます本当は僕のことなんて切り捨ててほしかったけどその寛大な心と性格のお陰で…略。その急に泣き出す所とか。本当に急すぎてビビったけど今現在進行系で思い返しても)、可愛いなって思ったし、会いたいって思った」
「…お、主の…恋路を邪魔するつもりは、無いのだ…。だが、だが、」
「うん…(本当にごめんねこんな楓原への劣情で出来た人形が楓原のこと抱きしめちゃったりなんかしてああもう叩き切っていいよ?今すぐ殺してくれ…)」
鼻を啜りながらも必死に言葉を紡ぐ楓原、可愛い。
なにこれ、かわいい。やだ僕可愛すぎて困っちゃうよ。いやこれ多分可愛いとか言う問題じゃないか、だめ。好き。
やだ、やだ~~~~~~~~
楓原が喋ってるだけでもう可愛いよ~~~~~~~~
「お主の意中の相手は…、拙者で…あってほしいのだ…!男同士で、受け入れられないのは承知の上でござる…!そ、それでも、お主への思いがとめられぬ…っ!」
「うん…(楓原になら殺されてもいいよ本当にこれはふりじゃないから…あっ、もしそのかわいい顔が豹変してめっちゃ殺意で満ち溢れたらそれはそれです)」
………………え?
あ、まって聞いてなかった。めっちゃ聞いてなかった。楓原への懺悔と可愛すぎるといつ気持ちでまったく聞いてなかった。
………え、??????
まって、本当になんて言ったの。かえ、は、?
未だ僕の腕の中に収まっている楓原は 眉間に皺を寄せながら、叫ぶように言った。
「拙者では、だめなのであろう…?換えが聞かぬのだろう…?拙者は、拙者は…!!おぬ───」
「っちょ、ちょっと待ってくれ!」
彼の肩を掴み思い切り揺すると楓原は涙が溜まった目を瞬きさせながら、「は…え、」とか「なに…」とか、腑抜けた声を出している。
あっダメ好き。
って、そうではなくて…!
そうじゃない、この失敗作!楓原を泣かせたゴミ!死ね!カス!あ、違う本当に要点がズレる。そうではなくて、楓原になんて言われたかを確認せねば。
今更思い出した僕は(こんな僕が不躾ながらもというか本当に申し訳ないもう死んでもいいが)楓原の話を遮り、楓原に、言った。
「か、楓原!君、さっき、なんて…!!」
「せ、拙者は…お主のことが、好きだと….、伝えた」
…..。
はぇ、
まって、やっぱり無理だ。潤んだ瞳で僕のことを見上げている楓原、…可愛すぎる。
…ん?あっ、やばい また楓原の話を聞いていなかった。これで何度目だ。流石に、流石に不機嫌になって帰られても文句言えない。あ、だめそんな帰るなんてやだ。
飽きた。
コメント
2件
ありがとうございます。ありがとうございます。放浪者の誕生日では少ないなと思ったのでいいねとりあえず万葉の誕生日にしときました👍