ハッとして目が覚める
まだボーッとする頭のままゆっくりと体を起こして辺りを見渡した
良かった、夢か…
見慣れた部屋のベッドにいることに安心した直後、激しい頭痛が襲ってきた
「ッ--!!」
この夢を見ると必ず頭痛が襲う
私の小さい頃の夢
空白の記憶の終わり
今までも何度かこの夢を見ることがあったけれど最近は頻度が増している
私の記憶に関係することが何か起こるのかな
そんなことを思いながら私は着替えを始める
ここはヴァリュー本部
人々の色彩を奪うバケモノ、モノトーンと戦うヴァリュー隊員の本拠地
モノトーンに色彩を奪われた人は感情も生活の営みも全てを忘れて廃人間とかしてしまう
モノトーンから人々を守るために私たちはモノトーンと戦っている
着替えを終えるとジリリという警報音が鳴り響いた
モノトーンがきた!
私は即座に部屋を飛び出す
走って司令室に飛び込むと忙しなく事務隊員たちが動いていた
その中で一人、多方向に指示を飛ばす人の元へ駆け寄る
「アンバーさん!」
「おお、ヴァイオレット!」
「モノトーンの出現位置は?」
「中出現地帯のⅦ区域だ」
地域ごとに過去のモノトーンの出現率を統合して、高、中、低の地帯をⅠ〜Ⅹに区分することで担当区域を本部と支部でわけている
本部は中出現地帯のⅤから高出現地帯を担当している
「モノトーンの階級は?」
モノトーンの強さはAからDの階級で表される
「Bだ」
アンバーさんが眉間に皺を寄せて唸る
「最近はB以上のモノトーンの出現率が高い。何かの前触れじゃなきゃいいが」
確かに、最近は出現頻度も高くなっている
私のあの夢が最近多いのもこの疲れからなのかな
「今はパトロール中だった隊員が応戦している。ヴァイオレットも至急出動してくれ。あとは、あの2人なんだが……」
そうアンバーさんが言った直後、司令室のドアが開いて2人の青年が走って入ってくる
「遅いぞ!ラヴァ、シアン!」
「なぁなぁなぁ!今回はどんなモノトーンだ?強いか?」
アンバーさんの怒声を無視してシアンが身を乗り出す
「また湧いてきやがって。俺がすぐ倒してやる」
ラヴァが舌打ちをしながらそう呟く
そして2人が私の方を向いて
「「今回も俺たちが倒してかっこいいとこ見せてやるからな!」」
私の肩に手を置いた
アンバーさんは、はぁとため息をつきながら私の方を見て
「またいつも通り、この無頼漢どもを頼む。モノトーンの元へ向かってくれ!」
「はい!」
私は2人に肩を抱かれながらアンバーさんにそう言った
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