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明らかな遅刻です。
wkiさんお誕生日おめでとうございます🎁
本当の意味でのやおい(ヤマなし、オチなし、意味なしです)。久々に聞いたね。
駄作ですがよろしければ楽しんでください。
あ、誕生日には関係ありません。
僕は今日も例に漏れず部屋に篭って制作をしていた。ひと段落ついて、そろそろシャワーを浴びて寝てしまおうかと考えていた時のこと。スマホが音を立てて鳴った。画面に目をやると若井からの着信で、迷わず手に取る。
画面をスワイプして耳にあてると、こちらが話すよりも早く電話口から声がした。
「もしもし、若井さんの彼女さんですか?」
一瞬言葉を失ってしまった。え、バレてる…?と頭によぎったけど、彼女って言ってることから早とちりしているだけだろうと踏む。僕だって気づいてないなこれ。
「あーいや、メンバーの大森です」
「あ、大森さん!あの…実は若井さんが潰れてしまってて…」
「ああ……迎えに行きますよ。場所送っといてください」
声の主はおそらく彼の番組のスタッフで、今日は撮影だったはずだからその後みんなでご飯にでも行ったのだろう。自分で飲んだのか、それとも飲まされたのか。兎に角、余計な迷惑かけてないといいけど。
スマホのバイブが震えて地図の位置情報が送られてきた。
「近っか…」
僕の家から徒歩5分ほどの場所。え…?
あまり早く着きすぎると家バレに繋がる恐れがあるから少しゆっくり支度をする。メガネは最初からかけていたから帽子を深めに被って最低限の変装を身につけた。タクシー使うような距離でもないよなぁ。
「あ、こっちです!」
「…ウチの若井がご迷惑をおかけしてすみません。何か変なこととかしてないですか」
「ええ、特には。」
潰れておいて迷惑じゃないなんて社交辞令だろうけど、一応言葉の通り受け取っておくことにする。机に突っ伏すように眠っている若井をトントンと叩いて起こす。
「若井ー起きてー帰るよ」
「んー…もとき?」
「そうだよ。立てる?帰ろう」
若干ふらつきながらも案外しっかりとした足取りで安堵する。これくらいなら僕でも支えられる。
スタッフの皆さんに声をかけて店を出る。お見送りに出口までついて来てくれた一人が僕に、「若井さんの彼女さんにもよろしくお伝えください」と耳打ちした。
「えっ、と……」
「ああ、踏み込んだこと言ってしまって気を悪くされたらすみません。…若井さんがすごく惚気てらしたので。」
「若井が?」
「はい。普段は普通なのに二人きりだとデレるのが嬉しいとか、可愛すぎていつも余裕ないとか…」
心臓が早鐘を打ち、顔が熱を帯びてくるのが分かる。僕は、まだまだありますとでも言いたげなスタッフさんを遮って「伝えておきます」とビジネス的な笑顔を貼り付けて言った。…そうでもしないと頬が緩んでしまいそうだった。
「もときーはやくー!」
「ちょっと若井、危ないから先行かないで」
僕の気も知らないで
「若井転んだらどうするの。一応僕につかまって?ね?」
「手つないでいいの?」
「そうは言ってない」
僕にぴとりとくっついたかと思えば肩を抱かれる。外でそれはちょっと…、まあ、でも、転んで怪我でもされるよりはマシか。
「もときあったかいね。俺もときのとなりがいちばん好き。」
っ…
髪を指ですいてくるくると弄ばれる。
「…ごめんね、制作期間にめいわくかけて。」
ねえ…若井が可愛すぎる。コイツこんな酔い方するんだっけ…?一緒に酒を飲んだのなんて昔のことすぎて忘れてしまった。
……僕以外にこんな可愛い醜態を晒したってこと?…気をつけてよ。男女問わず、誰彼構わず虜にしちゃうんだから。罪な男だよ、ほんとに。
「迷惑じゃないから大丈夫。でも、さ」
途中で口籠った僕に、若井の熱った顔がこちらを向いた。思ったよりも至近距離に顔がきて驚いてしまった。思わず後退りするが肩を抱かれているので逃げられない。
「…僕がいない所でお酒飲むの心配…だな、って」
「え」
「ああ…そうだよね……ごめん」
「いや、別に咎めたいわけじゃなくて…ね。若井ってお酒飲むと普段より100倍増しくらいで魅力がすごくて。……心配」
僕に回された手にきゅっと力がこもったような気がした。
「もとき、ちゅーして」
部屋に入るなり若井はキスをせがんだ。
上目遣いで若井と目を合わせてからゆっくりと閉じる。顔にひんやりと冷たい手が添えられて、熱い呼吸が近づいてくる。
「ん」
「ぁ…わか、」
一瞬で離れてしまったその熱に寂しさを覚える。
「…もとき疲れてるでしょ?一緒にねよ?」
ただ寝るだけ…?身体はすでに期待してしまっていて、心も若井に絆されるつもり満々だったのに。制作期間と銘打っている時期は、若井涼ちゃんとは違うスケジュールで動くことが多い。だから若井に会ったのも実は久々で、もう少しくらい構ってくれてもいいのに。
でも、
「若井お風呂入ってきちゃいな。沸いてるからさ」
「ありがとう」
「気をつけてね。倒れないでよ?」
無理はさせられないよね。
「おはよう」
「おはよ」
目が覚めると若井の腕の中だった。胸に顔を埋めてすんすんと匂いを嗅ぐ。はぁ…めちゃめちゃ落ち着く。
あ…そうだ、聞きたいことがあったんだった。
「ね若井、昨日店選ぶ時もしかして俺の家基準で考えたりした?」
「ん?ああ…そう。…もし帰れなくなっても元貴がきてくれるかなって」
「はぁああああ」
何?ほんとコイツ…いつもは意味分からないくらいかっこよくてドキドキさせられっぱなしなのに、たまに可愛すぎてどうしようもなくなる。
「ずるい!何だよそれ!若井のばか!」
僕は若井の胸元をぼかぼか殴った。…照れ隠しだ。
「来てくれてありがとね、元貴」
お互いにお互いをかわいいって思いあってるカップルって素敵だよねって話