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ごめんなさい。今回も実際の動画を使わせてもらったんですが、本当にうろ覚えです。絶対間違ってます。ていうかほとんど想像で(((殴

間違っていても見逃してください…お願いします。

ちなみに今回はやばいですよ、本当に長いです。

一万文字到達しました。…へへ。

ちなみに、途中で2ページ目?に入るんですけど、2ページ目からはetさん視点となります。




***


俺は、一途だと思う。

「あー…実は俺一途なんだよね〜w」

『えーそうなんですか!?』

『yanくんの彼女さん、幸せそ〜w』

「いや、俺彼女いないから…(笑)」

配信で、視聴者さんに言うほどには。

メンバーも、知ってるほどには。

だけど。

『え、でもみんな簡単にyanくんに惚れそう!w』

「…彼女…なんて、簡単にできないから…」

俺が一番知っててほしい人には知られてないけど。



***

ある日の昼下がり。

携帯から電話がかかった。

「…もしもし」

相手は、jp。

俺が好意を抱いている人じゃなくて落ち込む。でも、もしその人だったとしても、上手く話せるわけないけど。

「あ、もしもし〜、あのさ〜」

「…うん、何?」

「…etさんのことなんだけどさ、そろそろ距離縮めない?」

「…はっ?」

思わず手の力が抜けて、スマホを落としそうになるが、手を伸ばしてなんとかチャッチする。

「なっ…ど、どういうこと!?」

「なんかね〜、リビングとかに行くとさ、気づいたらyanくんetさんのことじーっと目で追ってて。そのくせ話しかけないし。見てるほうがじれったくて〜」

まじか。無意識にetさんのこと目で追ってたんか。

「なっ…ちゃ、ちゃんと話してるよ!?」

「いや、まぁたまに話してるけどさ、yanくん…多分気づいてないけどetさんと話すとき顔赤くなってるよ?」

「…は」

衝撃的な事実。

「…そんなことなっ…」

「…他のメンバーも気づきかけてるんじゃね?」

「っ…や、それは無理…!!」

「ははw冗談冗談w」

なんだコイツ。俺は真剣なのに。

「まぁ、とりあえず、俺は二人の距離を縮めたいわけで、でもyanくん自分から話しかけるだなんて無理じゃん?」

「…ぅ゙っ…頑張ったらいけるしっ…」

完全になめられてる。

「お、なら今から話しかけてみ?この時間帯etさんリビングにいるから…」

「ごめんなさい嘘です俺が悪かったです」

「…はぁ…w、もっと頑張れって〜w、まぁとりあえず話戻すけど、俺はyanくんのために、ある企画をします!!」

「は、はぁ、なるほど?」

「企画名は!!『カップルチャンネル』〜!!」

jpが拍手して盛り上げるが、俺は唖然としている。

「……は?」

言葉が出たのは、この一文字だけ。

「これまじで何日も考えたんだからね!?やらないとか言わないよね!?」

若干圧をかけてくるが、俺はやっぱり。

「っ…無理無理無理無理!!馬っ鹿じゃねぇの!?」

「お゙お゙お゙ぉおおいい!!やれよぉおお!!編集も後回しにしたのにぃ!!」

「いやでも駄目だろぉ!!」

「いやでも俺…もうこの企画に出演する人集めちゃったよ?」

「ん??」

「企画名も言っちゃったよ??」

「…は?」

最後にjpが問題発言して、強制的にやることになってしまった。 俺は認めてないのに…。

だって、もしこの気持ちがバレたら…相手は、どう思うだろうか。

好きだったらいいけど、好きでもないやつにそんな告白されたら、気持ち悪いし、それにメンバーだから、振ったらこの先気まずくなるだろうし。




「…はぁ」

撮影日当日、俺のこの不安な気持ちとは真逆に、jpはノリッノリでワールド内に入る。

「やっほ〜みんな〜!!」

「やっほー」

「…てかjpさん、床までハートにしてるんですね 」

なんか、いつも建築はnaさんに任せてるけど、今回はjpが建築したらしい。

理由は俺にこっそりと教えてくれた。

なんかこのカップルを決める装置を造ったらしいけど、こっそり俺とetさんが必ず同じカップルになるように造ったらしい。

なんでそんなことできるんだよ…。

「ふっふっふ、ラブラブな雰囲気を出したいからね〜、んじゃあ、始めるよ〜」

ソファ的なところに座って、撮影が始まる。隣は…etさんではなかった。

かと言って、俺からetさんの隣に行くとかそんなことできるわけなく、etさんと隣の人をいいなと羨ましがるだけで。

そんなんじゃ、絶対付き合えない。

『yanくん自分から話しかけるだなんて無理じゃん?』

数日前に言われたjpの言葉が胸にグサッと刺さる。

「…」

…うん、そうだよ。

jp、自分から話しかけるだなんて、俺には無理だよ。

そんなことを考えて、心の底から落ち込んで。何してんだろ。これから動画内だけカップルになって、二人きりで話さなくちゃいけないのに。

「…よし、おっけ〜?始めるよ〜」

あぁ、始まってしまう。どうしよう。

上手く話せなかったら。

この気持ちに気づかれたら。




「…皆さん!実は…この中にカップルがいます!」

「ううぇ〜!?」

みんながふざけて驚くふりをしたり、誰だったっけって忘れているふりをしたりしてたが、俺は入れなかった。

いつもなら確実に入っててふざけてたけど、でも、なぜか言葉が出なくて。

…どうしよう、etさんになんて思われるかな。

yanくんと私絡み多くない?なんかやってる?って。

…私のこと好きなの?この前可愛いとか言ってきたし…って。

思われないよね。

こんなことを思っている間も話はどんどん進んでいき、ついに装置を使うときになった。

「さあ〜、最初は誰かな〜?w」

jpが笑いながらスイッチを押す。

どうしよう。一番最初に俺とか出てこないよね? もし出てきたらどうしよう。どんな反応をしよう。

「…え」

ついにjpが声を発 したと思ったら、

「鉄のドアなんだけど…?w」

「っ…はぁぁ…!?w」

安心で思わず叫んでしまう。本当によかった。

jpのおかげで少し緊張がほどけてきた頃、気を取り直して〜…と、jpがもう一度スイッチを押す。

「っ…」

あ、待って…!まだ心の準備が…!!

「…etさん!!」

そんな俺の焦りを無視するように、jpが嬉しそうに声を発する。

「……っ」

一番最初に呼ばれたのはetさん。

嘘だろ、一組目は俺らってこと?

一番最後とかじゃなくて?

ちょっ、こういう場合どうしたらいい?

「えっ、私っ!?」

俺の偽の恋人相手のetさんはというと、俺の気持ちなんか知らずに、驚きながらも楽しそうに笑っている。

「…」

まぁ…etさんが楽しいならいっかって、頬が緩みかけていたとき、jpが『あれ〜誰だっけな〜?etさんの彼氏誰だっけ〜?w』と言って、スイッチを押そうとする。

「っ…」

あ、まって…まだ駄目!

まだ 俺が呼ばれたときの反応を考えてない!

etさんになんとも思われなさそうな反応の仕方、ちっとも思いつかない。

『うわー最悪、ヤンキーだー…w』

て言って、ネタに走る?

いや駄目だ、それはetさんが可哀想。

ていうか、俺がetさんのことをヤンキー呼びをできるかどうかもわからない。

なら…『えっ、俺の相手etさんなの!?やった〜!』

て言って、嬉しそうな反応をする?

…いや無理。そんなの俺ができない。 恥ずかしすぎる。

それにもし、etさんに俺の気持ちがバレちゃったら…他のメンバーに、『もしかしてyanくん…』って、言われてしまったら。

っ…絶対に駄目だ。これならネタに走ったほうがいい。

なら…『おーetさんか、よろしくね』

……うん、まぁこれが一番マシ。気持ちもバレなさそうだし、etさんのこといじってもないし。

ふぅ…と息を吐いて、視点をjpとetさんに交互に見る。

「etさんの彼氏誰だっけな〜?w」

と、言いながら、jpがスイッチを押す。

「……yanくん!!」

jpが俺を見るのと同時に、etさんも俺に視点を移す。

「っ…」

早く反応しないとっと思い、口を大きくは開ける…が、言葉が喉に張り付いているみたいで声が出せない。

「…っ」

焦ってしまうが、とりあえず震える手でetさんの隣に移動する。

etさんの隣に移動したら、etさんが俺の目の前に来て、Shift(しゃがむ)を連打して声を上げる。

「えぇ〜!!yanくん〜!?」

その反応は、嬉しいって意味?

それとも、なんでこいつなのって思われてる?

でも、もしそう思われていたら、こんなに俺に近づいてくるかな。

もし、嫌だなって思われていたとしても、それでもetさんから近づいてきてくれたこの距離を離れたくなくて、離れてほしくなくて。

息をはぁーっと吐き、思いっきり吸って、やっと一言声を出す。

その反応は、ついさっき俺が考えた、あの反応で……。

「…そんな気もしなくもない」

…えっ?まって…俺は何を言ってしまってるんだ?

よろしくねって、言うはずだったのに。

そんな気もしなくもないって…何言ってんだよ。

俺の気持ちが気づかれてもおかしくないぐらいの言葉を発してしまったが、etさんも、他のメンバーも俺の発言した言葉には触れなかった。

よかった、と安心する気持ちが9割で、etさんは俺のことなんとも思ってないんだなと、悲しむ気持ちは1割で。


その後の話は、なんにも頭に入ってこなかった。…が、なんかカップル同士で動画を撮ることになったらしい。



***

一週間後に、撮ってきた動画を見せ合うとjpが言うので、それまでにetさんと予定を合わせて動画を撮ることになった。

「…んじゃあ、よろしくね?etさん」

「…うん、よろしくね」

どんな動画にするか、二人で話し合った結果、お家デートをすることになった。

「…んじゃあ、そこのソファで挨拶しよっか」

緊張してしまって、声が上ずっている気がする。

「ん、オッケー」

etさんがソファの上でShift(しゃがむ)をする。

「あ、これ右クリックすると座れるんだよね」

etさんの隣で右クリックをして、お手本を見せる。

みんながいるときはetさんの隣にいれなくても、二人きりのときは、俺が独り占めできるんだって、謎の優越感に浸って。

「…えぇ〜!!本当だ!すご!!」

etさんが俺の座った姿を見て、すごいと褒めてくれる。

「…ふふっ、あははっ….w」

やっぱり、好きだな。

反応が大きいところも、なんでも褒めてくれるところも、誰にでも、笑いかけてくれるところも。

「右クリックで…いいんだっけ?」

「うん、そうそう」

etさんが俺の隣で座り、声を発する。

「おーすごいなぁ!…もしかして、お得意のコマンド〜?w」

「ははっ、正解で〜す」

昨日の夜、何かかっこいいところを見せたいと思い、俺の得意なコマンドを使った。 コマンドがかっこいいのかどうかはわからないけど…。

「…よし、じゃあそろそろ始めちゃう?」

「そーだね、始めよ〜」

緊張がほどけてきたころ、俺が視点を変えて、撮影を開始することになった。

「んじゃ、いくよ〜、……どうもこんにちは〜!yaetチャンネルのyanでーす」

「etで〜す」

なんだろ、自分でyaetって言うの、めっちゃ恥ずかしい。

「はい今回はね〜、お家デートをしていきたいと思いまーす!やっぱ最近ね、ウイルスとかが流行っちゃって外に出れないわけよ 」

「そーだねぇ」

「…ふっw、まって…w」

思わずふっと笑い出してしまう。

「…どしたのw」

etさんもつられるように笑う。

「……動画っぽくない…w」

違う。これは 咄嗟に思いついた言い訳。

本当は。

「えぇ嘘w」

etさんが緊張しているみたいで、可愛くて。

「…ははっ、ガチガチw」

この時間が、ずっと続いてほしいと思ってしまって。

もしかしたらetさんも、同じこと思ってるのかなだなんて。勘違いしてもいいかなって。

「もー、さっさと終わらせようよ〜w」

「っ…!」

やっぱり、そんなこと思ってもらえてないか。

「…そーだね、やっぱり早く終わりたいよね…(笑)」

「うん、まぁ…ね?(笑)」




その後は、俺の名言が生まれたり、いろんなことがあったけど、意外とスムーズに終わった。

でも、俺の心は、撮影が終わった後でもずっと真っ黒で。

やっぱり、俺は最初から結ばれる運命じゃなかったんだ。

「…ははっ…馬鹿じゃねーか(笑)」

この前の配信中に、『彼女なんて簡単にできないから』って言ったことを思い出す。




***

『yanくんなら、誰でもイチコロですよ〜』

『yanくん、彼女ほしいって言ってますけど、yanくんならすぐ付き合えますよ〜』

「…え〜(笑)…まず、相手がいないし…(笑)」

そう発言した瞬間、コメントの流れるスピードが一気に速くなる。

『え?etさんがいるじゃないですか!』

『etさんは?』

『etさんいるでしょw』

しかも、どのコメントも『etさん』という言葉が入っている。

「っ…」

俺も、できたらetさんと付き合いたい。

だけど、etさんと付き合うことが一番難しいんだよ。

「…なんで皆同じコメントばっかしてくんの…(笑)」

『やっぱりこの前の【こんな幽霊は嫌だ!】で、yanくんといったらetさん!ていうイメージついちゃいましたよね!』

『私はBINGO大会の師匠呼びが忘れられない〜w 』

「…」

視聴者さんにそんなイメージはついても、本人は。

一番知ってて欲しい彼女は。

「……ははっ、そーかな(笑)でも、もしBINGO大会の相手がetさんじゃなくても、師匠呼びはしてたと思うな(笑) 」

違う。

「だから、この前のこんな幽霊は嫌だってやつも、別にetさんじゃなくてnaさんだったら、呼び捨てしてたと思うし…(笑)」

そんなことない。

俺はetさんにしかしないのに。

『えー、なんかちょっとショック…w』

『私はyanくんがそう言ってくれて安心しました!naさんバージョンも見てみたいな〜w』

「…」

もし、相手がnaさんだったら、絶対に呼び捨てとかもしないし、師匠呼びなんかもしない。

特別な人だけにしか、しないのに。

「…っ」

息をはぁっと吸って、『やっぱりetさんにしかしないかも』って。『naさんに呼び捨てはしないな〜』って。そう言うはずだったのに。

「…そうなん?(笑)…見てみたいって…恥ずかしいからやめてもろて(笑)」

言葉が思うように出てこない。

『おっと?もしかしてyanくんとnaさんペアありえる?』

『え、楽しみ〜!!』

『えっ、私yan✕etしか無理なんだけど…』

『…yanくんといえば、etさん…ですよね?』

「…さーね(笑)」



***

「っはぁっ…はぁ…はぁっ…」

違うんだ。本当は俺…。etさんじゃないと嫌なんだ。

それなのに、視聴者さんにまで嘘ついて…。

「っ…」

こんなすぐ嘘ついてしまうような男じゃ、etさんに意識だなんてしてもらえない。

「…嫌だっ…」

etさんのこと、たくさん褒めたり、壁ドンなんかしたりして…。

『…俺は、本気でetさんのこと可愛いって思ってるよ』

『…でも…またこうやってカップル役をするなら、相手は……etさんがいいな』

「っ…あぁ…」

やめろ。

「近づけたと、思ってたのになぁ…っ(笑)」

やめてくれ。

「…今まで、etさんが照れてるなって思ってたのは…俺の勘違いだったのかなぁっ…」

違う…!……違う…のか…?

本当は、照れてなかったり…?

「…」




撮影日、当日。

「よーし、皆いるよね〜?」

jpの言葉に、みんなが返事をする。

「ん、じゃあ撮影始めて動画見よっか」



「…はい!皆さんのカップルチャンネルの動画撮り終えたんでね、早速見ていきたいと思いま〜す!最初はyanくんとetさんカップルから!」



動画を視聴中、皆からの反応があるが、特にjpはめちゃくちゃ笑ってた。… 俺の顔を見ながら。

動画を見終わり、皆からのコメントをもらう。

「いや〜、yanくん引っ張る系男子だね〜! 」

「…(笑)」

いや、それはetさんのために…。

「そうそう、めっちゃ引っ張ってくれた!」

etさんが嬉しそうにそう発言する。

「…っえ」

「おっと〜?w yanく〜ん?」

「っ…」

jpは絶対ニヤニヤしているけど、今はそんなことどうだっていい。

それよりも今は。

「etさんも安心して進められたんじゃない〜?w」

「うん!不安だったからさ、助かったよ!」

「っ…」

etさんが俺の頑張りを認めてくれたみたいで、それが嬉しくて。

「…あ、あり…がと」

『俺からも、etさんのおかげで助かったことがあってさ…』って、そんなこと言えるはずなく、開いた口でなにかできることもなく、そのまま口を閉じてしまう。

「…ふっ…w」

jpから思わず吹き出してしまったような笑い声が聞こえる。口を手で抑えているんだろうけど、丸聞こえだからな。

「…んじゃあ、次のカップルいこっか〜!」



次の動画は、mfdnカップルで、質問コーナーをやったらしい。

しばらくじーっと見ていると、気になる質問が。

「dnさんはよくetさんとマイクラで二人三脚をしていますが、etさんのことはどう思っているんですか?」

と、mfくんが読み上げる。

それまで、なんとなく見ていた俺も、etさんという言葉に、思わず飲んでいたコーラを吹き出してしまいそうになる。

「…ねぇ?これどういうこと? 」

「いや違う違う、w etさんとは、友達として好きなだけで、本命はmfくんだよ?」

「…」

「…それって本当?」

「本当本当!etさんとはただの友達だから!」

「…あーうん、そう、そうだよな」

安心して、気がついたら無意識に言葉が口から出てしまっていた。

「っ…」

すぐ口を抑える。やばい。皆になんとも思われてないといいけど。



幸い、皆mfdnに夢中だったらしく、俺の言葉は全く聞いてなかった。



その後、jpnaカップルの動画も見終わり、この企画の撮影は無事?に終わった。



「はい、お疲れ様〜!」

「いやー、恥ずかしかったですね!」

「私はmfdnで胸がいっぱいw」

「いやまってwめっちゃわかるw」

一人一人がコメントを残していって、そのまま順に抜けていく。

「…それじゃ、じゃあね」

「ばいばいetさ〜ん!」

「…あ、…またね」

今回は、etさんと二人きりになれなかった。いや、まぁ…そうだよな。あんな運良く…。

「…それじゃ、俺も抜けるわ」

etさんがいなくなり、ここにいる理由もなくなった俺は、じゃあねと言って、すぐ通話を抜けた。


***

「ふー…」

ボフッとベッドに倒れて、携帯を掴む。

「はー…」

上手く、できてたかな。

気持ち、バレてないかな。

……というか、俺はどうするんだろう。

気持ちバレてないかなって、告白する気最初からないじゃん。

「……駄目だな、そんなんじゃ…」

勇気がないとか、そんなんじゃなくて。

もし振られたら、この元の関係に戻れないんじゃないかって、怖くなって。

……いや、勇気がないってのもあるかもしんない。

「っはぁあー…」

プルルルルプルルルル

「…電話か」

電話がかかってきて、どうせ相手はjpだろうなっていう気持ちで、スマホを握っていた手を顔の前に動かす。

「……えっ…!?」

ガバッと、勢いよく起き上がる。

「な、ななななんで…」

相手は、ついさっきまで俺の頭の10割を占めていたあの人で。

「…っ」

震える手で電話に出る。

「っ…も、もしもし…!」

緊張して、声が上ずらないように気をつけて喋る。

「あ、もしもし〜」

そんなことを考えている俺の気持ちだなんて知らずに、etさんはいつも通りのゆったりとした声で話している。

「ど、どうしたの、etさんから電話って珍しいよね?」

「…えっとね、今日の撮影のカップルの企画?があったじゃん、それで、私の相手がyanくんだったから、お礼言おうっと思って」

いや、いい子すぎん?

流石etさん。

「え、別に大丈夫だよ?」

「いやでも、本当に助かったから…さ」

「そ、それならよかったけど…俺、別になんもやってないよ?」

「いやいや!めっちゃ引っ張ってくれたじゃん…!」

「それは…」

etさんの前だからって、格好付けようと思って。

「……まぁ、頑張っちゃったわ(笑)」

「……なにそれ(笑)…まぁ、さっきも言ったけど…私、本当安心したの。相手がyanくんでよかった」

「っ…そ、そっか」

胸がドキッとする。

あまりにも大きすぎるドクドクする心臓の音、etさんに聞かれてないといいけど。

「…この前、さ、yanくん…もし次誰かとカップル役をするなら、相手は私がいいって言ってくれたじゃん?」

「っ…うん」

覚えてくれてるんだ。

いや、恥ずかしすぎるけど。

忘れられてないよりはマシ…?かな。

「…前、yanくんに言えなかったけど、本当は私もね、次また誰かとカップル役をするなら、相手は…yanくんがいいなって思ってたの」

「…えっ」

信じられない言葉。

「…なんか、恥ずかしいね、こんなこと言うの。でも、本当だよ?」

「…っ…、あり…がと」

「…だからね、今日yanくんとペアになれて安心したよ」

恥ずかしながらも、一生懸命に俺に思いを伝えてくれるetさん。

もしかしたらって、思いたいけど、etさんが言ってるのはきっと、偽のカップルは俺がいいってこと…だよね。

…それなら、俺だって。

「……うん、俺も…etさんと同じで嬉しかった」

偽から、本物に変えることぐらい。

「…それに、etさんの可愛い姿たくさん見れたし…(笑)」

「……っえ?」

「…etさんが緊張してるとこ、あんま見ないからさ(笑)」

「っ…」

「…メンバーの中だったら、俺…etさんが一番可愛いって思ってるよ」

「……いいよ、気を遣わなくて…(笑)」

「本当だよ、俺…etさんに嘘つかないから」

「…えっ…ど、どういうっ…」

etさん声を無視して、言葉を続ける。

「…ねぇetさん、俺…俺……。……この前etさんと一緒にやったマイクラ楽しかったからさ、もっかい二人でマイクラしない?」

違う。本当に伝えたかった言葉は。

「…えっ、…あ…うん…?」

「…お、やったー(笑)」

あの二文字だけなのに。

好きって、伝えるだけなのに。

「……なんで…、なんで……なの…そんな…」

etさんからボソッと呟いた声が聞こえるが、完全に聞き取れなかった。

「…ん?ごめん…、聞こえなかった」

「…っ…ううん!なんでもないよ…!」

あははっと、優しく笑って誤魔化す。

「…それじゃあ、またね…!」

「えっ、ちょっとまっ…」

ブチッ…

etさんは、なぜか逃げるように電話を切った。

あの言葉に、反応したのかな。

etさんは、今誰のことを考えているのかな。

俺は、毎日ずっと、etさんのことで頭がいっぱいだけど。







ーーーーーーーー2ーーーーーーーー


***

「…はぁー…」

私はクッションをぎゅっと抱いて、顔を埋める。

「どーしよー…」

ついさっきやった企画で、偽のカップルを決めることになった。

そして、その決まった相手と、一週間以内にカップルチャンネルの動画を撮らなければいけないという。

「っ…もー 」

そして、肝心な私の相手は、yanくん。

yanくんとは、この前BINGO大会で同じペアだったし、それに一緒にカップル役もした。

だから、端から見たら、当たりかもしれない。変に気を使わなくて、話しかけやすくて。でも、私は。

「……私は…?」

よかったの…かな。

…だって、ただ同じペアになったことがあるだけで、そんな当たりってことじゃないし。それに、演技とか、チームごとで対戦することのない動画撮影するときは、yanくんと一切喋らないし。…いや、話しかけない私も悪いけどさ。…でもyanくん、jpやnaさんばっかと話してるし。…一応私だって、同じメンバーなんだけど。なんか…他の皆と違うところがある?もしかして…私、嫌なことした?

「…そんなっ…私…」

思い当たることなんて、一つもない。

…でも…なんだろ、この前褒めたことの内容で、嫌なこと言っちゃった?ていうか、そもそもyanくんは私のこと…どう思ってるの?

私にあまり話しかけてこないし、リビングに行って鉢合わせしても、『あっ…ごめん』とか『…あーえっと…じゃ、じゃあね…!』って、すぐ走り去ってしまう。

「…」

私のこと…明らかに避けてるよね。

「まっ…まさか…!そんなことっ…」

…まさか…ね?…でも、一度思ってしまったことを取り消すなんてことはできなくて。

そんなこと…ないよね。yanくんが私のこと避けてるだなんて。

だと信じたくて、念の為と思い、部屋からリビングへと向かった。



***

階段を降りたら、目の前にはリビングに繋がる扉がある。

「ふぅ…よし」

なんだか、緊張してしまう。

おかしいな。ただ真実を確かめに行くだけなのに。

そう自分に言い聞かせ、ドアノブに手をかけたら、ある声が聞こえる。

「ねーお願いだよ〜!」

「っ…!」

yanくんだ。……いるんだ、この扉のすぐそこに。

心臓の音が大きくなる。いや、駄目でしょ。今から会いに行くのに。

ふぅ…と息を吐いてガチャッと扉を開けようとしたら、今度は笑っている声が聞こえる。

「んも〜w、配信かぁ…w」

この高くて可愛らしい声…naさんだ。

…naさんと話してるのかな。二人で。

…やっぱり、仲、いいんだな。

…私には、話しかけてもくれないし、目も合わせてくれないくせに。

そんな気持ちになった私に追い打ちをかけるような、yanくんの言葉が聞こえる。

「お願いします!!naさんにしか頼めないんだよ!」

「っ…!」

違うよ。私がいるじゃん。

私だったら、いつでもオッケーするのに。

私だったら、yanくんとの予定を、誰よりも優先するのに。

「…jpさんたちとかは?」

「…いーや!naさんで大丈夫です!」

「…もー、仕方ないですね〜w」

「おっ、やった〜!」

「一緒に配信、しましょっか」

やだ。嫌だ。やめて。

二人で配信するなら、私も入るから。

二人きりになられるくらいなら、私も一緒に…。

「…っ…」

我に返り、こんなに自分は心が狭かったんだと衝撃を受ける。

「っ…なんでっ…」

私は扉に背中を向け、ひたすら階段を上る。


嫌だ。最低だ私。メンバーにあんな気持ちを抱いてしまうなんて。

だから私はっ…

ドンッ…!

「わっ…!?」

誰かと肩がぶつかる。

「あっ…etさん?…ごめん、大丈夫?」

手をそっとひかれる。

「っ…j、p……ごめん、大丈夫だから」

そっと手をどけて、私はまた上りだした。

「…etさん 」

ガチャ

「あれ、jp?…なんかすごい音したけど大丈夫?」

「あっ、あー…うん、etさんとぶつかっちゃって…」

「え、etさん!?etさんは大丈夫なの!?」

「あー、うん、大丈夫そうだったけど…」



***

「っはぁ…はぁっ…」

ガチャッと勢いよくドアを開けて、ベッドに倒れ込む。

「ごめっ…ごめんなさっ…」

なんで私、メンバーにあんなどす黒い気持ちなんか…。

yanくんに、メンバーと仲良くしないでって言ってるみたいなもんじゃん…。

「…最低だ……」

というか、この前yanくん、配信で一途って言ってたよね…?

一途ってことは、…好きじゃない人に、配信しようだなんて、君にしか頼めないだなんて、言わないよね。

「っ…そっかぁ…そうなんだね…(笑)」

なんだ。言ってくれたらよかったのに。

そしたら私…。

「応援したのに…」

涙腺が緩み、一粒の涙がこぼれたら、どんどんあふれて止まらなくなる。

「っ…お似合いだねって、言ってあげたのにっ」

手で涙を拭き取る。

「…なんっで…あぁっ…」

やっぱり、今まで嘘ついてたんだ。

『可愛い』とか『またカップル役するなら、etさんがいい』とか。

簡単に信じた私が馬鹿だった。

…なんで、信じてしまったのだろう。

「っ…yanくっ…」

この言葉が出てきた瞬間、思わず息をのんだ。

「っ…え」

なんで、私はこんなにyanくんのことを考えているのだろう。

なんで、yanくんって言葉を出すだけで、胸がドキってなるの。

「っ…」

少し考えたら、この気持ちの名前に気づいてしまいそうで。

でも、その気持ちの名前を信じたくなくて。

「っ…yanくんはっ…」

yanくんは、もうすでに他の人に惹かれていて。

「っ…違っ、そんなことっ」

あれ、なんでそんなに信じたくないの?

別に、関係ないじゃん。

「っ…」

考えても考えても、違うって否定しても、結局答えはあの二文字で。



私、yanくんにそんな気持ちを抱いているのかな。

でも、yanくんはもうnaさんに…。

「っ…それならっ…」

それなら、私が振り向かせればいいじゃん。

積極的にyanくんに話しかけて、たくさんかっこいいとか言っちゃおう。そうしたら、いつか私も配信に誘われて…。

「っ…よし」

yanくんに積極的に話しかけている、自分を想像するだけでもう恥ずかしいけど、でも、この気持ちを、何にもなかったように終わらせたくないから。

「…ねぇ、yanくん」

ずっと前、yanくんと撮った写真を見ながら、あのねと言葉をつなげる。

「私…yanくんのことが…」

この言葉を、口に出すだけでめちゃくちゃ恥ずかしいけど、でも、私は。本当の気持ちを。

「好き、です」

想いが通じてほしいだなんて、そんな我儘言わないから。ただ、私はyanくんに、こんな気持ちを抱いていたんだよって、伝わるだけでいいから。




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