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”動物喫茶 いらっしゃい”と書いた看板を手に、りうらは構内を歩いていた。なかなかの客数とりうらと同じように自分たちのクラスを宣伝する生徒たちで廊下はごったがえしていた。元々小柄なりうらだ。人混みで押しつぶされそうになり、たまらず校庭へと移動した。一息ついたが、今度は親と遊びに来ていた子供たちに囲まれてしまった。__ん?ぎこちない仕草で子供たちの相手をしていたら、あつい視線を感じた。何気なく視線の先を追うと
キラキラと目を輝かせてこちらを見ている少年……
あ、あれ、あにきだ。
あにきー、と手を振ろうとして、りうらは今の自分の格好を思い出した。今、りうらは犬の着ぐるみを身につけていた。しかも、奥の手と言うのは伊達じゃない。クラスの女子渾身の作。某有名な可愛らしいキャラクターだ。そういや、あにきって可愛いもの好きなんだっけ。そんなことを考えていたら、悠佑が小走りでこちらに近づいてきた。「なあ、それ、めっちゃ可愛いな!写真、撮ってええ?」弾んだ声で、聞いてくる悠佑。これで最年長なんて、と少し笑ってしまった。中身がりうらだと分かったらこんな顔見せてくれなくなるような気がして、ここは他人のフリをすることにした。声を出さずに大きく頷くと、悠佑は嬉しそうにりうらの腕に飛びつき満面の笑顔で写真を撮り出した。あまりの嬉しそうな悠佑の様子に、りうらまでなんだか楽しくなってしまって、最後には周りの子供たちも巻き込んで某教育番組みたいなポーズまでカメラに納めた。「いや、楽しかった!ありがとうな?」汗ばんできたのか服の胸元をパタパタやりながら悠佑がお礼を言ってきた。その時。「あ、いた、おーい、そろそろ混んできたから戻ってこいよー」「おー、わかったー!………あ。」つい反射的に声を返してしまった。そっと振り向くと、ぽかんとした顔の悠佑と目が合った。
「いやー、なんかあにきがあんまり楽しそうだったから言いそびれちゃったんだよねー。ごめんね、あにき?」りうらのクラスの喫茶店で、ムスッとした顔で席に着いている悠佑の前に俺の奢り!とジュースを置きながら悠佑の顔を覗き込む。「……たまたま通りかかったら学校祭やってて、りうら居るかなーと思って来てみたから別にええんやけど。」__怒っとるよ?ニヤッと笑って一言。最近、グループ内で流行ってる悠佑のネタだ。ついこちらもつられて笑顔になる。「ごめんごめん。ね、俺もうすぐ休憩だから一緒に回ろうよ。」「ええの?友達と回るんやないの?」「大丈夫。明日もあるし。」「そっか?じゃあ待っとるわ。」「うん!」ジュースありがとな、と一言言いおいて、ゆうすは席を立った。さて、もうひと踏ん張り頑張りますか。