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新聞部の少女・レナは、少し暗くなりつつある帰り道を歩いている。
周りにはいつも通りのつまらない景色ばかり。レナは刺激を欲していた。
「事件でも起こればすぐに新聞にしてやるのにな……って、何あれ!?」
彼女の視線の先には…UFOがあった。
「え、嘘…これ本物?記録、記録残さなきゃ…メモ、メモはどこだ…」
鞄からノートを取り出しメモを取っているレナに、UFOから這い出た人型の影が忍び寄り…声を発した。
『Hello、ヒトの小娘。私は宇宙人だ。』
人間の女性にしか見えないようなそれが出す声は、悍ましく、歪んでいて…何十人、何百人もの悲痛な叫びが重なったようだった。
「…え、宇宙、人…?」
思わず取り落としたペンを拾い上げ、自らを“宇宙人”と名乗ったそれは言った。
『これが地球の技術…。我が母性の技術の糧となって貰うとしよう』
「あの、あなたは…」
『そこの小娘。地球を侵略する気はないか?』「侵略…?」
『もちろんタダでとは言わないさ。こちらの条件さえ飲めば、最高の待遇をしてやるぞ?』
『それだけじゃない。大切な人間も、皆守ってやる。どうだ?』
レナは考えた。地球侵略なんてしたら、この世界がどうなってしまうか分からない。でも間違いなくこんなつまらない世界から抜け出せる。
「分かりました。貴方達に力を貸します。」
『命の危険を恐れたか?』
「世界を引っ掻き回したかっただけですよ。」
確かに、レナの中には恐怖もあった。だが、ここから始まる“侵略者”としての生活への興味が上回ってしまった。
『大切な人を守るなんていうのもハッタリかもしれないのに、賢明な判断をした物だ。』
「私には、そんな人いませんから。」
そう。レナには、大切な人なんていなかった。親には放置され、学校では虐められ、やっとの思いで入部した新聞部でも陰口ばかり言われていた。
『成程、そういう事か。では、そうと決まれば早速侵略を始めようか。』
こうして、レナと“宇宙人”の侵略活動が始まった…