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###番犬くんと優等生###
<第七章> 支配者の焦燥
“再会、そして怒号”
夏休みが、異常なほどに長く感じられた。春夜が消えてからの日々、龍崎は彼の影を追い続けた。警察に届けることも、家族に問い詰めることもできない。すべては、自分の周到な手配と嘘によって隠蔽されているからだ。龍崎は苛立ち、焦燥に駆られながらも、春夜が学校に戻ってくるその日を、ただひたすらに待っていた。「自分の所有物」が、必ず戻ってくるという確信にも似た執着が、彼を突き動かしていた。
そして、夏休み明けの始業式の日。
龍崎は、朝一番で春夜のクラスへと向かった。廊下の窓から差し込む朝日は、昨日までの焦燥感を打ち消すかのように、彼の心を静かに満たしていた。クラスの入り口に立つと、教室内はまだざわついていたが、龍崎の姿を見た瞬間、生徒たちのざわめきが波紋のように広がっていく。
春夜は、窓際の席に座っていた。友人と談笑していた彼の視線が、龍崎の姿を捉えた瞬間、その表情に驚愕の色が浮かんだ。しかし、その驚きは一瞬で消え去り、すぐに無表情へと変わる。春夜は、友人に何事か耳打ちすると、ゆっくりと席を立ち、龍崎の方へと歩み寄ってきた。彼の目には、かつての従順な光はどこにもなく、獲物を射抜くような、鋭い殺意が宿っていた。
龍崎は、春夜の目に宿るその光を見て、静かに口角を上げた。
「春夜君。久しぶりですね。僕に会いたかったでしょう?」
龍崎の声は、普段の優等生のそれと変わらず、穏やかで涼やかだった。しかし、その言葉には、春夜の感情を逆撫でするような、冷たい挑発が込められていた。
春夜は何も言わず、ただ龍崎の顔を睨みつけた。そして、龍崎の腕を掴むと、そのまま誰もいない空き教室へと引きずり込んだ。扉が閉まると同時に、二人の間に、張り詰めた沈黙が満ちる。春夜の荒い息遣いだけが、その静寂を破っていた。
「……テメェ……!」
春夜が、まるで獣のように唸り声を上げた、その瞬間だった。
彼は、何の躊躇いもなく、龍崎の顔面目掛けて拳を振り抜いた。その拳には、数週間にわたる監禁の屈辱、家族への嘘、そして何よりも、自身のプライドを深く傷つけられた怒り、そのすべてが込められていた。殺意すら感じさせるほどの、渾身の一撃だ。
龍崎は、その拳を避けることも、防御することもせず、ただじっとその場に立っていた。彼の表情は変わらない。春夜の拳は、龍崎の頬を掠め、しかし彼はそれを受け止めた。僅かに頬が赤くなっただけで、龍崎は春夜の攻撃を受け流した。
「よくぞ、殴りかかってきましたね、春夜君。それが、僕への『挨拶』ですか?」
龍崎は、微動だにせず、冷静に春夜を見据えていた。その落ち着き払った態度が、春夜の怒りに、さらなる油を注ぐ。
「ふざけんなっ……!テメェ、このクソ野郎がっ……!!」
春夜の喉から、叫び声のような、そして怒号のような言葉が噴き出した。それは、溜め込んでいた感情のすべてを吐き出すかのようだった。
「俺が、どんな思いで過ごしたか、分かってんのか!?飯も、トイレも、クソも、テメェの言いなりでっ…。自分の身体が、勝手に快感を求めちまうのが、どれだけ屈辱的だったか……!家族にも、くだらねぇ嘘つきやがって!俺の人生、全部、テメェにめちゃくちゃにされたんだぞっ!!」
春夜は、龍崎の胸倉を掴み、殴りつける。だが、龍崎は一切反撃せず、ただその怒りを全身で受け止めていた。春夜の瞳には、涙すら浮かんでいるようだった。怒り、憎しみ、そして、誰にも見せられなかった自身の惨めさが、彼の全身から溢れ出している。
龍崎は、静かに春夜の言葉を受け止めていた。春夜が吐き出す屈辱の叫び、その一つ一つが、龍崎の心を満たしていく。彼の完璧な支配が、春夜にこれほどの感情を呼び起こしたのだ。その事実に、龍崎の唇の端が、微かに、そして満足げに歪んでいた。
どうでしたか?(╹◡╹)
そろそろ目がしょぼしょぼするので
書くのやめます笑(´-`).。oO
ではまた今度!
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