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最近投稿してなくてすみませんでしたぁ!!!
ちょっと塾が忙しくて……
めっちゃ久々なので下手さがランクアップしていると思いますが、さっそく新しい小説も描いていきたいと思います!
ざっくり説明すると、工事現場の電光誘導員さんが不思議な世界で生きていく…みたいな…
なぜ電光誘導員さんなのかは置いといて…
今回は私の好きなアーティストの一人、煮ル果実さんのキャラクターを使わせていただきます。
曲名等はこの話の最後書きますので。
どうぞお楽しみください!
「…はぁ~…」
沢山のビルが夜の町を彩るいつもの風景を眺めながら、いつものように僕はため息をついた。
ここは様々な人が暮らす町、ネオンタウン。夜景がとても綺麗なことで有名な町らしいが、そんな事は電光誘導員の僕には知ったこっちゃない。
…毎日毎日朝から晩までずっと誘導灯を振り続け、表情筋がつるほどの造り笑顔を浮かべながら時折頭を下げる。そんな人生に僕は心底飽きていた。そりゃあそう生まれたのだからしょうがない。人の役に立つのは嫌いじゃない。でも心は限界を迎えていたようで…
ただ、そんな僕のつまらない日々の中でも、一つだけ楽しみなことがあった。それは町ゆく人々を観察する事だ。
先ほども述べたが、この町には本当に様々な人がいるのだ。頭が蜘蛛で体は人間の、人外(?)や、つばの広い帽子をかぶった疲れ果てた顔の男性…この前はピンクの髪の女の子が深いため息をつきながら歩いていた。
こうして述べてみても結構個性的だろう?まぁ、それがこの町のもう一つの特徴なのだろうけど。
皆が皆幸せな訳じゃない。それが身にしみてわかるんだ。…この世界に幸せ者は一握りしかいない。それが、ここにきて最初に思い知らされたことだ。。
兎にも角にも一旦話を戻そう。特にここの工事は長引くみたいで、あと一年ちょっとはこうしていないといけないらしい。それに対して今日は12月25日。そう。クリスマスだ。
「…ったく。調子狂うわ」
凍える寒さの中、僕はまた一つ、誰にもわからないであろう悪態を吐き捨てる。
とその時
「…お前も災難だな。」
突然隣から聞こえてきた声に、思わず飛び上がった。程なくして僕の視界に映ったのは目の下に濃い隈を浮かべた男性だった。
緑の作業服の間から覗くネクタイはヨレていてワイシャツには所々シワが寄っている。黄色いヘルメットを被っていて、同じ職種の方だろうかと疑問が膨らむ。
「…あ、あの…?」
僕は先ほどの愚痴が聞こえてしまっていたのかもという焦りと驚きで本当に調子を狂わされてしまった。少しずつ落ち着きを取り戻すと、画面から足を踏み出して目の前の男性の隣に着地する。外の方が何倍も寒く、手に雪が付くだけでも震えそうになる。
「ん。」
そんな僕に向かって、彼は一本のカフェオレを差し出してくれた。
「え…ぁ、いいんですか?」
次々と起こる突然の出来事に、僕はなんとかついていこうともがく。
近くのベンチに二人で腰を降ろすと、もらったカフェオレを二口ほど口に含んだ。優しい砂糖の甘さが体を駆け巡る。
「あの、お名前はなんと仰るんですか?」
僕はすぐ隣に座る彼に声をかけた。
「あぁ、俺はノーマン。あのビルでSEの仕事してんだ。」
彼が指差す方を見ると、綺麗に塗装された白い建物が目に入った。二階から三階にかけて『株式会社BeeFRUIS』という看板が飾ってある。
「SEさんだったんですね。僕てっきり工事現場の方かと思いました。」
「あー。まぁでも、同じようなもんかもな。SEってもSES企業だし。」
どうりで顔色が悪いものだと思った。SESといえば残業で有名な職業で、つい先日23歳の男性が過労死するという事件があったのを小耳に挟んだことがある。
「SESって、大変じゃないですか?…気分を害されたなら申し訳ありませんが、貴方、目の下にひどい隈ができていますし…」
ニュースを思い出すと今度は隣にいる彼が翌日に取り上げられるのではと心配になり、彼の目の下の隈を優しくなぞるようにして自己流の労いの言葉をかける。
彼は少し驚いたように僕を見ると、今度はくすぐったそうな顔をして言った。
「そんなのお前もだよ。毎日此処を通るときいつも疲れたような顔して。本当心配になるわ。」
彼もまた同じように僕の目の下をなぞる。端から見たら異様な光景だろうが、今はどうだっていい。僕はよき理解者ができたような気がして少しの嬉しさに浸っていた。
そして、手元の空き缶に目を移すと思い切って彼にこう言った。
「あの‥突然なんですが、カフェオレのお礼に、肩を揉ませていただけないでしょうか?」
「…え?」
案の定彼はまた驚いたような顔を浮かべる。
「嫌だったら構わないんです!いきなりすみません…」
「…いや、揉んでくれんなら、お願い…します…」
気分を害してしまったと思ったが、そうではなかったらしく、彼は少し照れくさそうに僕にそう言った。
「では、失礼します、」
僕は彼の後ろに回ると肩を掴んで親指に力を込めた。
「…あー…そこそこ…お前うまいのな。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
彼の疲れを少しでも癒せると思うと、一層指に力がこもる。
「んっ…うぁー…最高だわ…」
彼も此方に身を預けてくれているようで、少し眠そうな表情を浮かべている。
「眠かったら、寝てくださっても構いませんからね。」
「ん…」
そうしてしばらくすると、すやすやと規則正しい呼吸が聞こえてきた。僕は彼の頭を膝におくと優しく彼の頬をなでる。
「お疲れ様です。ノーマンさん。」
彼の寝顔を眺めていると自然と笑顔になった。なんだか此方まで眠くなってきてあくびが出る。今日はもう寝よう。
「…おやすみなさい」
僕はそっと目を閉じた。
sideノーマン
「…ん…」
太陽に照らされ、俺は眩しさに目を細めた。
…昨日は確か…アパートに向かう最中にコーヒーを買って…そん時確かミスってカフェオレ押しちまったんだっけか…ンでもう一本コーヒー買って……
「はっ!」
ガバッと起きあがると、何か堅いものに額がぶつかった。
「っ…!?」
同時に聞こえた声…なんと目と鼻の先にはヘルメットを被った男の顔があったのだ
「は…!?」
…そうだ思い出した。コーヒーを買った後いつものように蛍光看板を眺めているとため息混じりの愚痴が聞こえて、思わず共感の言葉を呟いたところが全ての始まりだったのだ。
その呟きも蛍光看板の中の人物に聞こえていたようで…なんやかんやあってその後誤購入のカフェオレをコイツにあげて…それの礼にってコイツが肩を揉んでくれて…それが気持ちよすぎて寝落ちしちまったんだった。
「あ…き、昨日はどうも…」
顔を見合わせていると、先に彼の方から話が始まった。
「こちらこそ…」
自覚している無愛想な雰囲気で、俺も返事をする。
『…』
まずい。会話が成り立たない…
しばらくの間沈黙に包まれたが、彼の
「空き缶捨ててきますね。」
という言葉に破られた…
To be continued
続けます!