コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後
やっぱり璃音もチョコ欲しいのかな。でも、チョコあげるってもう告白してるようなもんだよね?
そんなことを考えながら階段を下っていたため、下から人が来ていることに気づかなかず、ぶつかってしまった。
しかも運悪くその相手は以前璃音が言い任してくれた男子たちだった。
「わ!ごめんなさい!」
「よぉ、よくもあん時は恥かかせてくれたな」
一瞬のうちに腕を掴まれてしまった。
「は、離して!」
抵抗してみても、男子の力に女の私が勝てるわけもなかった。1人の男子が私を押さえ、もう1人が拳を振り上げた。
助けて、璃音!
思わず心の中で叫び、ぎゅっと目をつぶった。
「グハッ!」
「…え?」
何が起きたんだろう…
恐る恐る目を開けると、そこにはとても綺麗な女性が立っていた。
「もしかして、紅葉先輩ですか…?」
「あ、大丈夫?ケガは無い?」
「はい…」
「月ちゃんだよね?私の事知ってるんだ」
「もちろんです!紅葉先輩は学校一の美女で有名ですから」
私も密かに憧れていたりする。
「あの、紅葉先輩がどうしてここに?というか何が起こったんですか?」
紅葉先輩はふわりと笑った。思わず見とれてしまう。
「月ちゃんはまだ知らないんだね。実は、私2年生の時から解決やっていうのをやっててね、依頼があったら解決してるの。こう見えて私強いんだよ?月ちゃんも解決して欲しいことがあったら校内の秘密の花園探してみてね」
「はぁ…」
もう何がなんだか…。
「あ、いた!紅葉ちゃん」
ふいに階段の上から優しい声が降ってきた。
「君、そんな所に座り込んでたら危ないよ?」
そう言われて、私は自分が階段の下に座り込んでいることに気がついた。
「あ、すみません!」
「いえいえ〜」
その人はふわりと笑った。なんだか不思議な人だ。それに、とても顔がいい。
「久しぶり、紅葉ちゃん」
「紫音先輩!?」
私をはさんで美男美女が会話をしている。
「あのー?」
忘れられていそうだったので声をかけてみる。
「あ、ごめんね、この人は私の…」
紅葉先輩が急にモゴモゴとなる。
「彼氏です。」
紫音先輩と呼ばれていた人が代わりに答えた。
「え!?」
こんな美形カップルうまれて初めて見た…
「紫音先輩、どうしてここに?」
「もう!今日コーチしに行くってメール送ったのに…」
紫音先輩はほっぺをプクーッと膨らませた。
「ごめんなさい。最近忙しくて…」
「解決屋?」
「はい…」
どうやら2人の会話を聞いていると、紫音先輩はこの高校の卒業生で大学生らしい。
「ちょうどこの月ちゃんも依頼人から頼まれていて、間一髪で助けられたところなんです。」
え?あ、そういえば私名前なんて教えてない。
「でも私、依頼はしてないですよ?」
「鈴峰璃音君知ってる?」
「はい」
「頼まれたのよ。『月を狙ってる奴らがいるから守ってあげてくれませんか』ってね」
璃音が?
「どうして…」
「さすがに、女の子に付きっきりっていうのもね。」
だから先輩に頼んだの?
「なんでそこまで…」
すると紫音先輩がニヤリと笑った。
「はは〜ん。なるほどね。」
「なんですか?」
「月ちゃんも気づいてるんじゃないの?その璃音君の気持ち。」
紫音先輩はそう言ってまたふわりと笑った。
「じゃ、紅葉ちゃん。解決屋もいいけど、ちゃんとマネージャー続けてくれてるんだろうね?」
「それはもちろんです!月ちゃん、気をつけてね。いつでも頼って。」
2人はヒラヒラと手を振って去っていった。
「璃音が私のために?」
…よし。やっぱりチョコあげよう。ちゃんと手作りで。気持ちをちゃんと璃音に伝えたい。
その日の夜、私はお菓子作りが得意な恋雪ちゃんに電話をし、前日に家に来てもらうことになった。