「「では、行ってらっしゃいませ。」」
「うわあああああっ!!!!!」
山に入って早々、何人かがやられた。蘭は日輪刀を握りしめ、目の前の鬼に斬りかかった。
「花の呼吸、弐の型!御影梅!」
日輪刀が鬼の首を斬る。ホロホロと灰になって消えて行った鬼。
初めての感覚だった。
「おい!後ろ!!!!!!!」
ふいに後ろから声がした。振り向くとそこには腕が六本生えた鬼が飛びかかってきたところだった。
「花の呼吸___」
呼吸を放とうとしたが、それより先に鬼の爪が蘭の腹を切り裂く。だめだ。しぬ。
「蟲の呼吸、蟋蟀の舞、鈴唄」
鬼の後ろから紫色の刀身が見える。鈴のような音と共に鬼が切り刻まれ、灰になって消えた。
「すごい…」
感嘆の息を漏らす。驚きで言葉が出ない。
だがその後、さらなる驚きを感じた。
「え……」
そこにいたのは紫色の髪の毛に金色の吊り目を持った少年、入真だった。
「い、入真…?」
「蘭!?」
入真も驚いた様子でこちらを見つめた。
「鳴弦奏奏!轟!」
呼吸を連発する。着地面積を最小限に抑え、集ってきた鬼を吹き飛ばす。
「はぁ、はぁ、」
さっき負った足の傷が痛む。まだ鬼は居るというのに、体力が足りない。
「響斬無間!!」
地面が揺れる。その瞬間、後ろに気配を感じた。振り返ると鬼が十匹くらい居た。もう体力が尽きる。もうだめだ。
「_____縛蕣______鈴乱」
うしろから、こえがする…………だれだ…………?
金髪の子が呼吸を使って鬼を倒してくれている。素知は目の前の異形を飛ばすように刎ねると、金髪の子の方を振り向いた。
「!?」
金髪の子が倒れそうになっている。後ろには鬼の群れがある。
あの子が死んでしまう!
「縛蕣!!!!!」
鬼と鬼の隙間を縫うように斬撃を入れる。再生する前に次の呼吸を使う。
「鈴乱!!!!!」
山が吹き飛ぶような衝撃。轟音。地面が抉られ、崩れ落ちるように山の斜面が滑る。
「金髪の子は…!?」
金髪の子は近くの木の上に居た。気絶しているのか、幹にしがみつくような体制で動かない。
「よっ…」
金髪の子を木から下ろし、手当する。足に傷を負っていた。
「ぅ…?」
瞼が開いた。
「あ、起きた?」
「たすけてくれた、ん、かな…ありがとう、、」
「よかった…生きてる」
「水の呼吸!」
「恋の呼吸!」
滝のような水に、桃色の残像が映える。那津は共に戦っている少年をチラリと見た。水色の髪の毛が跳ね、耳元の雫がキラリと光る。
「はぁ、、」
「那津くん、ありがとう」
「なんで俺の名前しってるの」
「書いてあるじゃん」
少年は那津の髪飾りを指さして言った。
「あぁ、そうか…お前は?」
「こさめだよ。」
この少年に血のつながりがあることを那津は知らなかった。
そして、小鮫も知らなかったし、
まさか死に際に知るとも思っていなかった。
「「おかえりなさいませ。」」
生き残ったのは六人。金髪の少年、「七二」の札をつけた少年。桃色の前髪の少年。紫色の髪の毛の少年、雫の耳飾りをつけた少年、そして素知。
六人はその後共に旅をし、鬼を倒すことを誓った。
次回もお楽しみに
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