〜学校の廊下〜
先程下校中に上北先輩に呼び止められ今は先輩の後に続いて歩いている。先輩と二人きりで喋るおそらく前回の大会ぶりだろう。大会の結果で落ち込んでおり、人気のないところで独り佇んでいた先輩を放っておけなかったのだ。
と…どうやら先輩の教室に着いたようだ。
「さ、入って入って!」と先輩に促され僕は教室に入る。そして先輩の席まで行き、近くの椅子を借りて先輩と向かい合わせになる。そして先輩が口を開いた。
「ごめんね。下校途中だったのにわざわざ呼び止めて。」
「いえいえそんな、構わないですよ。」
「やっぱり俊くんは優しいね。で、ここからが本題なんだけど…」
先輩の真面目な顔を見てピシッと姿勢を正す僕。
「この前の大会で励ましてくれてありがとうね!
みんなが声をかけてくれない中、俊君は唯一声をかけてくれたんだよ?あれがとっても嬉しかったんだ。」
いえいえそんな。僕が落ち込んでいる先輩を放っておけなかっただけですから、わざわざお礼なんていりませんよ。」と僕は答える。
「いやいや、私がお礼しないと気が済まないの!分かってくれた?」
上目遣いでこんなことを言われたならば僕には頷く以外の選択肢は無かった。
「分かりました。わざわざありがとうございます!」
「そうこなくっちゃ!…で早速なんだけど明日の帰りとかに一緒にご飯食べに行けないかな?」
「行けますよ。」
「よし!じゃぁ決まりだね!」
「いやぁ〜わざわざありがとうございます。」
「あ、そうそう俊君に聞きたいことがあったんだ。
「へ?何でしょう?」
「友達がアンケートの課題が出されてて回答をたくさん集めたいから私にも他の人に聞いといてって言ってきたからさ。まだ時間大丈夫?大丈夫だったら頼みたいんだけど…」
「いいですよ。時間は大丈夫です。
「じゃあ3問聞くね。第1問、あなたの好きな食べ物は何ですか?」
一体なんのアンケートだろうか?と思ったが今はそんなことどうでもいい…と考え、好きな食べ物を考える。
「うーん…大体なんでも好きですけど、強いて言うならハンバーグとかですかね。」
「ありがとう。じゃぁ第2問、あなたの好きな女の子の髪型は何ですか?」
益々どんなアンケートだろうか?と思うが…今は質問に答えよう。
「可愛ければ髪型は気にしませんね。」
「ふ〜ん、そっか。じゃあ第3問、恋人はいますか?」
「…へ?」
おっと思わず変な声が出てしまった。いや、本当に何のアンケートだよこれ…と僕は心の中で呟いた。
「恋人はいませんよ。」
「そっか、それよりも今日は長い時間ごめんね!色々とありがとう!」
「いえいえ、そんな大丈夫ですよ。」
そうして先輩と別れた僕は校門前で待たせている彩花の元にダッシュで向かうのであった。
帰り道
「で、結局何の話だったの?」
「あぁ…この前の大会の事とかだよ。あ、それと明日は学校の帰りに先輩とご飯食べて帰るから先帰ってくれ。」
「え…?あ…うん。分かった…」
とそんな会話をしながら僕と彩花は家へと歩いていくのだった。
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