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ruruha
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マリン.
78,825
ーピッー
「エナジードリンク急速タイプが一点で、お会計3600円になります。」
客の人型ロボットが決済を済ませる。
「ありがとうございましたー。またお越し下さいませ。」
ふと後ろを見ると、眼鏡がトレードマークの店長がいた。若くて顔も良いが何処かふわっとした雰囲気である。
「店長、最近エナジードリンクの売れ行きがいいですよねー。」
「ロボットお客さん、大体買って行ってますよ。」
もうそろそろ補充が必要だろうか?とエナジードリンクのコーナーにチラッと目をやる。
缶がある程度残っているので、補充はもう少し先だろう。
和やかな顔の店長が話し出す。
「普通に充電するより速いからね。人型ロボットの方々は一回の充電に三日くらいかかるから。まぁ、個人差もあるけどね。」
「それがエナジードリンクを飲めば三十分で済んでしまう。急速タイプならたった十分。」
「それは魅力的ですね…!」
「まぁ、何回も飲み過ぎると寿命は縮むみたいだけど。」
「僕らにもそういうのあればなぁー…」
金欠コンビニバイトの僕はいっつも自炊である。家賃と学費、その他諸々の最低限の出費でカツカツだ。
とてもが出せない額になるだろう予想はつくが、たまに食事すら作りたくなくなる程疲れる時がある。
その時に飲めるなら…何て楽な事だろう!
「昔は人間用のエナジードリンクもあったらしいけどね。」
「ホントですか!?」
僕は店長の話に飛びつく。期待をこれでもかと膨らませる。
昔…すなわちロボットよりも人類の方が多かった時代にはそんな夢のようなものが!
「でも、魔法のような飲み物って訳ではなかった。完全栄養食でも無いし、大量のカフェインと砂糖が含まれていて、むしろ健康によくなかったらしい。ただ一部に人気があったみたいで色んなフレーバーがあったそうだよ。コーラとかグレープフルーツとか。」
「そんな…。」
僕の期待が風船のようにパァン!と割れる。
それと同時に疑問が湧いた。
「なら、飲むメリット無いですよね…?何で人気あったんですかね?」
「嗜好品だったんですかね?高級飲料の珈琲も昔は庶民でも楽しめる嗜好品だったって聞きましたし。」
「嗜好品でもあったそうだけど、眠気覚ましにも飲まれていたみたいだよ。ゲーマーの方とかが夜通し配信する時とか、会社員が夜明けまで残業する時とか、学生が徹夜で勉強する時とか。かの有名な文豪、江那治先生も原稿がギリギリの時に飲みながら作業してたって話だよ。」
「作家の方も飲んでたんですねー…」
僕は人類繁栄期に想いを馳せる。どんな飲み物だったのだろう。
身体によくない嗜好品、眠気覚まし。でもファンがいた。うーん想像し難い。
「しかも、今と同じで瓶と缶が主流だったんだって。」
「へぇー…」
「身体によくないのは知ってますけど、何だか飲んでみたくなりますねー。
しかもコーラフレーバーまであったんでしょう?どんな味だかますます気になります!」
流通量は少ないが、コーラという飲み物は現代でも手に入る。
「そーだねー。飲んでみたいねー。」
「いっその事、作ってみる?」
「店長、さすがにそれは大変ですよ…」
「あはは、だよねー…」
ーfinー
コメント
1件
読み終えました!エナジードリンクを飲むロボットたちと、その話を聞く人間のバイトくんの対比がすごく味わい深かったです。「僕らにもそういうのあればなぁ…」という一言に、現代を生きる若者の疲れみたいなものが滲んでて、ぐっときました。最後の店長の「作ってみる?」がふわっとした優しさでほっこりしました。人間用エナジードリンク、私も飲んでみたくなりました☕