カオスに監禁されて半年が経った。アイツは悪魔だ。狂っている。私を殴りながら「おはよう!」と平然と挨拶してきたり、私の腕を刃物で切り付けて「ほら、ゾディアークの好きな血だそ!」「鏡越しで見えるか?大好きな絶望してる顔。」なんて、サイコパスと言っていいほどの行動をしてくる。アイツが作るご飯の中にはアイツの髪の毛や爪、血などが入っている。でも食べなければ無理やり入れられる。風呂のときは時々私の顔を水の中に押し込んで呼吸ができないようにしてくる。
「ねえ、食べてよゾディアーク。なあ、なあ。」グイッ
「ゲホッゲホゴホッガッ」
「う”ぇ、」
「出したら駄目じゃんゾディアーク。ほら、早く。口開けてよ。もう一回食べさせてあげるから。」
「安心して。大丈夫だよゾディアーク。死なない程度にやるから。」グッ
「ァガッゴホッゴホッゲホッ ボコッ」グイッ
「ゲホッゲホ ヒュー ヒュー」キッ
「何だ余裕そうじゃん。もう一回いこうか。」ドン
逃げることはできない。私の手足には手錠がついてる。壊したら通知がいくタイプですぐに捕まる。しかも、最近はカオスの機嫌が悪く、私は毎日のように腕を切られるようになった。私が自由に過ごせる時間は大幅に減り、5分しか許されなかった。幸いなことにスマホのパスワードは教えていないからアイツらとの連絡は上手くいっている。早く助けに来てくれ。
「あとどのぐらいかかる。」
「もう少しで家を特定できる。」
「ありがとうゼロムス。」
「ゾディアークさん大丈夫ですか?」
「バレたら終わりだ。慎重に頼む。」
「分かっている。」
「最近の様子はどうだ?」
「カオスはおかしい。早く助けに来てくれ。」
「まかせろ。」
突然目の前が暗くなった。充電が切れたかと思ったが違った。後ろには、カオスがいた。ヤバイ、やり取りを見られたら終わりだ。
「返せ!」
今まで出したことのないくらいの大きな声で叫ぶ。
「なあ、このメッセージ何?」
カオスは静かに私に問いかける。話すわけにはいかない。話したら全て終わりだ。
「聞いてんだけど。」
もう一回聞いてきても、私はずっと黙り続ける。
「・・・俺の愛はゾディアークに足りなかった?伝えられてなかった?何でこんなメッセージ書くの。」
あれが、愛?あんなもの愛じゃない。あの行動が愛なら、私は愛されたくない。愛を象徴とするバハムートが、いつもあの行動をしているのと考えたら、ゾッとする。
「私がお前を好きになるわけないだろ。」
私は冷たく返す。するとカオスは驚いたような目で私を見る。ありえない、というような顔をしていた。私は続けて訴える。
「今まで散々酷いことをしてきたのに、何が足りなかった、だ!?何が伝えられてなかった、だ!?そのメッセージを書く理由なんか決まってる。アイツらに助けを求めただけだ。私はお前の支配から早く抜けd」
瞬間、腕に激痛が走った。生暖かいものが手に垂れてくる。「い”っ・・・!」腕を切られた。カオスを睨む。何でこんなことをするのか。何故監禁するのか。今までの疑問を全て視線に乗せた。
「何だ〜!ゾディアーク俺にかまって欲しかったんだな!そういうことは次から口で言えよ!」
何を言ってるんだコイツは?ついに頭がおかしくなったのか?呆然といている私を見ながら
「俺の注意を向けるためにわざとこういう連絡してたんだろ?マジ可愛いじゃーん!流石俺の彼女!」
カノジョ?私はコイツと付き合っていた訳でもないし、そんな感情は持ち合わせていない。やっぱり、
「・・・カオス、やはりお前は壊れている。」
「ゾディアークに愛されるまで ❤︎」
私はもうここから出ることはできないだろう。スマホも何もかもとられて、ずっとカオスがそばにいる。私を逃す気なんて微塵もない。早くここを出たい。アイツらとまたいつもの日常を送りたい。
私がカオスを好きになったら、ここから出ることができるのか?私がカオスから信用されるくらいの行動をしたら、外に出て過ごせるのか?試す価値はある。時間は掛かっても、絶対にここから脱出してやる。
「カオスを愛するまで。」
コメント
2件
カオスさん!?恐ろしいです…お願いしますからゾディアークさんに怖い思いをさせないでくださーい!こういうストーリーすっごく好きです!本当にありがとうございました😭