「 …ねぇユウ。この部屋熱気という熱気がすごいんだけど… 」
パタパタと手で仰ぐ稔。
「 まぁな。その横の人から出てるのも大きいんじゃねぇーの? 」
俺の横には試合が始まってもないのにメモをとり始めるレオが居た。
「 ユウ場所変わってよ。熱い。 」
「 やだわ。立つのめんどくさい。 」
「 それよりなにより絢乃ちゃん遅いですね… 」
音駒に新しく入った女子マネージャ。
けっこうおっちょこちょいだ。
「 ちょっと城崎見て来いよ 」
「 いや…なんで俺っすか… 」
「 一番席立ちやすそうだから。 」
「 それなら優馬さんもじゃないっすか… 」
「 す、すみません!!遅れました~!! 」
「 どうしたんだ。遅かったな 」
レオが心配する。
「 は、反対の座席に一度行ってしまい…広いうえ分かりにくいですね体育館って… 」
「 まぁ辿り着いて良かったね 」
「 ホントですよ… 」
「 絢乃ちゃん、こっちこっち。 」
楓がそう言って絢乃ちゃんを呼んだ。
「 それにしても…広い体育館ですね… 」
「 だねぇ…あ、レオくんはいつかこんな所で試合するのかな? 」
「 なんで俺なんだ 」
「 いや、だってほら。レオくんは凄い選手になるのかな~って! 」
「 相変わらず、仲良しだよね… 」
俺はそういってちょっと呟いた。
「 稔ももうちょい仲良くしなさいよ 」
ユウはいつも通りツッコんだ。
「 はぁーー東京遠いねぇ…ってか東京暑すぎない? 」
「 まぁ今日真夏日らしいからな 」
冴ちゃんも手で仰ぎながら言った。
「 まぁ宮城よりも暑くて当然ですよね 」
杉下ちゃんのツッコミは的確過ぎる…
「 そうだね杉下チャン!!教えてくれありがとうネ!!! 」
「 …それより、あれ石嶺じゃない? 」
「 え、なに?咲輝がどったの 」
石嶺咲輝。
白鳥沢のビッグエース。
そして十磨の大嫌いな相手。
一言そう自分で言ったもの驚いた。
「 咲輝?!そりゃ来てるか。来てるよね…! 」
「 うるせぇ、十磨。 」
そうしてまた冴木さんが一発かます。
「 ご、ごめんじゃん、冴ちゃん。 」
「 …みんないるな 」
宮城の連中も、東京も大阪も兵庫も、みんないる。
桜芽の居た席の近くから声が聞こえた。