「 あ、ちょっと待ち。席座ってから食べや 」
銀髪の彩葉がおにぎりを頬張る金髪の音葉に言う。
「 食うし~!!先に食わな食べもんが悲しむねん 」
「 悲しまんわ。味って食べてもらいたいやろ 」
「 あぁ、もう彩葉は俺のオカンか 」
「 だれがお前のオカンや 」
「 はーい。二人共だまりんさーい。 」
「 なぁ飛和!あれ、嘉宮兄弟だ!すげぇ…本物!! 」
「 当たり前だろ、バカ。 」
「 あ、音葉ー彩葉ーそこに烏野いる。 」
「 りっちゃんホンマ?! 」
「 どこや?! 」
「 ほら、そこの。 」
「 あ、ほんまやぁ~!!飛和くん元気~? 」
音葉が駆け寄り声をかけ、彩葉が後ろからついて行く。
「 え、なに?!お前知り合い?! 」
「 いこと 」
「 なんなのお前?!もっと早く言えよ! 」
「 ん、飛和くん。そっちの子は? 」
「 叶桜芽っす。 」
「 へぇ~叶くんな。俺、嘉宮音葉。 」
「 僕、嘉宮彩葉。 」
「 ぞ、ぞ、ぞ、存じております…!!! 」
「 叶くん、ちっちゃいなぁ… 」
「 ほんまや。160もないんとちゃう? 」
「 リベロなん?ポジションどこ? 」
「 ミ、ミドルブロッカーです!! 」
「 …へぇ。試合してみたいなぁ。 」
「 ほんまやな 」
「 あ、せや。十磨元気? 」
「 元気っす。今日来てますよ。 」
「 ほんま?後で行こや。」
そして金髪の方が笑って言った。
「 まぁ十磨とも飛和とも試合したって勝つんは俺やけどな 」
「 …そんなことないっすよ 」
飛和がそういう。
「 えぇ?でも飛和くん下手くそやん。いま正セッターなんやろ?ようやるわ。 」
音葉がそう言って笑う。
「 飛和は、ヘタくそなんかじゃない!! 」
桜芽が立ち上がって言う。
「 んわ、びっくりした 」
「 飛和は、性格はクソだけど、ヘタなんかじゃない!! 」
「 …よう言うやん。 叶桜芽くん。」
ばちばちと音が聞こえるほどに睨み合う。
「 ま、ええやん。飛和くんの実力がどうであれ俺らは知ったこっちゃないやろ 」
彩葉がそう言って睨む音葉を止める。
「 桜芽、その気持ちは伝わったからもうやめろ。 」
「 だって…! 」
「 俺はお前なんかに言われなくても強いんだよ、バカ 」
飛和はそう言って嘉宮兄弟の方を見る。
「 もし、試合当たる時あったら覚悟しててください。 」
「 ほーん。おもろいわ。 」
「 楽しみにしとる。 」
「 お前らーおいてくでー 」
稲荷崎の人がそう言って席に向かった。
「 あ、今いくわ。行くで音葉。 」
「 あぁ、わかった。せやったらじゃあな。 」
そういって嘉宮兄弟は人混みに消えた。
「 すげぇ…本物だった… 」
「 それより…桜芽はよくあんな凄い人相手にケンカ売れるよね… 」
蘭が桜芽らしいと言ってあきれる。
「 あれ、ケンカになんの?事実だろ。飛和はヘタなんかじゃない。 」
「 ソーデスネ 」
蘭は考えることをやめた。
そして試合が始まるのを待った。
始まると、ライトショーを兼ねた選手登場。
日向めっちゃかっこよかった…
他の選手も出てきてた。
ファンサ多い選手と少ない選手の差が凄い。
宮選手と影山選手の違いがやばかった。
そしてスペシャルマッチの説明は黒尾さんがしていた。
あ、スーツ新調してる。
そして試合が始まると、俺は瞬きも忘れてみた。
翔陽の力強いスパイクも全部全部俺が見てた翔陽とはもう違う。
ずっと進化し続ける翔陽に目が離せない。
長く続くラリー。
終わらないで欲しい。ずっと見て居たい。
でも試合は終わり、幸せな時間は終わる。
会場を歩いていると見た事ある選手が沢山いた。
稲荷崎の嘉宮兄弟。
お、あれは梟谷学園の涸寺幸定!
あ、あれ…十磨さんか…?
すると俺は人にぶつかった。
「 すみませ…あ!!! 」
「 …? 」
「 白鳥沢!石嶺咲輝!! 」
「 お前の名前はなんだ 」
「 俺、叶桜芽。いつかあなたを越えます! 」
俺はそう言って足早に撤退した。
なんだろう、勝てる勝てないじゃなくて勝ちたい相手だと思った。
それから俺達は会場に居た烏野時代の翔陽のチームメイトさんに会いに行く。
翔陽と同級生の人やマネージャーの方。
「 この前のインハイ見たよ。すごかったね。結果は残念だけど絶対に勝てるよ! 」
翔陽が一年の時のエース、東峰旭さんに言われる。
そして横には翔陽の同級生、山口忠さんと谷地仁花さんがいた。
この人たちはなんだか安心するなにかと共に心強いなにかがある。
すこし歩いていると聞き覚えのある声がした。
「 あ、桜芽。 」
「 稔!やっと会えた! 」
「 うん。試合、すごかったね。 」
「 すごかった!まじで俺もああなりたい! 」
「 桜芽ならなれそうだけどね 」
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