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Identity V 第五人格 隠囚 ⚠(監禁要素あり 隠者重め)
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暗い部屋に、金属の擦れる音が響いた。
手首を縛る鎖が冷たくて、囚人(ルカ)は思わず肩を震わせた。
囚「…先生、もうやめましょうよ。こんなことして何になるんですか、」
目の前に立つのは昔と同じ優しい顔をしたまま、 どこか壊れたように微笑む隠者(アルヴァ)だった。
彼はしゃがみこみ囚人の頬に触れる。
優しい手のはずが、今は行き場のない重さに変わっていた。
隠「ルーカスが悪いんだよ。私から離れようとするから。逃げるなら……閉じ込めてでもそばに置くしかないじゃないか。」
囚「離れたんじゃない…あなたが勝手にっ!!」
隠「嘘だよな」
声は穏やかなのに、瞳はまるで底が抜けているようだった。
囚人は言葉をなくした。隠者は立ち上がり、部屋の鍵をゆっくり回す。
ガチャリ
隠「ここなら、誰にも邪魔されない。ルーカスは私だけを見ていればいい。ずっと、ずっと」
囚人は鎖を引っ張るが、金属が音を立ててはね返すだけ。
逃げられない現実が胸を締め付けた。
囚「……先生、私本当に、こんなの望んでないんです」
隠「知ってるよ。でも私が望んでる」
隠者は再び近づき、額を囚人の額に押し付けた。
触れているのに、痛いほど切実な距離。
隠「ルーカスがいないと、私は壊れる。 だからルーカスも壊れてくれ、私と同じ場所まで落ちてきてほしいんだよ…」
囚人の心臓が大きく跳ねた。
恐怖だけじゃない。昔から、隠者の真っすぐすぎる愛情に救われたことも、本当は何度もあったから。
囚「……こんなやり方、最低だってわかってるんですか」
隠者は微笑む。歪んでいて、それでいて 泣きそうな顔で。
隠「わかっている。でも、それでもルーカスが欲しいんだよ…」
その言葉が、暗い部屋の中で静かに沈んでいった。
鎖は外れない。扉も開かない。 だけど胸の奥でなにかが歪み、揺れはじめていた。
逃げたいのに、隠者の手を振り払えない。 ーーそんな自分が、いちばん怖かった。
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END