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#文芸アクション
大正
4,228
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「お休み、翠子。じゃあ、行こうか佑里香さん」
見せつけるように私の腰を抱き、引き寄せられる。そして目の前で軽くキス。さすがに翠子さんも悔しそうに唇を噛みしめた。
「足が痛みますわ。寝室まで運んで下さらない?」
負けじと睦月君に言うが、彼は取り合わない。「だったら無理せず自宅に帰るか病院へ行こう。僕は妻以外の女性に触るつもりはないんだ」
「――!!」
翠子さんは顔色を変え、わなわなと震える。
「もういいですわ!」
割と元気な様子で寝室まで行ってしまった。バターン、と力任せに扉を開閉する音も。
「なにあれ。ぜったい仮病だよ。明日追い返してしまおうね」
「すごい方ね……」
思わず本音が出た。
「とりあえずお喋りしたいし、僕たちも行こう」
腰を抱かれたまま、私の部屋に向かった。睦月君と今日はこの部屋で過ごすのね…ドキドキしちゃうよ!
部屋に入った途端、睦月君にぎゅっと抱きしめられた。「先生、迷惑かけちゃってごめんね」
「ううん。私なら平気。睦月君ずっと私の味方してくれたし」
「当然だよ。妻を守るのが僕の役目だから」
凛々しくカッコいい姿にきゅんとくる。
「ありがとう」
どうしよう。変な気分になってくる。距離も近いしなんだか物欲しそうに期待しているみたいな…。
睦月君と目が合った。じっと私を見つめてくる。だめ、どうしよう。ドキドキして、心がぎゅっと掴まれて、体が震えてくる。
「先生……好きだよ」
くい、と顎を持ち上げられ、吸い込まれるようにキス――……
「睦月君……私のこと好きってほんとうなの?」
チャンスだと思い、怖いながらも聞いてみた。気持ちは確かめておきたい!
「僕の気持ち、疑っているの? ひどいな」
「そうじゃないけれど……でも、私なんか睦月君よりずっと年上だし、折り紙のことばっかりやってきたつまらない女だよ? どこがいいの……」
自分で言っていて情けなくなった。偽装とはいえ、こんな私がキラキラの第一線で活躍している睦月君に釣り合うわけがない。
再会してまだ少しの期間なのに、ぐいぐい私の中に入ってくる睦月君に惹かれているのは事実。この関係をずっと続けていきたい、ずっと睦月君と一緒にいたいと思い始めている。
でも、前みたいに睦月君がいなくなったら?
私、もう耐えられないよ――
「先生はずっと僕の太陽だから。あなたが好きな気持ちは、どんな言葉でも言い表せない。僕の愛は重いよ?」
「そんなに思ってもらえるような女じゃないもの。睦月君は若いし、カッコいいし、翠子さんの方がずっと綺麗だし……私なんか……」
恋愛をさぼってきたから、こんなにかっこいい旦那様が急にできたことにも戸惑っているし、迫られることにも慣れていないし、愛が重いとか言われても私はどう対応していいのか、ほんとうにわからない。
ただ、わかっていることは、睦月君を失いたくないってこと。
これが「好き」なのかと聞かれたら、もしかしたらそうなのかもしれない。初めてのことずくめで、自分のことなのにうまくできないしわからない。
「睦月君は、どうして私にそこまでしてくれるの?」
思い切って聞いてみた。なんて答えてくれるのかな。わからなかったら聞いてみるっていうのも…アリだよね?
「好きだからだよ。いけない? 先生がとってもかわいいって思う。僕は先生が大好きなんだ」
ふっと余裕のあるような笑みを見せられた。これだけカッコいいんだから、きっと女性関係も多岐にわたるのだろう。恋愛ド音痴の私と睦月君じゃ釣り合わない気がする。
でも、彼の「大好き」は、慕っている姉への愛情表現のような気がする。でなければ、この年の差で貧乏でさえない女性を選ぶわけがない。睦月君なら選びたい放題だもの。なにも好んで定食屋で働くしかできない私を指名する意味がわからない。
きっと、昔の恩義を感じているだけ。
そう思うと胸の奥がとても苦しく、切なくなった。
この感情は、いったい、なに――?
コメント
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さぶれさん、第10話03読み終えたよ〜!!!💕 もうね、睦月くんの「妻を守るのが僕の役目」発言がカッコよすぎて叫んだ😭🔥あの場面でちゃんと翠子さんを拒否るところ、ヒーローすぎる…!! 佑里香ちゃんの自己肯定感低めな感じもリアルで切なくなるよね…自分なんかって思っちゃう気持ち、恋愛初心者あるあるでわかるわかる〜💦 でも睦月くんが「太陽」って言ってくれてるの最高だよ!! 年の差カップルのすれ違いにきゅんきゅんしっぱなしだった続きが待ちきれないよ🌸