二人とも後ろ手に縛ってあったが、もうすぐここに来る雄大の友達を縛っておくのはまずいかと思い拘束は解かせた。山鹿雄大会長は三十分かからず、獅子丸・虎丸兄弟などいかつい面々を従えて駆けつけてきた。汗をだらだら流し、肩で息をしながら。なぜか相当急いで来てくれたらしい。
「総長、お呼びと聞いて飛んできました。呼ばれて三十分以上待たせたら処刑されると聞いてますが、間に合ったでしょうか?」
「それは横浜デビルの中の話で、あなたとした約束ではないから気にしなくて大丈夫だ」
余に低姿勢の雄大を見て瑠奈は本物だと思わなかったようだが、間男の方は雄大を見た瞬間から呆然としている。本物なのと瑠奈に聞かれて、本物だと答えた。男が雄大と何らかの関係があるのは間違いないようだ。
「わざわざ来てもらったのはそこに座ってる男が雄大会長と友達だと言い張ったからだ。もしそうなら雄大会長に了解取らずにこの男を処刑したら雄大会長のメンツをつぶすことになるからな」
「総長、おれみたいな雑魚のメンツを気にしてくれてありがとうございます。その男の顔は覚えてますが、友達なんかではありません。その男が何をしたかは知りませんが、煮るなり焼くなり好きなようにされるといいでしょう」
「どんな知り合いなんだ?」
「去年だったか極星会が面倒見てる飲み屋で酔って暴れたので、うちの若い衆が少し痛い目に遭わせました」
なるほど、少なくとも雄大の友達ではなかった。これで処刑の障害は何もなくなった。もう用はないので、雄大には帰ってもらった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!