「ほかに助けてくれそうな友達がいるなら呼んでもいいぞ。さっき瑠奈が言っていた横浜デビルの総長だけは無理だろうけどな」
「なぜ無理なの?」
「さっきおまえが言っていた横浜デビルの、悪魔のように強くて血も涙もない総長というのは余のことだからだ」
「え? 音露が横浜デビルの五千人のならず者たちを率いる総長? 何言ってるの? あんたずっといじめられる方だったじゃない?」
それは余が転生してくる前の話だ。この部屋の壁には余の名前の入った横浜デビルの大旗が何枚も飾ってあるのだが、余裕ぶっていてもさすがに緊張していて目に入らなかったのだろう。
「いじめられっ子が不良グループの総長? どうせあれだろ? めちゃくちゃケンカの強い男の女になって、虎の威を借りる狐みたいに威張ってるだけだろ」
余がいじめられっ子だったと聞いて、間男が俄然元気になった。それはいいが、虎の威を借りる狐はただ雄大の手下に半殺しにされただけのくせに雄大と友達だと言い張ったおまえのことだ。