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お城での夕食会。
「キースさん!お久しぶりです。
奥様、はじめまして、ユメと申します。
今日はお招きいただき、ありがとうございます。」
「おー、ユメ!よく来た!
堅苦しいのはなしだ!
くつろいでくれよ!」
「ユメちゃん、ようこそ!
ノヴァです。会えて嬉しいわ。
さあ、みなさん、座って!」
エンジェル家からは、キースさん、ノヴァさん、ザークさん、黒の軍団は、カグヤ様、ハガネ、コガネ、モニカ、エマ、僕で9名。
食事が運ばれてきて、準備が終わるとキースさんが人払いをしてくれた。
今日は込み入った話もあるので、気を利かせてくれている。
僕は黒の軍団の紹介をして、みんなで食事をいただいている。
最初は僕の父親、アキラのことについて話してくれた。
ここエンジェル領で大事変に協力したのち、まもなく街を出た。
冒険者として活動していたのも束の間、引退してそれ以来音信不通になり、消息は絶ったわけだが、何処かで死んだという噂もなく、今も生きていると信じているらしい。
街を出ていく際も、今の僕の状況と違い急いで果たさないといけない目的があったらしく、引き留めも頑なに断り旅立っていったとのこと。
「ユメちゃん。アキラには、十分な感謝もできずにお別れしてしまってね。
その分、ユメちゃんは、いつでも頼ってね!
もう家族だからね!
本当に人生を変えてくれた人だもの。
その子が会いにきてくれたなんて夢のようだわ。」
「はい、当分はお世話になります。
僕も家族にしてもらって嬉しいです。」
そこへ、ソフィアさんが部屋に入って来た。
「遅くなってすまない。」
「おー、来たか?ソフィアも呼んでおいた。
一緒に話した方がいいと思ってな。」
ソフィアさんの料理も運ばれる。
部屋には10名になり、密談の再開。
「そろそろエマ様の話をしてもいいかい?」
「はい、エマ!仮面を取っていいよ。」
「はい!お頭☆
改めて、エマ・カナールです。このたびは、保護に協力いただきありがとうございます。
では、今、カナール皇国で起きていることをお話します。」
カナール皇国では、代々皇王は王女が即位するのだが、成人の儀で聖女を授かった王女が即位という慣わしがある。
これは、歴史的に聖女以外の第一王女が即位した場合、もちろん、クーデターによる王子が即位した歴史もあるのだが、ことごとく、天災による大被害が発生するためであった。
通常、第一王女は聖女を授かる場合がほとんどで、この場合は、大きな問題もなく、粛々と18歳になる年の即位を待つという形になる。
が、今のカナール皇国では、王女3人のうち、聖女を授かった第二王女が次期皇王の資格を持っている。
ちなみに、第一王女は腹違いの姉で、第二王女はエマの双子の姉にあたる。
よって、第二王女が、即位した場合は、第一王女、第三王女は、公爵として、直轄地の一部を治めることになるはずだった。
ところが、あと1年で新皇王即位というタイミングで、第一王女が水面下で動き出した。
それによって国内に2つの勢力が台頭する事態に。
第一王女側の勢力は、表立って行動を起こしていないが、クーデターの準備が進んでいるという噂が流れ出す。
なお、3人の王女については、第二王女が王都に、他の2人は、新皇王即位後の公爵領予定地に居を構えていて、かつ、性格なのか、あまり関心を持っていなかった。
もちろん、第二王女とは仲が良いので、頻繁にやり取りはあったのだが……。
で、エマの逃亡の話になるのだが、ある夜にエマの居城が襲撃される。
何の目的で誰が襲撃したかもわからないが、命の危険を感じたエルザと共に、なんとか城を抜け出すことに成功した。
あとは行き先だが、本来であれば王都を目指し東へ向かうところだが、エルザの考えで西に向かった。
ここからは、道なき道を進み現在に至る。
「なるほど、大変だったね。
まだ、わからないことは多いが、エマ様とエルザが無事で何よりだ。
とにかく、エルザが来るのを待った方がいいな。
ただ、悪いがギルドの国への関与は禁止されている。
なので、エルザが来てからは、友人として協力させてもらうよ。」
「そうだな。私も領主としてできることはないかもしれないが、ユメのなかまとしてのエマ様には、最大限の協力させてもらうぞ。
ノヴァとザークもそのつもりでな!」
「もちろんですよ。ユメちゃんのいい人ですものね!エマ様も可愛い孫ですわ。」
「俺は大丈夫だ!わはは!」
「ありがとうございます☆」
ほんとに無事だったのが、奇跡のような。
もう僕も腹を括って、エマを守る。
あくまで、気持ちの話だが……。
実力が伴ってないのが難点……。
じゃ、エルザさんが来たらどうするかを決めていこう。それまではよくわからないんで、みんなでレベル上げやな。
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