…
…
思い出すのは、いつの日かの朝のこと
太陽の光が差し込む部屋、母親の声、コーヒーと食パンの匂い、街が動き出す音。
俺はそんな朝が大好きだった。
【???】
重たい瞼をゆっくりと開け、少しずつ視点を合わせていく
…無機質な部屋、唯一小窓が一つついているだけの部屋で俺は目を覚ました
朝「ここは…どこだ?」
全く見覚えのない部屋に違和感を覚える。
それに俺はパジャマではなく、水色の病衣を着ていた。
部屋には食パンの焼けた臭いではなく、アルコールの匂いが充満している。
病院なのだろうか…
朝「…と、とりあいず部屋を出るか」
このままここで過ごしてもきっと意味はない、その一心で部屋を出た
【廊下】
朝「ここは、病院なのか…」
朝日に照らされ、廊下は明るい。ただ、看護師や他の患者はいなく、不気味に思える。
俺が今出てきたばかりの部屋には俺の名前である『朝日奈未来』と書かれた表札がついていた
朝「俺、入院なんてしてたか?」
特に病気なんてしてなかったし、ここの病院も見覚えがない。
朝「少し見て回るか…」
廊下には窓が付いており、そこから外を見ることができる。
俺は窓に近づき、外を見ると衝撃的な光景が目に映った
周りは大きなビルで囲まれていた。
それ自体は不思議なことではないが、そのビルには植物が生い茂っていた。
アイビーにアサガオ、エキザカム。目視できるのはこのくらいだが、相当な量がある。
朝「…なんなんだよ、これ…」
雲ひとつない晴天、少し冷たい空気。
田舎特有のもので、都会の息が詰まるような空気を感じない。
俺はここに1人、置いていかれたのだと
今、初めて理解した。
朝「…これからどうするか。」
まず考えなきゃいけないことは外のことではなく、自分のこと
状況を整理しよう。
俺は昨日、普通に学校へ行き、授業を受け、友達と帰った。
朝「…おかしいな」
ただ、俺の記憶は自分の家の玄関に立つ記憶で終わっている。
その後の記憶がごっそりと抜け落ちている。
朝「…っ!」
記憶を思い出すため、必死に脳みそをフル回転させていると
脇腹が痛くなった。ズキズキして体が冷えていく感覚。
その痛みによって俺は、すべての記憶を思い出した。
朝「そうだ…俺、死んだんだ」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!