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数日後。
空気が変わり始めた。
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「ねえ、あの子さ」
小さな声。
でも、わざと聞こえる距離。
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「なんで残ってるの?」
「普通じゃない?」
「結菜の方が全然いいじゃん」
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音は聞こえないふりをした。
気づかないふり。
慣れている。
こういう空気には。
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でも、今回は少し違った。
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「音ってさ」
今度は、はっきりと名前が出る。
「なんであの人と話してんの?」
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胸が一瞬だけ強く締まる。
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彼——音は、人気アイドルだ。
当然、ファンも多い。
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そして結菜は、その一人だった。
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「私、ずっと応援してたんです」
ある日、結菜が彼に話しかけているのを見た。
嬉しそうな顔。
まっすぐな目。
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「そうなんだ、ありがとう」
彼は、いつも通り穏やかに返していた。
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それを見て、胸の奥が少しだけざわつく。
理由は、はっきりしない。