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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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昼間は親戚の酒盛りに付き合い、夜は実家で寿司をご馳走になった。一人暮らしの自宅と実家が比較的近いこともありその日に帰宅。泊まっていけばいいのにと言う両親に、また来るからと告げてさっさと退散した。あのまま居座ると舞花に根掘り葉掘り聞かれそうだったからだ。


「お兄ちゃん、絶対彼女できてる」


残念ながらできてない。好きな人がいるだけ。言わないけど。


「お兄ちゃんに合う人ってどんな人? お兄ちゃんと一緒で不愛想なのかな?」


おい妹よ、失礼極まりないな。まあ俺は決して愛想がいいとは言わないけれど、結子さんはレトワールで1位2位を争うくらいの愛想のよさ……。って、結子さんは彼女じゃないけどな。


そんな調子で俺もボロが出そうだったから、早々に切り上げた。

休みはあと二日。残りは自宅でぐーたら過ごし、俺の短い正月休みは終わった。


連休明けの出勤日、早番の俺は朝から甘い香りに包まれながらケーキを焼いた。休みボケなんて微塵もなく、いつも通りの日常が戻ってきた。今日明日はレトワールは時短営業だ。


ケーキを冷蔵庫へ運ぶと矢田さんが受け取ってくれる。今日は結子さんの姿はない。


「結子さん休みでしたっけ?」


「うん、体調不良だって。熱があるから念のためインフルエンザの検査受けてきますって連絡があったよ」


「えっ、インフルエンザっすか。年始から大変だ」


「だよね。結子さん一人暮らしだから心配だなぁ」


正月は実家に帰るって言ってたから、そこで貰ってしまったのだろうか。インフルエンザだったらしばらく仕事は出来ないわけで……次に結子さんに会えるのはいつだろう。それより一人で大丈夫だろうか。何かお見舞いでも持っていったほうが……いや、迷惑か?


そんなことをグルグル考えていると、矢田さんにニコニコ微笑まれているのに気づいた。

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