テラーノベル
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※自傷行為シーンありです
りょうちゃんに俺のものになって、と伝えてからもう1ヶ月くらい経ってしまった。
その後も2人は何かと俺の心配をしてくれてなんとかまた動き出した···けど、その原動力には前向きさより嫉妬や独占欲のようなものが大きくて皮肉にもそれが俺を動かしたわけだった。
その感情を感じたのはりょうちゃんが若井に笑いかけるときの表情だったり、ふいに触れるボディタッチだったり、2人にしか分からない些細な話をした時だった。
りょうちゃんの心は若井を受け入れているのがわかった。
元々、嘘はつかない人だったけど若井を褒める時にまで嘘がないのはいただけない。 若井との同居なんてもう解消でいいんじゃない?
俺のりょうちゃんを。
取らないで。
今日はたぶんりょうちゃんだけが先に来る、若井は予定があるから。
それまでに部屋を片付けようかとした俺の目に入ったのは荷物を開けようと机に置いたままのカッターナイフだった。
···りょうちゃんを誰にも取られたくない。それを現実にしたい。
けどそれってどうしたら叶うかなぁ?
優しいりょうちゃん。
俺のワガママを聞いて自分を蔑ろにしてでも寄り添ってくれる。
もし、俺がりょうちゃんがいなきゃだめだって死んじゃいそうに寂しいって言ったら?嘘をついても俺のものになってくれる?
···嘘をついているのがわかっても、俺が見なかったことにすればいいだけ。
カチ、カチッ
銀色の刃はいつも気を使って扱っているときはあんなに冷たく見えたのに今はその鋭さが俺を安心させる。
良く切れるだろうな···。
それを手首のあたりに当てて引くと一瞬痛みが走る。
あれ、意外と血って出ないんだ。
次はもう少し、と力を入れる。
···痛い。
けど、ぷつりぷつりと溢れる赤いものが広がっていったことが満足だった。
早くきて、りょうちゃん。
そして俺を心配して、抱きしめて、そして嘘でもいいから愛して。
テーブルの上に投げ出したままの腕を枕に少し目を閉じた。
もうこのまま消えてもいいかと思えるくらい静かな時間だった。
けどやっぱり俺は消えることは出来なくて、りょうちゃんの声で目が覚めたんだ。
コメント
5件
うわ、これは辛すぎる。単に「切ない」の言葉で片付けられないわ⋯⋯
密かに読ませていただいてたのですが、控えめに言って最高です!大好きです!続き待ってます!!