太宰side
殺「太宰くん。君は暗殺をしようと言う気はあるのですか?」
太「テストの話?」
殺「はい。テストの結果が返ってきて全教科満点一位太宰くん。貴方は触手破壊の権利を手放してサポートに転ずると言いましたよね。」
太「僕だったら殺せんせーの触手なんて権利なしでも破壊できる。だから、今はいいやって思って他に譲っただけ。E組がどんな暗殺をするのかも見てみたかったし、それにはサポートが1番だからね。
そう言えば僕の全教科満点で返されたテストを見た時の殺せんせーの反応が面白かったね。殺されるためにここに居るのにあんなに慌てるのだね。ふふふ。」
あの時の殺せんせーの慌てようは実に面白かった。一人で教務室でいきなり慌てるのだもの。流石の僕も驚いた。
殺「見られてたんですか!?ですが、暗殺をする気はあって良かったです。後は授業中の居眠りを何とかしてくれたら良いのですがねぇ。」
これ又慌てた様に話し出す。前から思っていたがとても分かり易い。直ぐに落ち着きを取り戻したのかいつものニヤリとした顔に戻る。
太「それは難しいお願だね。誰も睡魔という悪魔には勝てないのだよ。」
殺「ヌヤ….何か楽しいこととかないんですか?こう….ずっと起きていたいと思う様な事とか。」
中「おーい。太宰居るか?」
殺せんせーからの質問を遮る様にドアの向こうから声が聞こえる。滑りの悪い音をさせて今度は鮮明に声が聞こえる。
中「こんなとこで何してんだ?早く帰るぞ。もう皆んな帰っちまった。」
太「分かったよ。それじゃあ殺せんせー、お話はまた今度にでもしよう。」
殺「はい。さようなら。」
蝉が五月蝿い。沈黙が続く。僕は殺せんせーに聞かれた楽しい事を考えていた。中也を揶揄うのは面白い。僕しか知らない中夜が見れるから。僕だけの中也だって思えるから。でもそれは楽しいと言う感情ではない。独占欲だ。では楽しいとは?分からない。それが僕の結論だ。生憎、僕は楽しいと思えるほどの感情は持ち合わせていない。
太「中也は楽しいかい?」
自然と口から溢れた。すると中也は僕がいきなり変な質問をするばかりに、は?と言葉を漏らす。直ぐに答えは返ってきた。
中「ずっと黙り込んでおいて出した言葉がそれかよ…そんな事分かり切ってんじゃねーか。楽しいに決まってんだろうよ。」
太「どんな時?何をしていれば楽しい?」
中「音楽聴いてる時とか?帽子を選んでる時もだな。ワインセラーに酒を並べるだけでも楽しいな。」
太「ふーん。」
趣味悪い。どれも僕には合わない趣味だ。だがそれが中也らしいと思った。
中「手前…趣味悪いとか思ってんじゃねーだろーな?自分から話振っておいて興味なさそうにしやがって。」
太「そんな事思ってるに決まっているじゃないか。僕は真剣に聞いているよ。」
中「俺の趣味は悪かねーよ!てか、太宰がそんな真剣に考えるほど重要な事なのか?」
太「否、対して重要でもない。少し暇つぶしにでもなるかと思っただけ。」
中「じゃあ何でそんなに泣きそうな顔してんだ。」
太「は?」
泣きそうな顔?僕が?
中「気付いてなかったのかよ。まぁ、手前にアドバイスなんざ意味ねーだろーが、一応言っとくぜ。そんな重く考えなくてもふとした瞬間に分かる事だってあんだ。一回そのこと忘れて普通にしてみろ。」
重い鎖が外れた音がした。中也の言う通りにするのは癪だけど、忘れてやろうじゃないか。探して見つからなかった時、絶望するならば最初から探してなんかやらないさ。
太「中也のくせに。」
其の言葉は誰に届くでもなく青い空に吸い込まれた。
中「あ、さっきの質問だが、もう一つ楽しい事あったわ。我ながら自分でも趣味が悪りーと思うわ。」
太「何だい?」
中「俺と話してる時の太宰の仕草とか表情を見てるのが楽しいな。」
アァ、愛おしい。其の笑顔が僕だけに向けられている。身体中の温度が顔に集中する。今の僕の顔はさぞ酷かろう。こんな表情は中也にだけしか見せられない。
本当に、
太「悪い趣味。」
中「ふはっ、だろ?」
身体が熱いのは太陽の所為。
太「なんか悔しいから今日も僕が上。」
中「何でだよ。」
to be continued
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最後の会話はご想像にお任せします。