Custos side
コン コン コン
「バラム先生、いらっしゃいますか?」
扉をノックし、わざとらしく呼んでみる。一年ぶりに会うため、少し緊張しているものの楽しみが勝っているようでソワソワしながら扉が開かれるのを待つ。数分経っても出てこないので、静かに扉を開き中を覗いてみる。
「…なんだ、出かけてるのか。」
周りを見渡して誰もいないことを確認すると、小声で失礼しましたと呟き扉を閉める。ここにいないとなると何処に居るのか…悩みながらもとりあえず職員室の方へと足を進めていく。元々、お世話になった先生方には挨拶をするつもりだったため、特に気にすることはなく。
「失礼しまーす。バラム先生居ますー?」
先程とは異なり、ノックもせず許可も取らずに扉を開く。懐かしい顔がたくさん見え、安心感を覚えながら職員室内を見渡す。目的の彼は居なかったが、挨拶もついでに、と考え中へ入った。誰に挨拶すべきかと迷ったが、皆忙しそうに動いている。話しかけて良さそうなのは…と見渡して声を掛ける。
「お久しぶりです、ダリ先生。」
「わー!!ルカちゃん!?なっつかしー!いつ帰ってきたの?」
「はは…ついさっきですね。」
「そうそう!スカーラ、おめでとう!」
「あぁ…ありがとうございます。」
「それにしても1年かかるなんて、よっぽど大変なヤツだったんだろうねぇ。あ、ちなみにキミ留年だよ!知ってると思うけど。」
「知ってます。…まぁ、元々離れる気なかったし、学年上がるのもなんかなぁって思ってたので良かったです。」
「そう?ならよかったよ!もう他の先生には会いに行った?」
「いえ、まだ。今から行くところです。」
「えぇ〜!てことは最初に僕に会いに来てくれたってこと…!?いやぁ、嬉しいなぁ!」
「はは…それはよかった。ところで、バラム先生どこに居るか分かります?」
性別不明とはいえ、ちゃん付けで呼ぶのはこのヒトぐらいだ。それにしても慣れない…本当に慣れない。そもそも考えていることが分からないし、出来るだけ敵にはしたくない悪魔の内の一人でもある。まぁ最初に話しかけたのは本当の本当にたまたま偶然だが、それは言わなくてもいいだろう。言ったら話が長引きそうな気がするし。苦笑いで適当に受け流しつつ、彼の居所を尋ねる。結果知らないらしく、お礼を言って足早に離れた。多分知っている様子だった気もするが、このまま話しているより他の先生に聞いた方が良い、と判断してのことだ。先程、新任の先生が1人居ると聞いたので、そちらの方にも機会があれば挨拶をしようと決めた。少し離れたところで足を止め、周りを見渡す。誰に話しかけるべきか…少し迷った後に、他よりも少し暇そうに見える彼に決めた。
「イフリート先生、お久しぶりです。」
「えっ…クストスさん!?久しぶり〜…!!えっと…スカーラ、おめでとう!それにしても凄いなぁ、もう7になったんだよね?」
「ありがとうございます。そうですね、まだ昇級したばかりですけど…」
「いやいや、それでも凄いよ!なんたって、卒業の最低ラインは4なんだからさ。」
「そうですかね。それで言えば、問題児クラス…でしたっけ。2年生までに4に上がらなければ…とかも聞いたんですけど。」
「あー…そうそう。難しいだろうけどねぇ…どうなる事やら。」
「雰囲気というか、ピリピリしてますよね。収穫祭も関係あるんでしょうけど……そういうのが同級生っていうのも1つの理由なんですかね。」
「まー、それもあると思うよ。なにせ、特訓してもらってるからねぇ、問題児クラスは…サポートらしいけど。」
「サポート?どんなサポートなんですか?」
「うーん…確か、先生…じゃないな。師匠?みたいな…外部教師って言うのか?そういうヒト達呼んで、特別に特訓して貰えるんだってさ。」
「へぇ、そりゃまた大変な。どうなるのか楽しみですね。…あぁ、そうだ。バラム先生ってどこにいるか分かりますか?」
「あー!そうだった!!バラム先生もその特別教諭みたいな感じで特訓に参加してるんだよ!…あれ、誰かに教えて貰わなかった?」
「えぇ……いや…ダリ先生とは話しましたけど。そんなことは一言も……。」
「…あぁ……それは…仕方ないね。」
「………まぁ…はい。とりあえず、今は会うの難しいってことですよね?つまり。」
「うーん?…多分そうだと思うけど…。もし戻ってきたら一応伝えとくよ、探してたって。」
「何から何まで…ありがとうございます。あの先生とは違いますね。」
「いやいや、全然。クストスさんはこの後どこか行くの?」
「そうですね……まぁ、他の先生方に挨拶を…とは思ってますけど。なにせ忙しそうですからね、収穫祭前ってのもあって。適当に校内をブラブラしときます。それか……どっか遊びに行きます。」
「はは…君らしいと言えば君らしいのかもね。僕も着いて行こうかって言ってあげたいところだけど…残念ながら仕事があるからなぁ…。」
「大丈夫です。こうやってお話してくれるだけでもありがたいですから。…では、また。」
「うん、わざわざ報告ありがとう。」
一礼して職員室を出る。やっぱり、わざと教えなかったなあのヒト…。いや最初からなんとなくそんな気はしていたけど。特に目的地も決めないで、歩きながら無意識にため息がでる。特訓…どんなことやるんだろうなぁ。普通に戦闘っぽい気もするけど。…あれ、問題児クラスってことはイルマくんも居るのか…と、色々考えながら廊下を歩いていく。たまに会う先生には軽く挨拶をしたり、少し話したりして別れた。そんなことをしている内に、もう夕方になってしまったようだった。今日中に会うのは難しそうなので、一旦諦めて明日会うことに決めた。あまり気は乗らないが…報告も兼ねて一度家に帰ってみるか、とそちらに向かって学校を後にした。
ここで切ります。文章おかしくても
許してください。
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