「こんにちは。依頼達成ですか?」
「いや、登録をしたいんだが」
「とっ、登録ですか?わかりました。少々お待ちください!」
駆け足で部屋に入っていくギルド員。なにかおかしなこと言ったかな?周りを見渡すと、ベテランっぽい冒険者に睨まれた。え⋯なんかごめん。
仕方がないじゃんか。こういうとこ入ったことないし。初めてだし。そう、初心者。初心者だよ?優しくして?
「お待たせしました。この紙にご自身の職業とスキル、得意な魔法をお書きください。使えない場合は書かなくても結構です」
「わかった」
俺はすらすらと記入する。あ、職業どうしよ。ん〜まぁ魔剣士でいいか。魔法も剣も使うし、これがいいだろう。
「よし」
「書けましたか?⋯⋯⋯はい。おっけーです⋯って、魔剣士?!」
ん?
「そうだが⋯何か問題が?」
「ありありですよ⋯。魔剣士なんて、ガルトールさんしかいないんですから」
ガルトール?聞いたことない名だな。
「なぜ1人だと決まっているんだ?」
「なぜって、魔法と剣は同時に使えないからですよ」
言ってることおかしいぞ。それならガルトールって人は魔剣士じゃないってことになる。
「でも、唯一使えるのがガルトールさんなんです。ここ数十年、同じ魔剣士は現れていません。」
なるほど?つまり俺は2人目になろうとしていて、でもそれはありえないと。うん、分からん。
「なら数十年ぶりに若者の魔剣士に会えたって訳だ」
「またまた⋯。」
「やってみないと分からないだろ?試験みたいなのは無いのか?」
「はあ⋯。ありますよ。受けるのならこれから書いていただく予定だった書類は免除できます。で、受けるのですね?嘘はすぐバレますよ?」
どんだけ俺を疑えば気が済むんだこの小娘⋯。
「分かってる。いつ受けられるんだ?」
「いつでもいいですよ。でも、もう少し日を置いてから受けた方がいいかもしれません」
え?シンプルになんで?今すぐ受けたいんだが。
俺はもう訳が分からず、首を傾げてしまう。冒険者ギルド、どうなってんだ。
「今の試験担当者はちょっと⋯あの⋯」
「あの?」
「おいおい、こんな所にガキがいるぜ?」
ガキ?こんなとこいたら色んな意味で危ないぞ。てか何?誰だよ会話の邪魔したやつ。めっちゃうるさい。とにかくガキってどこのどいつだよ?
俺は、あの⋯の後の話を聞く前に当たりを見回した。ん〜⋯子供なんて居ないけどな〜。聞き間違い?
すると、ドスドスと足音を立てて図体のえらいやつが近づいてきた。ん?君も冒険者登録かい?なんつって。
「悪い、もう少し順番待っててくれないか」
「あぁ?」
あぁ?なんだよ。喧嘩売るのか?⋯買わないけど。
「(くくく黒さん⋯。この方が今の⋯)」
担当者ね。わかったわかった。⋯⋯え?待って?俺は今から戦う人を勘違いしてしまった?
「言うじゃねぇかガキ」
は?まだガキいるの?俺の後ろに隠れられたか。早くおうちに帰りな。
と、後ろを向く。
「⋯あれいない」
「てめぇだよ、真っ黒なお前」
あ、俺のことか。はは。すまんすまん。
「(誰がガキだよカス)」
「メルドさんこちら、登録希望の黒さんです」
「はっ、久しぶりに来たかビギナーさんよ」
偉そうにしやがって。ガキなんて呼ばれたの今までで1度もないのに。
「今から受けたい。いいか、メルドさん?」
「はははっ。いいぜ。着いてこい」
あー⋯なんだろう。なんか俺、絡まれやすい体質なのかな。オーラ纏ってる?
コメント
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次回、メルド死す! なんつって。次回も楽しみにしてます