「紫乃お待たせ、帰ろ〜」
部活終わり、いつも通り下駄箱の前で玲花と再会。
「明日から部活ないね〜」
「うん、勉強しなきゃだね」
テストが近く、明日から部活が休みになる。
「幡中さん相原さん」
「あ、佐倉くん」
佐倉くんが男バドの人たちにまたな、と手を振ってこっちに来た。
「二人ともお疲れ様、相原さんなんか久しぶりだね」
「確かに最近あんまり見てなかったかも?あ、紫乃と二人で帰る?」
「あぁううん、一人で帰るよ。俺コンビニ寄るし」
佐倉くんは靴を履き替え昇降口の前で振り返り、じゃあ、と言って手を振った。
「佐倉くんってなんか、、ほんと紳士って感じするよね」
「うん、いい人だよね」
「上岡もいいやつだし、紳士3人の三角関係か、、」
私まで紳士にされてるけど。
「紫乃を好きになろうにも、2人のせいでハードル上がってるんだって」
「ハードル?」
「佐倉くんも上岡もイケメンでいい人だしモテるから、2人の後なんて誰も無理だって男テニの人たちが話してた」
玲花は女子テニス部で男テニに仲の良い人が何人かいるから、話を聞くのかな。
「上岡の話みんな知ってるの?」
知っているのは玲花と宇治だけだと思っていた。
「上岡と紫乃仲良かったから付き合ってるのかってよく聞かれてたじゃん、この前聞かれて上岡が告白したって話したんだって」
「あ、そうなんだ」
玲花って結構人脈広いんだな。
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課題、多いな。
古典だけでもこの前終わらせててよかった。
『日本史のプリントNo.11見せてください!!』
玲花からだ。
プリントの写真を撮って送った。
「お姉ちゃーん」
妹の妃奈乃にドアをノックされ返事をした。
「あ、今勉強中?」
「大丈夫だよ、どうしたの?」
「これお姉ちゃんに見てほしくて」
妃奈乃は絵が描かれた画用紙を私の机に出した。
「えすごい、妃奈乃が描いたの?」
「うん、今度のコンクールに出すの 」
「綺麗に描けたね、きっといい賞もらえるよ」
「ほんと?やった!」
妃奈乃は目を細くして笑って、その絵をどけた。
「あとね、この前美術部に新しい子入ってきたって言ったでしょ?」
「ああうん、同じ1年の子だよね」
「その子すっごい上手くてね、これ見て」
妃奈乃はもう片方の手に持っていた絵を私に見せた。
「ほんとだ、めっちゃ綺麗」
「でしょ!お姉ちゃんに見せたいって言ったら持って帰っていいよって言ってくれて」
『1年 宇治 紗月』
「宇治?」
絵の下に名札が貼ってあった。
「紗月ちゃんっていうんだけど、今日初めて話したの。大人しい子なんだけどいい子そうだよ」
「、、眼鏡かけてない?」
「眼鏡?ううん、かけてないよ」
いや、兄妹だとしても兄が眼鏡だから妹も眼鏡って決まったわけじゃないけど。
「お姉ちゃん 紗月ちゃんのこと知ってるの?」
「ううん、学校に同じ名字の人がいるんだけどその人の妹かなって」
でも、私が中学のとき宇治は居なかったのに、 妹同士は同じ中学なんてことあるのだろうか。
「え、そうなの!女の子?男の子?」
「男の子。その人も美術部でさ」
「じゃあその人お兄ちゃんなのかな、今度聞いてみる!」
やばい、課題やらないと。
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