テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
総いいね600もいくとは思っても
いませんでした。
本当に有難うございます。
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なつはもう冷たくなって何日が過ぎたかも
わからない。
それでも、いるまはその体を丁寧に
拭いて、 きれいに着替えさせて、
二人で決めた新居のリビングに
座らせていた。
姿勢が崩れないように、クッションを
挟んで、手を繋いだまま。
「なつ、今日はオムライスな。ほら、
ケチャップでハート描いて
やったんだから」
スプーンを口元に運ぶ。
だけど、閉じきった唇は動かない。
いるまは少しだけ眉を寄せて、
無理やり唇をこじ開ける。
「もー……意地張んなって。なつ、食えよ。
ちゃんと食えって 俺が作ったんだぞ?」
スプーンを押し込む。冷たい唇、
歯にカチンとぶつかる音。
それでも飲み込むわけがない。
口元からオムライスがとろりと落ちて、
服を汚した。
「……ったく、お前は昔っから、飯くらいちゃんと食えって言ってんのに……」
そう言って、いるまは拭いてやる。
優しく、まるで本当に生きている
恋人にするように。
ーーでも。
日ごとに、なつの身体は痩せていった。
生きてないのに、腐敗してるわけじゃないのに、確実に「失われて」いっていた。
いるまはそれに気づく。
ある朝、手を握った時、その細さに――
骨だけになったような感触に、
手が止まった。
「……なつ?」
返事なんてない。ずっとない。
それなのに、やっと現実が遅れて
追いついてくる。
「……なつ、お前、どこに行こうと
してんだよ」
震える声で、言葉を絞り出す。
「俺を……置いて、どこ行くつもり
なんだよ」
いるまの指が、なつの頬に触れる。
その頬が、冷たいなんてもうわかってたはず
なのに、再び涙があふれる。
「……いやだよ。やだやだやだ、なつ……
俺を独りにしないでくれッ……」
泣きながら縋っても、なつは
微笑んでもくれない。
そして、思考が止まる。
空白が降りてくる。
いるまの頭の中で、ぐるぐると回るのは
「終わりにしたかった」という記憶。
でも――
「……俺、独りじゃ死ねねぇよ……っ」
その言葉は情けなく、苦しく、惨めで、
それでも真実だった。
終わらせるために選んだ場所に、
なつはもういない。
それでも、なつの抜け殻を抱きしめて、
2人の幸せだった日々の幻を、
ぐるぐると思い出す。
「なあ……なつ、なあ……もう一回だけでいい。もう一回だけ、目ぇ開けてくれよ……」
返事がないのを知っていても、いるまは
待ち続ける。
狂気の中で、壊れてなお「壊れきれない」
いるまがそこにいた。
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どうだったでしょうか。
こういうシチュエーションが好きな方
いませんか?
まじで仲良くしましょう。
たぶんなつくんが生き残ってたら速攻で
一人でも自殺できると思うんですよね。
でもいるまくんならちょっとね一人だと
躊躇っちゃうような気がしてぱっと
思いついて描きました。
もうすぐで終わらせて次は
🍵×🦈
🌸×👑
のペアも描いていくつもりです。
コメント
3件
彼の「 閉じきった唇 」が彼が「 意地を張っている 」に置き換えれてるとこが現実逃避してる様を最高に表してて好きです…