千空「…しゃーねぇ、簡単に説明すっぞ。こいつは__」
千空「3700年前、石にならなかったイレギュラーな存在ってだけだ。
今のとこ、それしかわかんねぇ 」
千空「食わなくても寝なくても平気なんだとよ」
『雑だなぁ…そうだけどさ』
大樹「3700年ずっと…!!??そ、それって大丈夫なのか…!?」
『多分?どうもなってないし平気だと思うよ〜…』
千空「なんでお前だけ石化しなかったのか、今のとこデータが少なすぎる。 推測すらできねぇ」
『それはごめんじゃん…だって記憶があいまいみーまいんなんだもん』
大樹は目を丸くして私を見たが、すぐに受け入れた表情になる
大樹「そうだったのか…」
大樹「…元気なんだよな?走れるし、喋れるし、笑えるし」
『いえすいえす、私めちゃ元気。あいあむふぁいん!』
千空「だってよ、 だからあんま心配すんな」
大樹「そうか!ならよかった!!」
そう言って大樹は再び立ち上がり、カゴを持ち上げた
大樹「なら俺は逆サイド採集に行ってくる!!」
うぉー!って叫びながら森に潜っていく大樹の背中を見て
私たちはそれぞれの作業に戻ることにした
しばらく、日が少し傾くくらいの時間が経って__
私は薪を集めたり、水を運んだり、あれこれ動いていた
いつの間にか大樹は採集から戻ってきていて
千空と一緒に” 研究室 “と書かれた小屋にいるようだ
『また実験してるのかな』
そんなことを思ってたら__
千空の声が森に響きわたった
『びっっ…くりした〜…』
慌てて小屋に駆け寄る
『どうしたの?千空、そんな大きい声出して』
千空「あぁ、このデカブツが酒のアルコール__つまり
エタノールの元となるブドウを取ってたんだよ…!」
千空「これがありゃぁ、工業用の腐食液…” ナイタール液 “を作れる…!」
『かいたーる?』
千空「ナイタールな、どう聞き取ったらそんな言葉になるんだよ」
『エッ、イヤ、最初カラワカッテマシタケド??わざとよ、わざと!』
千空「…ま、そーゆーことにしとくわ…つーわけで、てめぇも手伝え」
『もちろ〜ん!!』
ここからの作業は…いつもどうり地獄だったね…
ただ大樹が居たから負担は思ったよりも少なかった
3週間でワインを作るために毎日すり潰して、
ワインを作ったあとは土器でアルコールを濃くするために熱したり冷ましたり…
千空は土器を上手に作れなくて手こずってた
私は千空が土器を乾かしてる間に次の材料を集めたり、
割れた土器の欠片を片っ端から拾って再利用できる部分を仕分けしたり…
時々、千空が専門用語を並べるたびに、 大樹が「???」ってなるから
そのたびに分かりやすい言葉に訳す係になってた
私、頭良くないから合ってたのかはわかんないんだけどね!!
気づけば季節は秋から冬…そして春、
実験を始めてから1年がたった__
” パキッ “
ツバメの羽にアルコールと硝酸の混合液をかけたときにその音が鳴った
大樹が復活したときと、まったく同じ音
『……え、これって、!』
千空はゆっくり羽を持ち上げると、
その手がほんの少しだけ震えていた
大樹「石化が…!とけたぞ!!」
大樹が感動で声を上げる
『…成功したってこと!?』
千空「 まだ気ぃ抜くんじゃねぇ、本体にかけんぞ」
私たちはツバメの石化個体の前に移動し、
千空が慎重に混合液を器に注ぐ
『…い、いくよ?いっちゃうよ?いっちゃうからね!?』
千空「ごちゃごちゃ言ってねぇで早くかけろ!!」
私はそっと液をツバメへ流し込んだ
すると__
“ パキ…パキパキッ “
大樹「お…おぉぉぉ!!!」
大樹が叫ぶ
石の表面が細かく割れていき、
その隙間から柔らかい羽がのぞいた
ぽとん、と
ツバメは石の殻を落とし、
小さく体を震わせて__
チュンチュンと鳴き声を出し、羽ばたいていった
『うっ…そ、ほんとに成功しちゃったよ…!』
千空は小さく息をつき、
どこか誇らしげに口角をあげた
千空「…実験初めて1年…意外と早かったな… 」
千空「地道なもんだ…ファンタジーに、科学で勝ってやんぞ__
唆るぜ、これは…!」
主です 遅くなってしまい申し訳ない…
最後まで見てくれてありがとうございます
もう結婚しますか? 冗談すけどね。ていうか、 今回は短いですね🥺
しかもなんかゆうちゃんの口調最初よりだいぶ変わってるよね
ま、いいか気にしちゃ負けよ皆さん、スルースキルを身につけるんだ!!!
それでは次回作おたのちみに😚
コメント
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きゃぁ!え?神作すぎません⁉︎続き楽しみにしてますっ!

続きが楽しみです!