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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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サービス開始の、翌日。
昨夜は興奮が抜けきらず、なかなか寝付けなかった為……休日という事もあって、起きたのはお昼近く。
のそのそとベッドから這い出して、ぼんやりしながらリビングへと向かってみれば。
「お、やっと起きたか? おはよう夢月」
「……ぅん? うーん、うん? あれ? お兄ちゃんが休日に家に居る」
「普通の社会人は、休日には家に居るものだと思うんだけどな」
私の兄が、普通に家に居た。
ここ最近は特に忙しそうだったから、家で休んでいる姿を見るのは本当に久々というか……ハッ!
「ご、ごめん! すぐご飯作るね! 居候の癖に、お昼まで寝ちゃった!」
「居候って……お前はまたそんな事を」
という事で一瞬にして目を覚まし、バタバタと慌てながらキッチンに駆けこんだ訳だけども。
あれかな、兄は開発部の方だって言っていたし。
サービスが始まっちゃえば、運営管理から外れてお仕事は少なくなる……とか?
いや、流石に無いか。
これから私に新しい仕事を任せて、そっちでもゲームで関わっていく訳だし。
具体的に何をやるとか、兄がどういう仕事をしているのかとかは、ちょっとよく分からないけど。
まぁ何はともあれ、ちゃんとお休み出来る様になったのは良い事だ。
などと考えつつ、簡単ではあるが二人分の食事を作っていると。
「なぁ夢月、アルバイトの件なんだけどさ。本格的に話通しちゃって良いか? 昨日の活躍で、当初の予定通り色々と活用方法があって面白いかもって話が通ってな。あとはお前次第なんだが……」
近くまでやって来た兄から、そんな声が掛けられた。
あぁ、アレってまだ正式な話として通って無かったんだ。
一応テストプレイの一環的な扱いだったのかな……?
だとしたら、昨日の時点でログを残す様な真似をしなくて本当に良かった。
変に目立って、サービス初日からチーターが居ますとか言われちゃったら、それこそゲームのイメージダウンに繋がるもんね。
という事で、料理を続けながらブンブンと首を縦に振ってみると。
「サンキュー夢月、助かるよ。こっちの要望が全部通れば、結構派手に動ける様になるから。それまでは普通にプレイしちゃって良いぞ」
「え、良いの? あのアカウント、個人で使っちゃって」
「あくまでもテストプレイの一環でな? いつものデバック作業だと思ってくれ、フレンド登録なんかは無しだ」
あ、そっちは問題無いです。
私ゲームの中だろうと、まともに人と喋れる気がしないので。
そんな訳で、壊れた人形の様にコクコクと上下に首を振ってみれば。
兄はニヤッと微笑んでからスマホを操作して。
「お前のアカウントに、NPCのイベントステージの情報まとめて送っておいたから。しばらくはそっちを端から進めてくれ。本サービスとあのアバターに慣れる事と、正式版の武装のお試しだな。許可が下りればこっちからも色々支援してやれるが、それまでは自分で集めてやってみて」
だ、そうです。
でもこちらが使っているアバターの一番の懸念点である、ステータス。
そっちに関しては大丈夫なの? という気がしないでもないけど。
まぁ兄が良いと言ったのだから、お言葉に甘えよう。
それにあのゲーム、自分でステータスを晒す様な真似をしないと、相手の正確な数字って分からないしね。
それでいて、最も重要だとされる項目がプレイヤースキルだと大々的に公表している訳だし……少し時間が経てば、私のステータスなんてすぐに追い越されちゃうって事なのかな。
「とにかく、こっちで何か進んだらまたお願いするから、それまではソロプレイでよろしく。とはいえ……程々にな? 学生の本分は――」
「勉強、だよね。うん、分かってる。そっちもちゃんとやるよ、高校卒業の資格くらいは私も取っておきたいし」
「資格ってお前……まぁ間違っちゃいないが」
という事で、しばらくの間はガンサバイブオンライン……ガンサバで一人プレイが決定した。
ソロプレイはいつもの事だし、全然気にならない。
それにこれまで鉄砲のゲームってあんまりやって来なかったから、色んな所で知識が足りていないのは確か。
なので、今から楽しみになって来るというものだ。
やっぱり新しい事を始める、全然知らない世界に飛び込むのって……私は、好きだ。
◆
兄はせっかくのお休みなのに、結局午後は会社の人とリモート会議をするらしく。
お夕飯の時間まで、私は自由にして良いとの事。
なので、家事をあらかた済ませた後は……早速、ゲームにログインしてみました。
いつもの日常風景とは違う、海外のどこかみたいな雰囲気。
一日経って落ち着いた……と言えるのか。
昨日みたいに、いきなり街中でドンパチしている人達は居ない御様子。
でも、明らかに人が増えている。
凄く不思議な格好をしている人達も居れば、二日目にして完全武装の方々もチラホラ。
街中の一角に留まり、普通に雑談している様に見える人達だって、会話に聞き耳を立てればゲームの話をしているのだと分かる。
凄いなぁ……もうこんなにプレイヤーで溢れてるんだ。
なんて、思い切りネットゲーム初心者みたいな感想を思い浮かべながら、人混みに紛れて移動していると。
「ねぇお兄さん、もしかしてプレイヤー?」
「……え?」
急に肩を叩かれて、そんな声を掛けられてしまった。
え、嘘。もうバレた?
振り返った先に居たのは、やけに露出の多い格好をしたお姉さん。
チューブトップに短パン、見せつける様にしてガンベルトを腰に巻いているスタイル。
ハットまで被っており、どこかウェスタンな雰囲気を醸し出すお姉さまな訳だが……髪色が、ド派手な緑だ。
間違い無く、プレイヤー。
いや当たり前か、そういう風に声を掛けて来た訳だし。
けど不味い、こんな所で戦闘になったら非常に不利だ。
私ハンドガン一丁しか持ってないのに、相手はリボルバータイプの銃を二丁。
更には彼女のお仲間らしい人達も、道路の向こうで手を振っているし。
「あ、ありゃ? 違った? おっかしぃなぁ……NPCと違う動きな気がしたんだけど……」
「ぶははっ! なぁにが“俺の目に狂いは無い!”だよ。滅茶苦茶NPCじゃん、表情動いてないし。あんまりおじさん困らせるなよー?」
少しだけ遠くに居た女性プレイヤー達が、ケラケラと笑い声を上げている訳だが……何というか、言動が妙に男っぽいというか。
あぁ、もしかして私と逆パターンなのかな。
そんな事を思いつつも、此方はろくな反応を示せずにポカンと突っ立っていると。
「いやぁすみません、勘違いだったっぽいです。なので、通報とかはしないで貰えると……さっきも馬鹿やって、ポリスメンのお世話になったばかっりでして」
ヘヘッと軽い笑みを浮かべつつ、ごめんね? とばかりに手を合わせられてしまった。
えぇと、コレはもしかして……やり過ごせる?
という事で、コホンと咳払いを一つしてから。
「もう、良いかな? 会議があるんだ」
会議があるのはお兄ちゃんなんですけどね!
私は兄から教えてもらったNPCイベントを、片っ端からこなしに行くだけですけどね!
心の中は非常に穏やかではない状況だが、相手は慌てた様子で此方から離れ。
「どうぞどうぞ、失礼しましたぁ~……お仕事お疲れ様ッスー」
「ばーか、この節穴アイの持ち主め」
「ハハッ、ダッサー。またポリスに囲まれたら洒落にならないんだから、止めろよなぁ~?」
とか何とか会話しつつ、女性アバターの皆様はその場から去っていく。
こ、これ……凄いぞ。
表情パターンのトレースをゼロにして、いつだって無表情のクールガイを演じているからこそ出来る。
ザ・NPCのフリ。
よし、今度からも絡まれたらコレで行こう。
イベントをこなせとは言われたけど、PVPして良いとは言われてないので。
こんなゲームである以上、そっちはやるなとは言わないだろうけど……運営陣が用意したアカウントである為、なるべく勝手な行動はとらない方が良いだろう。
という事で、改めて街を行き交うNPCに紛れながら移動していくのであった。
新しい武器とかの前に、ビジネスバッグとか欲しいなぁ……一般人になり切る為に。
多分、ゲームの楽しみ方としては間違ってるけど。
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