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放課後。
家に帰ると、玄関に見慣れない靴が揃えて置かれていた。
――また来てる。
胸が少し高鳴り、咲はそっと廊下を進む。
リビングのドアを開けると、兄と悠真がテーブルを挟んで談笑していた。
「おかえり、咲!」
亮が元気に手を振る。
「おじゃまします」
悠真は軽く片手をあげて笑った。
その笑顔に、思わず足が止まる。
昨日と同じなのに、昨日よりずっと近くに感じてしまうのはなぜだろう。
「咲、こっち来いよ。おまえの作った漬物、悠真がうまいってさ」
亮に呼ばれて、しぶしぶ椅子を引く。
「ほんと助かるよ、妹ちゃん。亮ばっかりだったら食卓が壊滅してる」
冗談めかした悠真の言葉に、亮が「おい!」と突っ込み、部屋に笑い声が広がった。
咲だけが、その笑いに素直に混ざれなかった。