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コメント
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ならよかったです! 本当そうですね! そうなんですよ! そしたら今度はその子が押してって永遠に続きますもんね! ならよかったです!はい!待ってて下さ〜い
第30話、読み終わりました。 湊くんが後輩に「楽しかった?」と聞くところ、すごく好きです。技術じゃなくて、その瞬間を楽しめたかどうか——そんな視点で写真を見られるようになったんだなあって、じんわりしました。 二人が遠く離れていても、同じ夜に同じように応募を終えて、お互いを想い合える関係は本当に尊いです。 最後の「この一枚でよかった」と思えること——その言葉が心に沁みました。
第三十話 一枚に込めた想い
「誰かに認められるためじゃない。あの日の自分に、胸を張れる一枚を。」
六月。
梅雨入りを知らせる雨が、街を静かに包んでいた。
フォトコンテストの応募締め切りまで、あと一日。
写真部の部室では、
部員たちが最後の確認をしていた。
「神崎先輩。」
一年生が緊張した表情で近づいてくる。
「これで大丈夫ですか?」
湊は写真を受け取り、ゆっくりとうなずいた。
「いい写真だね。」
「本当に?」
「うん。この写真を撮ったとき、楽しかった?」
突然の質問に、一年生は少し驚く。
それから笑って答えた。
「すごく楽しかったです。」
「だったら大丈夫。」
その笑顔を見て、湊も笑った。
去年、自分も誰かに背中を押してもらった。
今度は、その役目が自分になっただけだ。
*
放課後。
湊は一人で応募用紙を書いていた。
写真のタイトルを書く欄で、手が止まる。
何度も考えて、何度も消した。
そして、静かにペンを走らせる。
『ありのままの瞬間』
技術でも、構図でもない。
自分が一番残したかった時間。
そのタイトルが、一番しっくりきた。
*
同じ頃。
海の向こうでは、紬も応募の準備をしていた。
机の上には、一枚の写真。
夕暮れの石橋を、一人の女性が歩く姿。
タイトルは——
『帰る場所』
先生が写真を見て微笑む。
「どうしてこのタイトルなの?」
紬は少しだけ空を見上げた。
「どこへ行っても。」
「帰りたいって思える場所があるからです。」
先生は優しくうなずいた。
「素敵な理由ね。」
*
夜。
応募を終えた湊のスマートフォンが鳴る。
ビデオ通話だった。
「終わった?」
紬が笑う。
「うん。」
「朝比奈は?」
「私も。」
二人ともほっとしたように笑い合う。
「結果、楽しみだね。」
「そうだね。」
少しの沈黙。
でも、不思議と心地よかった。
「神崎くん。」
「ん?」
「結果がどうでもね。」
「写真を好きになれてよかった。」
その言葉を聞いて、湊は静かにうなずく。
「俺も。」
「朝比奈に出会ってなかったら。」
「きっと今も、景色だけ撮ってた。」
紬は小さく笑う。
「私は、神崎くんがいたから。」
「景色の中にいる人も好きになれた。」
遠く離れた場所で交わした言葉は、
去年よりもずっと素直だった。
*
通話を終えたあと。
湊は窓を開ける。
雨はいつの間にか止んでいた。
雲の切れ間から、月が顔をのぞかせる。
カメラを手に取り、静かに構えた。
カシャッ。
月の光は弱かった。
それでも、その一枚は確かに心に残った。
答えは、結果じゃない。
写真を通して出会った人。
写真を通して見つけた景色。
そのすべてが、自分の宝物だった。
📷 Photo.030『月明かりの帰り道』
撮影日:6月3日
大切なのは、
誰かの一番になることじゃない。
自分が、
「この一枚でよかった」と思えること。