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大人になって、世界と戦うようになってから私の今までの価値観は塗り替えられていった。学生の時のように自分が一番でいられる確証はない、プロの世界の肌を刺すような緊張とか、試合前のドキドキ感が、私は心地良かった。自分を越えようとする味方ライバルが居て、敵わないと思える敵がいて。ハイキュー!!の世界でバレーをしている日向達もきっとこんな気分だったんだ。確かにこれは一度味わってしまうと離れ難い、薬のような快感。これから先、死ぬまで私はバレーをしていたいとさえ思った。


そして、とある大きな大会を目前に控えた、暑い暑い夏の日。


私は、私の人生は、唐突に終わりを迎えた。


その子は何歳くらいだろう……たぶん、十歳くらい。それで女の子。手にはバレーボールを持っていた。近くにはその子よりも少しだけ歳上のお兄ちゃんと思わしき男の子が一人いて、その兄妹二人が公園でバレーボールをしていたんだ。

兄の方は慣れているのか、中々上手い手さばきでボールを上げていたが、妹の方はまだ始めたてなのかボールに触れる度にボールをどこかに飛ばしてしまい、肩を落としながら拾いに行く、というのを何度も繰り返していた。私はその光景を可愛いなぁと思いながら眺めていた。


ロードワーク中だった私は、ある程度その二人のバレーを見守った後、再びロードワークを再開するべく走り出そうとした、そのとき。

またバレーボールを変なところに飛ばしてしまった妹ちゃんが、ボールを追いかけて道路に飛び出した。道路にはかなりのスピードが出ている車がいて、妹ちゃん目掛けて一直線に走っていく。その光景を見ていた私は、躊躇うことなく一歩、車と妹ちゃんの方に踏み出した。


たぶん、たぶんだけど、妹ちゃんは平気だったと思う。だって私が押して……いや、投げて?歩道の方に戻したから。

だけど私はダメだったらしい。今まで感じたことの無いような衝撃と体を押しつぶされていくような激痛を感じながら、体が道路に投げ出される。車が少し離れた所でキキィーッ!と急ブレーキをかけて止まったのが聞こえた。轢き逃げとかされなくて良かった、なんて状況に不釣り合いなことばかり考えてしまう。


──悔いがないとは言えない。

どうせ死ぬなら最後に私は大会に出たかった。それが私の人生の最大の悔いだ。



「(生まれ変わったら、また、バレーがしたい、な……)」



最後までバレーに明け暮れた私の人生は、そこで幕を閉じた。


……はずだった。

ヤンデレにあいされる日向くん。

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