テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
シュメール
407
184
もう一度でもいいから私をみて
第一章 いつもの二人
人間と獣人が共に暮らす現代の日本。
獣人をペットとして家に迎えることは、決して珍しいことではなかった。
人間と同じように言葉を話し、学校へ通い、仕事をする獣人もいる。
それでも、人間に飼われることを選ぶ獣人もいる。
白い獣耳と、ふわふわした尻尾を持つ少女――美羽も、その一人だった。
「海斗ー! お腹すいたー!」
ソファに寝転がりながら、美羽が叫ぶ。
「さっき食べただろ」
キッチンから返ってきたのは、呆れたような声。
「食べてない!」
「絶対食った。俺、見てたもん」
「……一個しか食べてない」
「一個食ってんじゃん」
「じゃあ、もう一個!」
「図々しいなぁ、お前」
そう言いながらも、海斗は冷蔵庫を開ける。
金色の髪。
少し垂れた目。
いつも軽そうな笑顔。
神谷海斗。
美羽の飼い主だ。
「ほら」
「わぁ!」
差し出されたお菓子を受け取る。
「ありがと、海斗!」
「はいはい」
美羽は嬉しそうに笑った。
この時間が好きだった。
海斗が帰ってきて。
くだらない話をして。
一緒にご飯を食べて。
眠る前に「おやすみ」と言う。
そんな毎日。
美羽にとって、それが「幸せ」というものだった。
「ねえ、海斗」
「ん?」
「ずっと一緒にいようね」
「急にどうした?」
「……なんとなく」
海斗は少し笑って、美羽の頭を撫でた。
「当たり前だろ」
「……ほんと?」
「ほんと」
その言葉を、美羽は信じていた。
ずっと。
ずっと、信じていた。
コメント
5件
第1話、ほんわかした雰囲気なのに「ずっと一緒にいようね」って美羽が言ったところですごく切なくなった…!タイトルがもう既にエモさを予告してる気がする😭💕海斗の「当たり前だろ」が優しすぎて、この穏やかな日常が何か壊れそうで怖いよ〜。まだ1話なのに早く続きが気になる!作者さん、素敵な世界観ありがとうございます🌸✨