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何の変哲もない退屈な日常。
普通の女の子は何をするんだろう。
自分が普通じゃない事だけを理解している。
ちいさな村で産まれた私。
産まれたその日から、
おかしかったのかもしれない。
物心が着く頃には気味悪がられていた事を、ぼんやりと覚えている。
だが、いつだろうか。誰かが神の使いだ、神の子だ等と言い出し、私は神聖なものとして扱われるようになった。
日に当たることを許されず、
髪を切ることすらも許されない。
光の入らぬちいさな祠。そこが私の家。
眼を異様なまでに保護される私。
誰とも会話をせず、辛い生活を送るだけ。
いつしか私は声が出せなくなった_
ある時私は夢を見た。
暖かなスープを飲み、引きずってしまうほど長かった髪は何処へやら。ちょうどいい長さになり、
頭を撫でてくれる、そんな夢。
私は夢に強く憧れを抱くようになった。
ここにいては夢は手に入れられない。
そう思った私は、今夜、集落からの脱走を試みることにした。
日が暮れたのだろう。当たりが真っ暗になる。
朝は差していた日差しも、今はもうない。
決行するなら今だ、私は祠の扉を開けた。
私が逃げることを想定していなかったのだろうか、ギィという音を立てゆっくりと開いた。
おそるおそる地に足をつける。
履物なんてない。枯葉が足の裏をくすぐる。
出たのはいいものの、どこへ向かおう。
取り敢えず、下の方へ向かおう。
村の人たちが下るのを見たことがある。
「 っはぁ、はぁ、はぁ…… 」
体が痛い。
やっぱり夢は夢。幻想であるべきなのだろうか。
そんなとき、明るい何かが見えた。
ゆっくり、ゆっくり歩いていく。
足が真っ赤にそまる。もう歩けない。
そんなことを考えつつも足は無意識に前に出る。
強い憧れだけが原動力なのだろうか
やっとの思いで山をくだった。
…此処は何処?
村とは違う、高い建物が沢山並ぶ。
地面が黒く硬い。小さな石が足裏に刺さる。
頭が痛い。意識が朦朧とする。
『 大丈夫ですか? 』
「 っ、_! 」
黒い髪に白いふわふわを頭に乗せた人が私に話しかける。
喋ろうとしても声が出ない。
そこで私の意識は途切れてしまった。