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眠っていたのでよく分からないが、自殺未遂者ということで精神科救急基幹病院に指定されている精神病院に救急車で搬送されたようだ。個室の病室で一泊していくつかの検査と医師の診察を受けた。精神状態が安定していて経過観察しましょうと両親とともに説明を受け、自宅に帰れることになった。
「僕は自殺なんてしていません」
と最初に言い張ったら、記憶が混濁した重篤患者扱いされそうになったので、
「確かに自殺を図りました」
と主張を曲げるしかなかった。
もともと優しかった両親はさらに優しくなった。学校が嫌ならいくら休んでもかまわないとまで言ってくれた。ただもとから仲がよかったとは言えない四つ年下の妹が宇宙人を見るような目で僕を見てくるので、それは正直つらかった。
自殺未遂騒ぎは火曜日の出来事。病院に一泊して水曜日に退院。木金と学校を欠席して自宅で両親といろいろな話をした。両親は共働きだったが、そのために二人とも仕事を休んでくれた。
翌週月曜日。久しぶりに登校した。正直学校への足取りは重かった。僕に自殺未遂者のレッテルを貼り、自分はクラスメートの命を救った善意の第三者を気取っていた彼女に対する怒りはもちろんあったが、それ以上に、彼女を女神と崇拝し、彼女との仲を取り持つよう僕に依頼していたリョータと会うのが気が重かった。