テラーノベル
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✧︎ attention ✧︎
➵ 捏造 / 二次創作
➵ 本編伏字 ×
➵ nmmn / mrkm愛され(微rukg)
➵ 空想Dytica拠点有
➵ 後半会話ばっか
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✧︎ 叢雲 side
天に輝く満月が、アスファルトの地面を照らし、深海の如く真っ暗な夜空が午前1:00を回った世界を静かに包み込む。
儚く神秘的なこの空間が、どうにも自分には苦しくて。村にいた時は、村から出たばかりの頃はこんなこと無かったのにと、不思議な気持ちになる。どうしたらこの胸の苦しさを無くせるのかさっぱり分からない叢雲は、どうしようもなくその小さな体を丸め込んで夜明けを待つことしか出来なかった__
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カーテンの合間から朝を知らせるかのように光が漏れる。眩しさで瞼をあけた叢雲は健やかに寝れたわけではない。起きていたら不思議な気持ちになるから、目を瞑って、思考を放棄して、寝ているに等しい体制を取ろうと全力を注いでいたら、いつの間にか日が昇っていたのだ。眠さ故にいつも以上回らない頭を頑張って働かせてリビングへ向かう。
いつもより重たい体を一生懸命持ち上げてリビングに着けば、部屋よりも明るい部屋が目に入る。ほぼ開いて無いに等しい叢雲の目に映ったのは、紫苑の花のように鮮やかで綺麗な長い髪と、向日葵のような笑顔を向けてくる自身と背丈の差が無い青年の顔だった。照明の灯りよりも、お日様の光よりも、何よりも眩しい笑顔の彼は、扉の1つ先にいる叢雲に気づいて迎えに来てくれた。
「 おはよ〜、カゲツ。そこに突っ立ってどーしたの?体調悪い? 」
「 んーん、べつに、わるない 」
「 そお?…目の下、隈酷いけど。 」
彼に指摘されて気づいたが、叢雲は今物凄く酷い顔をしているらしい。隈は酷いし、色白の肌は若干青白くなっている。自分の体の不調に気づけないのは、忍者失格。と落ち込む所だったが、本当に何も無いのだ。どこかに傷を負ったわけでも、熱がある訳でも。ただ、ただただ胸が苦しくて。どうしたらいいか分からないのが怖くて。
「 …カゲツ? 」
「 やっぱ体調悪いんじゃない? 」
「 んや、ほんまになんもないわ…。心配せんといて、w 」
へらへらと、彼らに心配をかけないように笑う。否、’心配をかけないように’、ではなく、’足の震えを誤魔化すように’、が正しいのかもしれない。
2人の顔を見たら夜に感じてた苦しさがほんの少し緩和された気がして、どっと眠気が襲ってくる。2人に少し部屋籠るわ〜と伝えて足早に部屋へ戻る。
最後に見えた2人の顔が、辛そうで、もどかしそうで。でも、そんなふたりの顔には見ないフリをして。
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リビングから逃げるようにして自分の部屋に戻ってきてから何分、否、何時間経っただろうか。リビングにいる時に叢雲に襲ってきた眠気は、部屋に戻った途端何も無かったかのように過ぎ去って、その代わりに昨夜とおなじ胸の苦しさを呼び起こした。熱がある訳でもなければ、本当に怪我とかをしたわけじゃない。わからない、自分がなぜこんなにも苦しんでいるのか。なぜ、瞼を閉じても、夢の世界へ行くことが出来ないのか。体は素直だ。立てばふらふら、顔は真っ青。きっと血も足りてないし、寝不足のせいでまともに脳も回らない。でも、寝ようとしても、眠れない。胸の苦しさと何がなんなのかわからない不安な気持ちに1人もがいていると、先程まで叢雲の悲痛以外響いていない部屋に、ノックの音と、心地よい低い声が入ってくる。
「 カゲツ〜…。大丈夫そ〜?…寝てんの? 」
ドア越しで聞こえる彼の声はいつも通りで、でもほんの少し、心配の色が滲んでいるのに気づく。
「 ……カーゲーツー? 」
返事を返さない叢雲に異変を感じたのか、少ししてから返事を催促してくる。呼ばれている当の本人である叢雲は、なんて返せばいいかわからず、口をぱくぱくさせ目を泳がせていた。そんな叢雲に痺れを切らしたのか、入るぞ、とだけ言ってドアノブを捻る。
「 あ〜…”、ほんとにどうした、寝てんの…か…、」
下を向いて後頭部を掻きながら部屋に入ってきた小柳の目は徐々に正面を見て、叢雲の顔を捕える。朝焼けの月のように美しい彼の瞳には、いつものようににこにこと幸せそうな笑顔を浮かべる末っ子ではなく、小刻みに震え、顔色を悪くして、アメジストとエメラルドの瞳から大粒の涙を零す、末っ子の姿だった。普段の叢雲からは到底想像もできないような光景に驚き、その場に固まる。硬直した体を何とか動かして叢雲に近づくと、どこか安堵したかのような顔で小柳を見つめてくる。そんな末っ子の愛おしさに本来の目的を忘れそうになったが、自分に鞭を打ち、冷静さを保ちながら会話を試みる。
「 おー、起きてんじゃん、どしたん泣いて 」
「 …あ〜こらこら、擦んなって、目痛くなるぞ。 」
「 …泣いてへん 」
溢れる涙を拭うように自分の目をごしごしと擦り、泣いてないと意地を張る叢雲の手を取って自身の親指で優しく涙を拭ってやる。
「 泣いて、へんもん…。 」
ぷく、と頬を膨らませながら不貞腐れる末っ子の頭を撫でると、その表情は一瞬にして不機嫌から上機嫌になる。んふ、とか、えへへ、とか。子供のように喜ぶ末っ子に安堵を覚えつつ、なぜ泣いている(当人曰く泣いてないらしい)のか、なぜリビングから早々に去ったのかを問うと、叢雲は喜怒哀楽のどれにも当てはまらないような顔をする。
「 …わからん。」
「 はぁ? 」
数秒時間を置いて口を開いたかと思えば叢雲が放つ言葉は一言で、”わかんない”と。
「 リビングから部屋に行ったんは、ふつーに眠くなったから 」
「 寝たん? 」
「 んーん、部屋来たら眠くなくなった。 」
「 はぁ?嘘つくなよ。 」
「 嘘やないし。 」
ふい、と小柳から顔を逸らした叢雲の頬をつつきながら
「 だってお前、顔色すげえ悪いぞ。眠いんだろ、体も暑いし 」
と、叢雲が嘘をつけないように詰める。それでも叢雲は眠くないとしか言わず、拉致のあかない話し合いが続く。数分言い合っていると、小柳の戻りが遅くて心配した2人がドアの向こうから声をかけてくる。
「 ロウ〜?カゲツ寝てた?ごめん入るよ? 」
伊波のその声を合図にドアノブが捻られ、8畳の部屋に2人が入ってくる。小柳が来る前から暗かった部屋の明かりを星導がつけると先程よりも叢雲の顔が鮮明に見える。その叢雲はというと、自分の部屋で今Dyticaが集合している状況への混乱と、小柳が部屋に入ってきた時のような安堵の気持ちが入り交じった顔を浮かべている。
「 あー…”、わり、すぐリビング行くつもりだったんだけど、こいつ泣いてたから行けなかったわ。しかもすげえ眠そうなのに眠くないって意地張ってくるし。 」
「 なっ、はっ?!だ、だから!泣いてなかったって!! 」
「 あー、はいはい、泣いてなかったなー 」
「 あ!おい!棒読みしながら頭撫でんなぁ?! 」
「 ちょちょ、ちょっと待って?俺ら置いてかれてるんだけど…。とりあえず、カゲツはなんで泣いてたの? 」
「 だから泣いてへんってぇ… 」
「 カゲツ。 」
伊波の真剣な声が部屋に響く。その声と、その他2人からの視線に耐えられなくなったのか、叢雲はおずおずとしながら口を開く。
「 …わからへんの、なんでないとったんか 」
「 …っえ? 」
「 ろうが、へやにはいってきて、いわれてからきづいたん、ないてることに 」
「 それは…ほんと? 」
「 ほんま。」
「 そー…っかぁ… 」
「 ありがと、教えてくれて 」
「 ん。 」
「 ねえ、カゲツ。 」
「 ん? 」
「 カゲツは小柳くんに泣いてるよって言われた時どんな気持ちだった? 」
「 きもち? 」
「 そう。あー…、小柳くんに指摘された事に対して気に食わないとかじゃなくてね? 」
「 なんか俺刃物飛ばされてない??? 」
「 無意識に涙を流してた時の、気持ち。」
「 無視まじか。 」
「 …わかんない、……わかん、ない…ごめ、…わからんくて、ごめん、… 」
「 カゲツ…。そっかぁ…そっか、ごめんね、沢山詰めちゃって 」
「 1回休もっか。3人から質問ばっかされたら疲れちゃうよね。 」
「 ん、ごめん。 」
「 謝んないで。カゲツ悪いことしてないじゃん 」
「 でも… 」
「 いーの。温かいもの持ってくるね。何がいい? 」
「 ぁ、ぇと、ここ、あ … 」
「 おっけー!オレ作ってくるー!ほら行くぞ狼 」
「 ペットか、俺は。 」
「 ぁ、まって、 」
「 ん? 」
「 …あ、なんでも、ない…やっぱり、 」
「 …ふふ、大丈夫だよ、カゲツ。俺は残るから、カゲツの隣に。 」
「 !…ぅん。 」
「 じゃ、行ってくるわ 」
「 オレ特性のココア待っててね!!カゲツ!! 」
「 んふふ、うん 」
小柳と伊波がリビングに行き、2人残された部屋で先に口を開けたのは星導だった。優しく、穏やかな顔で話しかけてくる姿は、天使か、聖人か、仏様か。なんて考えていたら会話のキャッチボールを放棄してしまっていたようで、星導に心配される。
「 カゲツ?大丈夫? 」
「 ん、へいき、ごめん 」
「 そっかぁ、ならよかった。謝らなくていいよ 」
「 で、話の続きなんだけどさあ 」
「 うん 」
「 カゲツはきっと寂しかったんだよ 」
「 …え? 」
考え事をしてしまっていたせいで話の脈略がわからないが、今までの流れを与したら、きっと叢雲が泣いていた理由だろう。ところでこのタコは何を言っている?別に、1人でいることに慣れていない訳じゃないし、なんなら1人の方が慣れているまでもある。
「 俺、カゲツのお家とか故郷とか、忍者の村とか、よく分からないけどさあ 」
「 1人でいる事が当たり前だったんでしょ?前カゲツから聞いたけど。 」
「 おん…。 」
「 だから気づけてないんじゃない?自分が寂しいって思ってることを。 」
「 はあ? 」
「 カゲツ、泣いてた理由わかんないんだよね? 」
「 ん、 」
「 じゃあ寝不足でふらふらだった理由は? 」
「 …きのうねられんかった、」
「 なんで寝られなかったの? 」
「 っわかんない、へんな…かんじした、」
「 くるしかって、それで、それで… 」
「 さびしい、みたいな… 」
「 …っあ、」
「 …ふw、気づいた? 」
「 …うん、きづいた。 」
「 よくわからんけど、わかった。 」
「 それでいいんだよ、今は。 」
「 最近、4人でご飯食べたり、8人で集まったり11人で遊んだりしてませんもんねえ…それで寂しくなっちゃったんだね。 」
「 うー”… 」
「 なあに、どうしたの。 」
「 …なんかやっぱよおわからん、さびしいんかもしれんけど、さびしいってなんや…。 」
「 まだわかんなくていいけど…いずれわかるだろうから。 」
「 …でもまぁ、みんなに会いたくなることだよ。無性に誰かの声が聞きたかったり、会いたかったり。 」
「 でも…、いままでそんなんなかったもん…。 」
「 気づかなかっただけじゃない?さっきも言ったけど、1人が当たり前だったから。寂しいって感情も、カゲツの中では当たり前でかき消されてたんだよ。 」
「 でも、1人でいることが少なくなって、色んな人とお話する時間が増えたから、会わないことが違和感になって、漸く1人が寂しいって気づけたんだよ。 」
「 …へんやない? 」
「 まったく。成長できただけ、カゲツのまだ知らない感情を知れただけだから。全く変じゃないよ。寂しいって思うことも、みんなあるからね。 」
「 ほんま? 」
「 ん、ほんと。俺だってカゲツやみんなに会えなかったら寂しいよ。気が狂いそうになるくらいには。」
「 んはw、やばいやん…w 」
「 うん、でしょ。まったく変じゃない。だから、寂しいって思ったら俺や小柳くん、ライとかOriensのみんなでも、誰でもいいから会いたいって伝えるんだよ。 」
「 きもちわるくないの、あいたいって 」
「 え〜?カゲツは俺が会いたいって言ってきたら気持ち悪いって思うの? 」
「 ん〜、ちょっと? 」
「 思うのかよ 」
「 んふふwじょーだん。うれしいっておもうよ。 」
「 カゲツがそうやって思うように、みんな嬉しいって思うから、大丈夫。なんならみんなカゲツにそんなこと言われたら、バカ喜びするかも。 」
「 え〜?そーかなぁ 」
「 そーだよ!!!! 」
「 うわあびっくりした。 」
「 随分と遅かったですね、2人とも。 」
「 ちげーわ、お前らが二人の世界だったから入りずらかったんだよ。 」
「 え〜そんなそんな、俺とカゲツがお似合いだなんて…// 」
「 誰も言ってねえよ 」
「 勘違いすんな 」
「 きもいでタコ 」
「 言葉って時折凶器になるんですよ(大号泣) 」
「 まあとにかく?カゲツが元気になったってことで解決? 」
「 るべちのメンタルはボロボロなんですけど。 」
「 まあ解決だな。 」
「 え、俺は?俺は?まだ泣いてるよ? 」
「 嘘泣きはやめた方が自分のためだよ。年齢考えな。 」
「 ライ、悲しんでる相手に高火力はいつも以上に効くのでかなりやめてほしいです。 」
「 とりあえずカゲツ、ココア作ってきたから飲みな。 」
「 ん、ありがと 」
「 どいたま 」
「 今日無視多くないですか? 」
「 んふふw、おもろいからしゃーないやん。」
「 不純な自分を笑われている屈辱とカゲツの可愛い顔を見れたことの満足感が俺の中で喧嘩してます。(早口) 」
「 全部口に出すのやばい 」
「 僕可愛くないけどな 」
「 それはない 」×3+1
「 ええ… 」
「 まあとりあえず、寂しくなったら俺に言うこと!! 」
「 抜けがけすんな 」
「 誰でもいいですからね、カゲツ 」
「 お、おん。 」
「 ちっ……あ、あと今回に限らずカゲツは周りをちゃんと頼ること! 」
「 舌打ち聞こえたけど… 」
「 星導は俺の部屋な^^ 」
「 エ ッ 」
「 まぁ、ほんとに、ちゃんと頼れよ?俺らを。 」
「 仲間なんだし、みんなお前のこと好きだし 」
「 ん、そっかぁ…んふふ、」
「 なに、うれしくなったん。 」
「 あたりまえやん、好きって、うれしいやん。 」
「 カゲツは俺らのこと好き? 」
「 あたりまえやんっ! 」
「 んふ、そっかそっか。録音させてくれてありがとな^^ 」
「 …はっ?!おまっ!それは! 」
「 そっかそっかぁ…カゲツは俺らのこと大好きでたまらないんだな^^ 」
「 そこまで言ってへんし!? 」
「 大好きじゃないん?へえ…俺はこんなにもカゲツのことが大好きなんになあ?そっかぁ、カゲツは大好きじゃないんかぁ… 」
「 あっ、うっ、それは…、大好き…やけどっ! 」
「 はっw、おま、可愛いかよ。素直やん 」
「 ううー”おーかみのばか!あほ! 」
「 はいはい、ばかであほですよー 」
「 んあっ!絶対認めてないやん!おでこにちゅーすんな! 」
「 え?なに?もっとしろ?しょーがないなぁカゲツは 」
「 いうてへんわ!耳鼻科いけ。それに2人もおるし… 」
「 え、2人は? 」
「 ライの部屋行った 」
「 星導は今頃床とお友達だろうなぁ 」
「 えっ… 」
✧︎ それはきっと、寂しいって気持ち
fin
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コメント
2件
僕もにじフェス一緒に行く人居なくて泣いてるよ(*^^*)