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さて、魔力操作の訓練も終ったので俺はクローゼットに掛かっている革のベストとローブを手にとった。
いよいよ鑑定である。
へんな商品は掴まされてはいないと思うが少しドキドキしている。
まずは革のベストから。――鑑定!
”革ベスト:ブラウンバッファロー:普及品 D+”
ふんふん、まぁこんなものだろう。
次は革のローブだな。――鑑定!
”革ローブ:ビックトード撥水性良:普及品 D”
う~ん普通だったな。普通。
商品の相場はわからないが、そこまで酷い買い物ではなっかたと思いたい。
ただ、卸値で手に入るとかなら話しは別なのだが……。
自分でもしっかり見て買ったつもりだからな。まぁ、指針にはなったかな。
これからも鑑定はどんどん使っていくべきだろう。
少しほっとしたので、今日は寝る。
ぺしぺし! ぺしぺし!
うっ、ううん、もう朝か……。
『いっしょ、おにく、さんぽ、だいすき、おきる、はやく』
頭というか脳に直接くるよなぁ。さて起きますか。
木窓を開けるとまだ薄暗いが雨は降っていないようだ。
よし散歩に行くか! ……って、出られるのかな?
もう、誰か起きていればいいが、迷惑をかけてもいけないし。
「シロ、1階に行って誰も居なかったら中止な。その時はご飯食べてから外に出ような」
1階に下りると調理場の方から音がしていた。
そっと覗いてみると、お手伝いのおばちゃんであった。
ちょっと驚いた顔をしていたが俺とシロのことは覚えていたようだ。
「その辺をぶらっと散歩してきます」
一言断りを入れて俺たちは表にでた。
………………
朝食を終え部屋に戻ってきた俺は外出の準備をはじめた。
ショートソードはイベントリーへ収納し、バスターソードを腰に佩く。
昨日市場で買った雑品は布のトートバッグに詰めてクローゼットに入れておくことにした。
「シロおまたせ! さあ、行こうか」
シロに声を掛けると一緒に部屋をでた。
今日はいよいよ冒険者ギルドに行くのである。
まず、冒険者ギルドへの登録とシロ (従魔) のことだよな。何か手続きが必要かもしれないし。
次に『剣の指導』の有無だよな。たぶん、やっていると思うのだが場合によっては新人研修会なんかがあるかもしれない……。
依頼表の確認もしてみたいよな。どんな依頼があるのか楽しみだ。
続いては教会に顔を出して女神さまに挨拶だよな。
予想以上に世話になっていることだし、この機会に確りと感謝を伝えることにしよう。
それから、時間に余裕があれば『魔道具屋』にもいってみたいな。マジックバッグが欲しいから、まず価格を調べておかないと。
あとは……、お昼に美味しいものを食べる。だな。
よし出よう!
「行ってきまーす!」
シロを連れ冒険者ギルドを目指して歩く。時間にして20分程か、冒険者ギルドには迷うことなく到着した。
さてさて、シロを連れたまま中に入れるのだろうか?
わからないのであれば誰かに聞いてみるしかない。
しかし、みんな忙しそうなんだよな。
時間をずらした方が……?
「そんなところにつっ立てたら邪魔になるよ」
俺がどうしようかと迷っていると後ろから声を掛けられた。
「す、すいません!」
振り返ってみると、
そこには背の丈2mはあろうか、ガタイのいい女戦士が立っていた。
「ギルドに何か用があるのかい?」
俺はその女戦士に事情を話してみた。
「それなら大丈夫だよ。従魔なんだろう。冒険者には『テイマー』だっているからね。おとなしくさせとけば問題ないよ」
「助かりました。ありがとうございます」
俺がお礼を言うと、その女戦士は片手を上げてギルドの中に消えていった。
その去っていく後ろ姿がなんともかっこよかった。
そうして、俺もシロを連れてギルドに入った。
一瞬多くの視線が集中するが、すぐ消えていく。かなり独特な雰囲気だよな。
冒険者ギルド内を注意深く観察する。――酒場はなかった。
幾つかのブースに分かれており受付カウンターには女性の姿はない。
殺伐としており、むさい・うるさい・帰りたい・そんな所だな。
愚痴っていても仕方がないので受付に並ぶことにした。
待ってる途中でシロを邪魔くさそうに見られたがここは我慢する。
15分程で順番がまわってきた。後ろの停止線から3歩進んで受付カウンターへ寄っていくと、
「冒険者ギルドへようこそ。ご用件は?」
おっさんが決まり文句を発してきた。
「冒険者ギルドへの登録をお願いします。それと、従魔 の登録は必要でしょうか?」
「そうですね、登録されていた方がギルドに記録も残りますし盗難なんかの際もかなり有利になります。あと登録していないと入れない町やダンジョン等もありますよ」
「じゃあ、従魔の登録も一緒にお願いします」
「かしこまりました。こちらに必要事項の記入をお願いします。書けないようでしたらこちらで代筆いたしますが。それから冒険者登録手数料、並びに従魔の登録費用あわせて600バースになりますのでご準備をお願い致します」
「これで良いですか?」
申し込み用紙と銀貨6枚を渡した。
「はい、結構です。あと本人認証用に血液が2~3滴必要になります。できましたらたら鑑札の認証用に従魔の血液もお願いします」
そう言って針を渡されたので血液を採取して所定の場所に垂らしていく。
「はい結構です。こちらが冒険者カードと従魔の鑑札になります。無くされますと再発行の手数料がそれぞれ1000バースとなりますので、取り扱いには十分ご注意ください」
「それでは会員規約の説明を致します」
………………
それで何たらかんたらと30分程説明を聞かされ登録は無事に終了した。――しんどい。
まぁ、内容としては冒険者のランクはS~Fだとか依頼は1つ上のランクのものまで、護衛依頼はDランクから、指名依頼はBランクからになるとか諸々だな。
依頼票もどのようなものが有るのか確認しようと思っていたのだが……。明日にした。
俺とシロは冒険者ギルドから外にでた。はぁ――――、空気がおいしい!
あそこは長く居る所ではない。精神もゴリゴリ削られてしまう。
えっと次はなんだっけ? ――頭が働かない。
ああ~、教会だったよな。気を取り直して行ってみますか。
それから5分程で教会に到着した。
んん~、何だろう教会らしくない。
鐘つき堂はあるが普通の民家っぽい……。
とりあえずドアを開けてみる。
すると中にいたのは町娘のような普通の服を着たおねえさん。
「何かご用でしょうか?」
「こちらに女神のユカリーナ様は祀っておられますか?」
「はい、創世神様ですね。お祈りでしょうか? どうぞこちらへ」
そう言って教会の中へ通された。