グチャッ
白くて綺麗な体には赤い血肉がよく映える
僕はたった今、僕の全てを奪っていった死神へ復讐する事ができた
でも物足りない。
「あーあ……。
すっかり良い子になっちゃって」
失望しちゃうよね。誰も犠牲を出さずに僕を倒そうとするなんて
昔の死神の方が好きだったなぁ。なんて……。
「なんかさ、良い子になった君見てると昔を思いだすなぁ」
もうこちらの話を聞く事の出来ないただの肉塊へと話かける。いや、たんなる独り言かもしれない。
「そうだ!せっかくだし君がガパニーズ帝国に来るまでのお話してあげるよ!」
死神を倒す事ができて興奮しているんだろう。 普段なら絶対に思い出そうとはしないが記憶の奥底に眠る思い出を少しずつ掘り返す。
昔、死神が僕達の国を崩壊させる前の話。
ジェラルディは次期国王と期待されていたんだ。僕はそんなジェラルディのお世話係兼教育係だった。
「キリミー?居るか?」
「はい!ぼっちゃん?どうしましたか? 」ニッコォー
「……お前はいつも笑顔だな。どうしてだ?」
「うーん……。どうしてと言われましても…。
あ!皆さんと居る事が楽しいから、とか?」
「疑問で返すなよぉ〜! 」
5年前の彼はよく笑って、よく人を笑顔にさせる人だった。そして僕の事も好いてくれてたんだとおもう。どんな些細な事でも、よく話しかけてくれた。
「で?ぼっちゃん、何のようですか? 」
「あぁ。ここの問題が分からなくて… 」
「どれどれ…。
あー……。はいはい。コレですね。ならこの教材を使いながら説明いたしましょう」
それにぼっちゃ……彼はよく勉強をしていた。両親に褒められるのが嬉しかったらしい。
本当によく勉強されていた。
そういえば、ぼっちゃんの両親に一緒に褒められた事あったな…。あの時はすごく嬉しかったよね。撫でられるってこんなに気持ち良くて1人じゃないんだって思えて好きだったなぁ…。
「でも、君が全部壊した。僕達の国も家も家族も思い出も、全部、全部!!!!! 」
声を荒げ呼吸が早くなる。でも、それに応える相手はもういない。
それに気づき呼吸を整える。
「ヒヒッ…。そうだ。僕は皆のために復讐出来たんだ…。褒めてくれますよね。 」
不気味なほど静か。先ほどまで気にしなかったのに。復讐相手がいたからだろうか
「あぁ。そうか。僕、独りぼっちか」
ガパニーズ帝国が滅んだ時でもジェラルディと高橋クンがいたし、他の3人が死んだ後でもシグマがいたしな…。
「独りは惨めだな、キリミ」
「!?」
いつのまにか僕の後ろには見覚えのある沼が立っていた
「5年ぶりか?いや……。さっきぶりか」
「なんでッ。シグマがッ!? 殺したハズなのに…」
「あー。俺はお前の作り出した幻覚。いわゆるイマジナリーフレンドっていうヤツか?なんて言うんだろ? 」
「は?」
「お前が独りは嫌だって思ったから俺が作り出されたんだろ。知らんけど。」
「独りが寂しい……?なんで?この僕がそんなコト……! 」
「だってお前、生まれてから1人だった事があるのか?ガパニーズ帝国崩壊の後もジェラルディ達と一緒にいたんじゃないのか?」
「………。」
「俺が殺してやっても良いぜ。そうすればガパニーズ帝国のヤツらともジェラルディ達にも会える。
なあ?どうする?」
僕は口をぎゅっと噛む。別に悔しいからとかそんなんじゃない。自分でも言い表せない複雑な気持ち。
でも、もう僕の答えは決まってる。
「ガパニーズ帝国の皆に会いたい」
「そうか。じゃあ、あばよ」
5年前と同じ大鎌が自分に振り下ろされる。
あーあ。死神なんていなけりゃ、僕は良い子のままでいられたのに
コメント
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き、切身が罪を認めた世界線!?まだ善良な心が残ってそうですわねこの切身んは(?)
なんか分からんの書いちゃった⭐︎ 練習用やし大丈夫か。ウン