テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
82
376
第4話 転校生への気持ち
翌朝。
莉犬は、昨日のことを考えながら教室へ向かっていた。
莉犬「……るぅと、くん……」
昨日、転校してきた男子生徒。
穏やかな笑顔。
優しい声。
そして――
なぜか、気になって仕方がない。
莉犬「……何でこんなに気になるんだろ」
教室に入ると、すでに転校生の周りには人が集まっていた。
生徒A「るぅとって前はどこにいたの?」
るぅと「えっと、少し遠いところです」
生徒B「部活は?」
るぅと「まだ決めてなくて」
るぅとは困ったように笑っている。
莉犬「……」
莉犬は少し離れたところから、その様子を見ていた。
すると。
るぅと「……あ」
目が合った。
莉犬「……!」
るぅと「昨日の……」
莉犬「り、莉犬!」
るぅと「莉犬さん、ですよね?」
莉犬「う、うん!」
るぅと「昨日、少し見てくれてましたよね」
莉犬「え?」
るぅと「転校してきたとき」
莉犬「……あ」
莉犬の顔が少し赤くなる。
莉犬「いや、その……」
るぅと「?」
莉犬「……気になっただけ」
るぅと「僕が?」
莉犬「……うん」
るぅとは少し驚いたあと、ふわっと笑った。
るぅと「ありがとうございます」
その笑顔を見た瞬間。
莉犬の胸がまた――
ドクン。
莉犬「……っ」
るぅと「莉犬さん?」
莉犬「な、何でもない!」
慌てて目を逸らす。
るぅと「ふふっ」
莉犬「……笑わないでよ」
るぅと「ごめんなさい」
そう言いながら、るぅとは楽しそうに笑っていた。
昼休み。
莉犬はころんと一緒に昼食を食べていた。
ころん「なあ、莉犬くん」
莉犬「ん?」
ころん「昨日から、変じゃない?」
莉犬「……そう?」
ころん「うん。なんかずっとぼーっとしてる」
莉犬「別に……」
ころん「転校生のことでも考えてるの?」
莉犬「――!」
ころん「……図星?」
莉犬「ち、違う!」
ころん「ふーん」
莉犬「ただ……」
ころん「?」
莉犬「ちょっと気になるだけ」
ころん「るぅとってやつ?」
莉犬「……うん」
ころんは少し黙った。
ころん「莉犬くん」
莉犬「何?」
ころん「莉犬くん、昔から分かりやすいよな」
莉犬「え?」
ころん「……何でもない」
莉犬「?」
そのとき。
教室の入口から声がした。
るぅと「莉犬さん」
莉犬「!」
振り返る。
るぅとが立っていた。
るぅと「先生が呼んでます」
莉犬「あ、分かった!」
立ち上がろうとした莉犬の手から、箸が落ちる。
るぅと「危ない」
るぅとが拾ってくれる。
莉犬「……ありがと」
るぅと「どういたしまして」
その瞬間。
また胸が鳴った。
莉犬「……」
ころん「……莉犬くん?」
莉犬「何でもない!」
莉犬は急いでるぅとの後を追った。
ころんはその背中を見つめる。
ころん「……昔とは、少し違う顔してるな」
放課後。
生徒会室。
ころん「莉犬くん、今日手伝ってくれるんじゃなかったのか?」
莉犬「ごめん! 今日はちょっと……」
ころん「珍しいな」
莉犬「……うん」
ころん「るぅと?」
莉犬「……」
ころん「図星か」
莉犬「違うってば!」
ころん「はいはい」
莉犬「もう!」
莉犬は生徒会室を出る。
廊下を歩いていると――
莉犬「……あれ?」
階段のところに、るぅとがいた。
るぅと「莉犬さん?」
莉犬「るぅとさん!」
るぅと「今、帰るところですか?」
莉犬「うん」
るぅと「じゃあ……一緒に帰りませんか?」
莉犬「……え?」
るぅと「迷惑でした?」
莉犬「ち、違う!」
莉犬は慌てて首を振る。
莉犬「……一緒に帰ろ」
るぅと「はい」
二人は並んで歩き始めた。
莉犬「ねえ、るぅとさん」
るぅと「はい?」
莉犬「好きな人とか……いるの?」
るぅとは少し考える。
るぅと「好きな人……ですか?」
莉犬「うん」
るぅと「……今はいないです」
莉犬「……そっか」
なぜか。
その答えを聞いて、少しだけ安心した。
莉犬「じゃあ……これからできるかもね」
るぅと「そうですね」
るぅとは笑った。
莉犬も笑う。
けれど。
莉犬はまだ知らなかった。
この「安心」が何を意味しているのか。
そして――
るぅとの「好きな人」が誰なのか。
まだ誰にも分からない。
莉犬自身も。
自分の気持ちが、幼なじみへの恋から別の誰かへ向かい始めていることに。
まだ、気づいていなかった。
誤字あったら教えてください🙇♀️
コメント
1件
いやあ、4話も一気に読んじゃいましたよ。莉犬の“ドキドキ”がすごく伝わってくるエピソードでしたね。るぅととの距離が少しずつ縮まっていく感じとか、ころんの「昔とは少し違う顔」ってセリフが意味深で気になる…。莉犬自身もまだ自覚してないみたいだけど、この“安心した”って感覚、絶対もう好きになりかけてますよね。幼なじみへの気持ちと新しい感情の間で揺れる感じ、今後の展開が楽しみです。誤字は特に気になりませんでした!