満月の深夜、変わらず俺の周辺には異形化した怪物達が俺を囲い混んでいた。
俺は正直、思っていた事を胸に潜めて思った。
…………こいつら、またか……………と。
俺の名前は、瑞緋(みい)。
___人からは”異能系能力者”として見られている。そう、俺の住む世界では”異能系能力者”が当たり前となっている。
そして、”異能系能力者”に人権や支援を政府はかなり始めている。
勿論、人々=人間達は”異能系能力者”を”普通の人”として見ている。俺の住んでいる所ではだけど。
俺の住む共同住民地域『メーディア』では、異能系能力者や様々な事情で住めない子供や大人達を保護している。
自然が豊かで、政府機関の人達はメーディアの住民達の他にも様々な共同住民地域の住民達の支援をしていた。
____”噂のある異能系能力者”以外だけは。
「…………あっぶねぇな、おい。ここの所、異形化した怪物達が多くねぇか?」
共同住民地域の外には、こう言った異形化した怪物達が多く健在している。
これもまた、俺の住んでる所だけではなく当たり前かのように夜や深夜に現れる異形化した怪物達………
政府は異形化した怪物達(此奴ら達)の事をこう呼んでいる。神話に登場する神の名前で______
_____”ネメシス”_____と。
此奴らの姿はそれぞれで、時に人狼みたいな形をしているのも居れば、時にはケンタウロスみたいな形だったり………
酷ければ、更に凶悪な姿になって街1つすら破壊する程の大きさになったりしたりとかなったりする。
だけど……此奴らが一体何故現れるようになったのかは俺すらも原因が分からないのだった。
そして、大型ネメシス達は更なる力と成長を得て………他のネメシス達と共に行動して、更なる飛躍をしている。その大型ネメシスは”タロットのアルカナ”をイメージしてるかのような姿をしていた。
変わり、俺は異能の力で此奴らをおびき寄せる。
俺の影は、形を変えて……『影狼』へと切り替わる。
「行け、『影狼』。此奴らを惹き付けろ。」
影狼達は、怪物達の群れを引きつけるようにしているが……その間に俺の影は龍の形へと変化して………
___『黒龍』へと変化する。
「………『影変化』___”黒龍”………”轟”!!」
黒龍は、その瞬間………怪物達に咆哮を上げると共に、黒い波動を出してネメシス達を倒して行く。
俺の異能の力。………影変化、つまり影が形を変えて様々な姿に変化する能力だ。
俺の異能系能力___名前は『影月』。
俺の影を自由自在に形を変えられるバランス型能力。様々な妖怪、動物、想像上生物等の形になり行動したりする他に色々な形で役に立つ。
そして、俺の異能系能力は2つのモードを変えつつも場面に寄っては切り替えて居る。
今はいつも通りの”影月”。バランス良く行動出来るように調整してあるモード。これを普段使用している。
もうひとつは”月影”。こっちは影変化の詠唱時間や変化時間を縮小して素早く確実に行動するモードだ。
黒龍が元の影に戻ると、ネメシス達は消え去るかのように全て倒し終わった。
「………………つっかれたー………………今日の”バイト”はこれでお終いかな……………しっかし、最近ずっと増え続けて居るよな。___バイトだし。ネメシス狩り=バイトだから仕方ねぇっちゃ仕方ねぇよな……」
共同住民地域メーディア。……俺の育ち生まれの故郷。俺はそもそも自体施設育ちで、親の顔は知らない。
12歳になった頃、政府から住居への引越しが決まり。15歳になった頃、ネメシス狩り(バイト)を行って。
………それから、色々と何かの視線が………気の所為か。俺の家族は虚寂と影哀の2人。初めて会ったのは…………14歳の頃辺りかもしれない。
その際は、虚寂と影哀はお腹空いたと言っていたから流石には、……放置とか出来ない……から、なんと言うか俺は……小さい子とか見捨てられないし。
そもそも自体周りから、小さい子の世話好きとか言われてる。
小さい子とか見ていると、…色々と見捨てられない。施設育ちだからのもあるが、メーディアは大人より子供の人口が多い。
その為か、子供が施設に保護されて育ってから自立するのがメーディアでは当たり前かのようになってた。大人が多いとすれば、政府からの支援している職員とかだったりだ。
メーディアには、学校がない。
だから代わりに図書館で勉強する他ならない。
とはいえ、俺の場合は施設に沢山本があったからそれを読んで勉強をしていたんだけどな。
施設の職員さんに読めない文字あれば、質問して聞いていた。俺の勉強の全てほぼ読書でしていたからだ。
だからなのか、今でも本を読んで勉強している癖がとてもある。
だからと言って、『読書=勉強でもある』とは言ってももう好きになってしまったから……
「…………い」
それにしてもつっかれたーと思いつつも色々と考えて家に帰ってた。
とは言っても、黒と白のレンガで出来た一軒家だけどな。
「…………みい」(本の角で軽く叩く)
「あいでっ!?」
考え事したら、誰かに叩かれた。と言ってもこの声はもう聞き慣れていた。
「おーい。本は叩く物じゃなくて読む物だからな……虚寂(カンナ)」
「……わかってる……おかえり、みい」
「おう、ただいま」
「……あの、おかえり、なさい」(壁から顔出す)
「影哀(カムイ)か、ただいま」
「……その、けが……してるです……しんぱい、だから、その……てあて、します」
__双子の子供、虚寂(カンナ)と影哀(カムイ)。俺がメーディアの街で出会って保護した女の子達だ。勿論、この子達も__”異能系能力者”だ。
虚寂は異能系能力”黒炎”を持ち、漆黒の炎を操る事が出来る。
影哀は異能系能力”黒水”を持ち、漆黒の水を操る事が出来る。
でも、双子なのに同じ気配がするのは何故かは分からないが____
「ぁいでっ!?」
怪我した傷に、消毒液が染みた。
「………あの、がまん、してください………」
「……いや、染みただけだからな」
「……あ、え、あ、そうですか……」
「………」(本を読んでいる)
「…………」
(虚寂は、変わらず読書…………か)
次の日の朝。時間は約午前7時辺りを回った頃。
俺はまた”バイト”(ネメシス狩り)の依頼が溜まり切っているポストを見て驚きを隠せなかったが…………
とりあえず、今日もまた依頼を見てみるか………
………まぁ、よくある依頼が………
『お買い物のお手伝いをしてください!!』
(…………これ、うん…………まぁ…………)
『窓拭きのお掃除をしてくださりませんか?』
(……………………………………………)
……………………………うん。まぁ、えーとね。
(※瑞緋の心の声)
「……………まぁ、するけど……………依頼は依頼だから……………」
俺の依頼ポストは”何でもお手伝いしますポスト”でもあるし、”ネメシス狩りの依頼ポスト”でもあるから……
「バイト(ネメシス狩り)の依頼ねぇかな〜?」
(いやまあ、何でもお手伝いしますポストは影哀が書いた事だから……うん……本来はネメシス狩りがメインだから仕方ねぇか………ははは………)
夜になった。ネメシスが活動する時間帯______そして、依頼をこなす時間。
(掃除OK、買い物の手伝いOK!!…つっかれたー…)
とりあえず、まずは…ネメシス達の動きを見ないと……
「……………………」(様子見)
カサッ
「…………そこか?」(草むらをかき分ける)
「………にゃーお」
「………子猫か………怪我してるから、手当てして………」
_____その瞬間、いつものようにネメシス達の雄叫びが叫び始めた。
「…………すこーし、待ってろよ」
「____影変化「月」………”妖狐”」
自らの影を………”妖狐”に変化させる。
「今、俺は………命を助けようとしてるんだよ。邪魔するんだって言うなら…………手加減しねぇよ」
(…………”狐火”!!!!)
漆黒の焔の炎が狐火となって、全体を焼き尽くしていく。
とてつもない破壊力と火力の群れに解き放った後。
周辺は、漆黒の焔の炎が森を焼き尽くして山火事になろうとしていたが。
妖狐が咄嗟に素早く炎を元に戻したのでならなかったのだった。
「………お疲れさん」
すると…………
何処からか、金木犀の香りがした。
「…………金木犀の香り、か?この辺りは咲いてなかった感じが………」
『…………』
「…………?」
咄嗟に幼い女の子が裂け目から見えた。
クレヨンのように真っ白に塗ったかのような肌色。
金木犀の花の色のような瞳の色。
アッシュブラウンのロング三つ編み。
金木犀の髪飾りに、裸足のままで………
洋服は、アッシュブラウンのリボンが付いていて。
白くて大きな袖と上は上着のような感じになっていてまるでアンサンブルのように見えるが……
「……ワンピース……?」
その女の子は、俺を見た咄嗟に、手を掴んだと思ったら……一瞬寒気がして、人に見えた。
だけど、この子は………”人外”……いや……
_____”人型したネメシス”だと、咄嗟に分かってしまった。
「え、と………??」
『………………………………』
その子は、表情を変えないで、俺の手を掴んだままだった。
それが、この出来事が俺の生活が変わる事になるなんて………
思わなかったんだ。
続く
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